野球におけるデータの重要性が増している昨今、より効率的かつ正確にデータ取集や測定ができるシステムに注目が集まっている。プロはもちろん、アマチュアレベルでも導入例が増えており、もはやトレーニングに欠かせないものとなっている。こうしたデータ取集し、測定できるシステムは複数あるが、特に導入数が増えているのが「HitTrax」だ。
打球のトラッキング率はほぼ100%
「HitTrax」は、アメリカのInMotion Systems社が開発したデータ収集、記録、およびシミュレーションが可能な野球用トレーニングシステム。カメラをベースとしたトラッキング技術を用いることで、打者や投手、捕手のフォームや打球、投球データなど、野球における重要なデータを取得する――というものだ。
MLBでは20球団以上が導入するなど高い評価を得ており、NPBでも2020年にヤクルトが初導入して以降、現在は4球団が各球団の練習施設に設置と導入が拡大している。
「HitTrax」が評価されている大きなポイントが「トラッキングデータの正確さ」だ。一般的なトレーニング機器だとトラッキング率は70%~80%ほどと言われるなか、「HitTrax」の打球トラッキング率は100%に近いという。正確なデータを基にすることで、より効果的なトレーニングができる。
また、データは接続したモニターに即時フィードバックされるため、素早いパフォーマンスの確認し、修正ができるのも特徴。トレーニングを行う側だけでなく、指導する側にとっても役立つパフォーマンスを備えている。
充実のシミュレーション機能
「HitTrax」はシミュレーション機能が充実している点も特徴のひとつに挙げられる。
まずは、「2アウトランナー2塁」といった形で、シチュエーションを自由に設定できるシミュレーショントレーニング機能。プロはリアルかつシビアなシチュエーションでトレーニングを行って技術を高めることができ、キッズトレーニングではシチュエーションを楽しみながら練習できる。
また、打球を飛ばす方向を指定して、指示通りにバッティングするトレーニングや、複数のプレーヤーが参加し、オンライン・オフラインにて試合形式でシミュレーションできる機能なども用意されている。
他にも、トレーニングレベルが複数あり、利用する年齢やレベルに合わせて設定できるのも「HitTrax」の特徴。レベルに合わせて守備レベルなどが変わるので、例えば10歳レベルならヒットになっていた打球が、15歳レベルだとアウトになる――といったことが起こる。適応したレベルを選んでトレーニングができるのはもちろん、段階を踏んで少しずつレベルアップしていくことも可能だ。
「HitTrax」の日本総代理店である「ヒューネット」によると、「より多くの人に『HitTrax』のことを知ってもらう必要はあるものの、実際に利用している球団からは高い評価を得ており、現在多くの問い合わせをもらっている状況です。導入数は今後さらに増加していくと予想しています」とのこと。
同社ではプロレベルはもちろん、無料体験会を行うことで、アマチュアや一般のスポーツ施設などにもPRを実施。少しずつ導入数の拡大を図ってきたが、こうした地道な活動も現在の高評価、また導入数の増加につながっているといえる。
「HitTrax」はMLBではすでに多くの球団が導入し、日本のプロレベルでも利用が進んでいる。今後、プロやアマチュア選手以外での利用が進めば、「日本野球のレベル向上」にもつながるはずだ。







