国内初の学修証明「スポーツアナリティクス人材養成プログラム」とは
SPLYZAらと連携、桐蔭横浜大学がスポーツアナリティクス人材を育成
2025年03月19日 06時00分更新
スポーツにおけるデータ解析の重要性が高まり、スポーツアナリティクス人材の需要も増えている。とはいえ、スポーツアナリティクスを担う人材が不足しているのが現状だ。
そうした「アナリティクス人材不足」に対し、桐蔭横浜大学が「スポーツアナリティクス人材養成プログラム」を開設。同分野で活躍する人材の輩出に向けて、教育プログラムの開発を展開している。開設の背景や内容について、桐蔭横浜大学スポーツ科学部の溝上拓志専任講師に話を聞いた。
スポーツを扱うアナリティクスを学ぶ環境が整っていない
「スポーツアナリティクス人材養成プログラム」は、桐蔭横浜大学で開講している講義・演習8科目とインターンシップ関連1科目の合計9科目の単位を修得することで、学校教育法施行規則第163条の2に基づき学修証明書が交付されるプログラムだ。
もともと同大学では、専門的なソフトウェアを扱う演習やスポーツ統計学、データサイエンスといった授業科目を開講していた。今回そうした「スポーツアナリティクス」に関する授業科目を再整備し、学修証明プログラムとして同分野における学びの指針を示したものになる。
その背景には、スポーツアナリティクス分野における「人材の需要と供給の不一致」と「教育環境が整っていない」ことが挙げられる。溝上氏によると、「スポーツ界におけるアナリティクス人材の需要は増加傾向にあるものの、国内でスポーツを題材にアナリティクスを実践的かつ体系的に学べる教育機関が非常に少なく、カリキュラムの整備も十分ではない。また、スポーツ指導者資格のような学びの指針もない状況」という。
そのため、桐蔭横浜大学では、国内外でスポーツアナリティクス事業を展開する「SPLYZA」や「ダートフィッシュ・ジャパン」、「Hudl Japan」といった企業と連携し、国内では初の試みとなる「スポーツアナリティクス人材の養成を目的とした学修証明プログラム」の始動に至った。
他にはない充実した教育内容と学修環境
桐蔭横浜大学によると、「スポーツアナリティクス人材養成プログラム」の特徴は、
▶豊富な授業科目数と学修時間数からなる実践的かつ体系的なカリキュラム
▶多くの実践を通じて専門的知識とスキルを身につける
▶徹底したアクティブラーニングで社会的汎用能力を備える
▶プロスポーツチームや教育機関、関連企業等でのインターンシップ
▶企業3社との連携協力によるプログラムの構築と展開
の5つ。
加えて、「スポーツアナリティクスの学修に特化した演習・実習施設が充実していること」も、「スポーツアナリティクス人材養成プログラム」の魅力として挙げられる。
同学の「TOIN Sports Analytics Lab」には、スポーツアナリティクスを実践するために必要なハードとソフトの両面が充実しており、プロスポーツチームやナショナルチームで使用されている分析ソフトウェアも利用可能だ。
すでに学外からの問い合わせも多く、大きな注目を集めている。しかし、2023年度の入学者からスタートしたばかりということもあり、「まずは、スポーツアナリティクスを学ぶ進学先として、そして社会が人材を求める際の選択肢として桐蔭横浜大学を選んでもらえるよう、本プログラムを修了した学生をしっかりとキャリアに結びつけていくこと」が目標という。
また、スポーツアナリティクスを学ぶ機会がまだまだ限られているため、溝上氏は「他の大学をはじめ、スポーツチームや競技団体、関連企業や協会などとも連携協力を図り、さらなる環境整備に努めること」も、今後の目標だとしている。
スポーツアナリティクス人材の需要は今後さらに増加すると見込まれており、この分野に強みを持つ人材を求める声が一層高まるだろう。「スポーツアナリティクス人材養成プログラム」を修了した学生たちが、どのような活躍を見せてくれるのか注目したい。
