中国・広州に数十万のアフリカンが集まるエリアがある
本国で販売するための中古スマホやPCを求める市場も
アジアなのに、なぜかまるでアフリカにいるような……。
道を歩けばアフリカン(アフリカ系住民)ばかりのエリアが、中国の広州にある。日本から最も近いアフリカと言っていい。日本では埼玉県の東武線沿線でアフリカンが若干住んでおり、彼らが好む飲食店もあるが、人数でいえば広州は比較にならないほど多い。
なにせ局地的にではあるが地元の中国人よりもアフリカンの方が明らかに多いのだ。その数は20万人とも30万人とも言われているが正確な数字はわからない。中国に行き慣れている人でも、こうした場所に行けば驚くとともに、初めて異国の地を踏みしめたような初心に戻ること間違いなしだ。アフリカンと書いたが、国別ではナイジェリア人が特に多く、ケニア人も見かける。
アフリカ人とコミュニケーションをしたことがない人が多いと思うが、アフリカンエリアを散策するときに別に構えなくていい。中国に商品の買い付けに来るような比較的お金を持っている層が集まっているので(宣教師として来ているというレポートもある)、会話をすると地元広州の中国人よりもときに紳士的だ。
彼らが中国で仕入れるものは中古スマホや中古パソコンといったデジタル機器ほか、服や靴や建材用品など多岐にわたる。そしてハンドキャリーで持ち帰るわけではなく、広州から発送している人も多いので、ナイジェリアやケニア、コンゴといった国への配送業者の店舗もアフリカン向けエリアでは多くある。
アフリカ向けの中古スマホ市場には
中国では売られていないPixelやTecnoブランドのスマホも
さてアフリカン商人が狙う中古スマホは大沙頭二手(中古)市場という場所。デジタル製品はその近くの海印広場という建物でそれぞれ売られている。最寄りの地下鉄駅は東湖駅だ。
市場内は中国とは思えない完全な異世界で、1階には中古スマホを詰めたガラスのショーケースを構えた小さい店がぎっしりと入り、各店舗はアフリカンバイヤーは数人に囲まれ、中国人店主がバトルのような商談をしている。
売られているスマートフォンは裸の状態で、手書きで書かれた機種名のシールが貼られている。様子を見ていると、バイヤーが気になれば見せてもらって動作を確認し、値段交渉となるようだ。
面白いのは中国向けスマホだけでなく、中国ではシェアが小さいサムスンやソニーの製品、そもそも中国では売っていないはずのGoogle Pixelや、アフリカをはじめとした中国以外の市場に特化した伝音のTecnoブランドのスマホが売られているのだ。アフリカンでごった返しているが、探せば探すだけいろんな意味で珍しい商品が見つかるだろう。
闇鍋のような1階を抜けエスカレーターを使って2階に行くと、グッと人は少なくなり、中古ノートパソコンや中古デジカメをはじめとした、スマートフォン以外の製品を扱う店が並ぶ。ここでもアフリカン商人が中国人店主と交渉をしている姿を見ることができる。

この連載の記事
-
第221回
トピックス
インド・ネパールカレー店によくある楽器から、未知の世界をスマホで知った -
第220回
トピックス
中国動画サービス「ビリビリ」から広がる、個人による独自ハード開発文化 -
第219回
トピックス
iPhone発売! その製造のために中国では数十万人の労働力が人海戦術で投入されている -
第218回
トピックス
キャッシュレス決済に逆行!? Wi-Fiでも水でもネカフェでも、何でも硬貨投入で買えるフィリピンのコイン文化 -
第217回
トピックス
3Dプリンターで製品を作って商売しまくる中国 「3D打印農場」が増えすぎて早くもバブル崩壊!? -
第216回
トピックス
中国製パーツでノートPCを作ってしまったファーウェイ サプライチェーンを構築した制裁からの6年 -
第215回
トピックス
中国社会でも迷惑がられる転売業者 狙われるのはSwitch 2からライブチケット、病院の整理券まで -
第214回
トピックス
中国でDeepSeek狂奏曲 VRAM96GB(?)の改造4090カードや各種製品が高速で大量登場 -
第212回
トピックス
中国でも大人気のいらすとや 人気になった理由と中国流スタンプ文化 -
第211回
トピックス
日本のSNSでブレイクの「格付けミーム」は中国発 中国のコンテンツが日本で二次創作に使われる例が生まれる - この連載の一覧へ











