このページの本文へ

自転車の方が早いを探すルート検索、海が見えるタイミングで震えるアプリも

“開かずの踏切”マップが一推し 公共交通データのアプリコンテストが粒ぞろいだった

2025年02月23日 09時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2025年2月15日、公共交通関連のデータや国土交通省のオープンデータを用いたアプリ開発コンテスト「公共交通オープンデータチャレンジ2024 ~powered by Project LINKS~」の最終結果が発表された。

 同コンテストは、公共交通オープンデータ協議会と国土交通省が主催した、賞金総額300万円のアプリコンテスト。鉄道や路線バス、コミュニティバス、フェリー、航空・空港、シェアサイクルの事業者も協力し、公共交通分野のオープンデータコンテストしては“過去最大規模”になったという。国内外から約500人の開発者がエントリーした。

 最終結果のサイトでは、粒ぞろいの入賞作品を閲覧・ダウンロードできる。ここでは、最優秀賞の「急がば漕げマップ」および、準最優秀賞の「PoiCle / ぽいくる」「RailroadCrossFree」について紹介する。

急がば漕げマップ:あの駅まで自転車の方が早くない?を検索できる

 急がば漕げマップは、“急いで”いる場合に鉄道のみを使うよりも自転車を“漕ぐ”ほうが良いルートを表示するアプリ。鉄道やシェアサイクル、さらに交通センサスのデータを用いている。

・急がば漕げマップ
https://nishikata-tokotoko.github.io/cycle-shortcut-map/

急がば漕げマップ

 首都圏の出発駅と目的駅を指定すると、自転車移動を含む、最も早い移動ルートを提示してくれる。自転車移動の距離を制限したり、シェアサイクルポートのある駅のみ自転車利用する設定にしたりもできる。自治体や事業者向けには、自転車利用のポテンシャルの高いルートが分かるモードも用意されている。

 開発したのは、大学が同窓の社会人4人からなる有志団体「西片トコトコ探索会」。少し長めに歩いたり、自転車を使用したりすることで、より早く、安く、快適に移動できる“アウトローな乗り換え”が、従来の乗換案内サービスでは検索できないという問題意識からアプリを開発したという。

PoiCle / ぽいくる:「降りる駅だよ」や「海が見えるよ」のタイミングで震える

 電車やバスの実際の運行状況に基づいて、「駅やバス停の降車」や「車窓か海が見える」タイミングでバイブレーションやアラーム通知を受け取れるアプリ。例えば、退勤時の電車が最寄り駅の1つ前に着いたタイミングで通知させることで、寝過ごしの防止となる。

・PoiCle / ぽいくる(Androidアプリ)
https://play.google.com/store/apps/details?id=window_grapher.com.alarm


PoiCle / ぽいくる

 海が見えるタイミングの通知は、海が見えるエリアを独自のアルゴリズムで算出して、やんばる急行バスと横浜市営バスあかいくつ線で実装しているという。公共交通のリアルタイムデータ(GTFS-RT)を利用しているため、ユーザーの位置情報を正確に追跡し、電車の遅延にも対応できる。

RailroadCrossFree:“踏切の開閉”を間を走る最大電車数から予測

 RailroadCrossFreeは、京急本線における“踏切の開閉”を予測して、可視化するアプリだ。京急電鉄のロケーション情報のデータを用いている。地図上で踏切が閉じている確率を色わけして表示。どの時間帯の踏切が閉まっているかを確認できる踏切データの記録テーブルも用意している。

・RailroadCrossFree
https://www.meshstats.net/meshstats/demo_projectwiki.php?projecttype=RailroadCrossFree&projectname=RailroadCrossFreeproject


RailroadCrossFree

 踏切が閉まる確率は、踏切間の最大電車数を予測することで計算している。例えば、「金沢文庫第2踏切」における計算は、「金沢文庫駅にある下り方向の電車数」+「金沢八景駅にある上り方向の電車数」+「金沢文庫駅と金沢八景駅間にある電車数」となる。なおアプリは、クラウド型の統計情報可視化システム「MESHSTATS」上で構築・公開されている。

 こちらは横浜市立大学の金海英さん、正治咲良さん、佐藤彰洋さんが開発。横浜市立大学前にある踏切の待ち時間が長いことがきっかけで生まれている。

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所