IIJが調査、オンプレミスシステムが一定数残る中でゼロトラストへの転換進む
約7割が再構築を計画 店舗・拠点ネットワークも深刻な“インフラ老朽化”
2025年02月21日 07時00分更新
インターネットイニシアティブ(IIJ)は、2025年2月14日、「多店舗/多拠点企業におけるネットワーク実態」に関する調査結果を公表した。調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)を通じて、10拠点以上の店舗・拠点を保有する企業216社を対象に、2024年11月に実施したもの。
約7割がネットワーク再構築を計画、SaaSアクセスの品質はビジネスにも影響
同調査で「ビジネスに影響を与えているネットワーク課題」を聞いたところ、最も多かったのが「SaaSへのアクセスなど店舗/拠点でのネットワーク利用に不便なことや制限が多い」で53%を占めた。次いで「通信遅延やトラブルにより拠点業務や店舗運営に影響が発生することがある」(48%)が挙がった。
ネットワーク課題のビジネスへの影響度については、51%が「ビジネス上の大きな問題になっている」と回答。ITインフラがビジネスの基盤となり、企業経営の観点においても、ネットワーク課題の解決が急務となっている実態がうかがえる。
ネットワークの見直しに関しては、28%が「大きな問題があるため、全面的に再構築する予定」、40%が「問題があるため、ネットワークの一部を変更する予定」と回答し、実に68%がネットワークの再構築を計画中という結果となった。
ゼロトラストへの転換が進み、オンプレミス前提のソリューションニーズが高まる
クラウド利用の現状と3年後の意向については、3年後は「フルクラウド(クラウド上ですべてのシステムを運用)」と回答する企業が44%を占めた。一方で、3年後に「オンプレミスとクラウドの併用」を意向する企業は、「クラウドファースト(クラウド優先でオンプレミスも併用)」(31%)と「オンプレミスファースト (オンプレミス優先でクラウドも併用) 」(19%)を合わせて50%に上り、オンプレミスのニーズが残り続けることが分かる。
ネットワーク・セキュリティに関しては、現状で「ゼロトラストネットワーク」を採用している企業は26%にとどまる一方、3年後の採用意向は61%。従来型の境界セキュリティ(閉域網+ファイアウォール)からの転換が大きく進むことが予想される。
ITRのプリンシパル・アナリストである甲元宏明氏は、「ネットワーク・セキュリティは、『境界セキュリティ』から『ゼロトラストネットワーク』への移行が加速すると予測します。ゼロトラストネットワークを実現するために、SASE(Secure Access Service Edge)や、その構成要素であるSD-WANを活用したWANの見直しが進むと考えられます。こうしたなかで、オンプレミスが残り続ける多店舗/多拠点企業特有の環境を考慮したソリューションのニーズが高まっていくとみています」とコメント。
加えて、「SD-WANのローカルブレイクアウト機能は、目下、多くの店舗、拠点の課題となっているネットワーク品質に対しても有効な解決策となるため、今後も採用は着実に広がるとともに、これを契機に、ゼロトラストネットワークへと移行するという組織も増えていくでしょう」と展望を述べている。












