自作の煩雑さやトラブルシューティングの手法は軽減!MSI「MAG Z890 TOMAHAWK WIFI」

光らない!ドラゴンなし! Core Ultra 200S世代の硬派なゲーミングPC向けZ890マザーボードは、自作PC初心者にも簡単で分かりやすくておすすめ

文●石川ひさよし 編集●三宅/ASCII

提供: エムエスアイコンピュータージャパン

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 x16拡張スロットは3本だが、最上段が5.0 x16、中段と下段が4.0 x4といったレーン配分。Serial ATAやM.2との排他利用などの注意点はとくに見つからなかった。ビデオカード用の5.0 x16スロットと次のスロット間のスペースは2スロット分。上位のMEG、MPGグレードになると5.0 x16スロットと中段スロットの間のスペースが3スロット分になる。まあ、組み合わせるビデオカードの厚み、何枚の拡張カードを挿す予定があるかで選び分ければよいだろう。

MAG Z890 TOMAHAWK WIFIの各部レイアウト。基本的にはメインストリームでの使用を想定した拡張スロットレイアウトだ

 ビデオカード用x16スロットには、「EZ PCIE RELEASE」が採用されている。スロットの延長線上、実際にはメモリスロット横にEZ PCIE RELEASE用のボタンがある。従来のラッチは、ビデオカードを挿す時は普通でも、交換などでカードを外す際にリリースしづらいと感じたことはないだろうか。とくに空冷CPUクーラーを搭載した状態では、このラッチにアクセスするのが難しく、そこからラッチを押して倒すために割り箸を使ったなんて話も耳にする。EZ PCIE RELEASEは、比較的周囲が開けたメモリスロット付近にあり、押すだけで操作できるボタン式。加えてロック状態を示すマークも備えている。

EZ PCIE RELEASEがあれば組み立て後の窮屈な状態からビデオカードを外す作業が簡単に

 このEZ PCIE RELEASEは、リリース状態にすれば両手を使って安全にビデオカードを取り外せる。ボタンを押しながら……ではないところがメリットだ。一方で、ビデオカードを挿す時は、マークがロック側になっている状態から行なう。バネ式なので、ロック状態になっていても挿す操作は可能で、スロットの根本までしっかり挿さればカチッというロックされる音が合図になる。ちなみに、リリース状態でビデオカードを挿した場合でもボタンを押せばロックできる。確実に固定されているか確認しておこう。

 DDR5メモリスロットは4本。CUDIMMもサポートしている。なお、片ラッチタイプのスロットなのだが、一般的なマザーボードとはラッチの位置が逆、x16スロット側にラッチがある。これはその反対、マザーボードの上端側にEPS12V端子があるためだ。MSIのZ890マザーボードの特徴がこのEPS12V端子の位置。EPS12V端子は通常、バックパネル寄りに配置されるものだが、そこはバックパネルやVRMヒートシンクに囲まれた窮屈な場所でもある。これがメモリスロット側に移設されたことで、EPS12Vケーブルの若干抜き差しがラクになっている。ほかにも回路設計などでもメリットがあるのかもしれないが、組み立ててみた際にメリットと感じたのはこのあたりだ。

メモリスロットの上側にEPS12Vがある仕様

 M.2スロットは、最上段が5.0 x4、中段に4.0 x4×1、下段に並んで4.0 x4×2基といったレイアウトだ。最上段と下段のスロットについては、ヒートシンクが「EZ M.2 Shield Frozr II」仕様となってラッチを押すだけで取り外し可能。また、全スロットがクリップを回すだけでM.2 SSDを固定できる「EZ M.2 CLIP」仕様だ。中段スロットについてはドライバーがないとヒートシンクの着脱ができないが、ビデオカード下という位置からすると妥当と言えるだろう。上から順にM.2_1、M.2_2……と採番されているものの、使用する際の優先順位はM.2_1、M.2_3、M.2_4、最後にM.2_2になると思われる。

M.2スロットは4基。固定部分に黒いプラ製クリップがあるのがEZ M.2 CLIP。2番目、4番目スロットにあるメッキのポッチが「EZ M.2 CLIP II」。EZ M.2 CLIP IIは根本がバネになっていて指で押せば曲がり、離せば戻る仕組みでM.2 SSDを固定する

「EZ」機能に注目! 自作PC初心者にも簡単で分かりやすく

 ここまで紹介してきたほかにも、特徴的なところを紹介していこう。ここ数世代、MSIマザーボードでは「EZ」とつく機能で、簡単DIYを推している。まずEZ M.2 CLIPやEZ M.2 Shield Frozrのようなツールレス化。自作PCでもっともよく使われるのが2番のプラスドライバーだが、M.2ヒートシンクの着脱では1番、M.2 SSDの固定では0番サイズも用いられていた。EZ M.2 CLIPやEZ M.2 Shield Frozrの登場で、(マザーボードに限ればかぎれば)1番や0番のドライバーを使わずとも組み立てられるようになるのはたしかにラクだ。

ライムイエローの▲印部分にあるメッキ部分がEZ M.2 Shield Frozrのリリースボタン

 新しいところでは、Wi-Fiアンテナが挿し込むだけでよくなった。いわゆるSMA端子は、これまでの世代だとぐるぐる回して固定するタイプが用いられていたが、「EZ ANTENNA」世代はプッシュ/プルで着脱できる。

 ATX24ピンとフロント用USB 5Gbpsヘッダーの間にある「EZ Conn」も新たな試みだ。AMD X870マザーボードで先行採用されており、この世代のマザーボードを代表する特徴と言える。MAG Z890 TOMAHAWK WIFIが搭載しているのはJAF_2。EZ ConnはJAF_1とJAF_2があり、前者はファン用ヘッダーとARGBヘッダーをひとつの端子にまとめたもの、後者はさらにUSB 2.0ヘッダーも加えたものだ。分岐ケーブルが付属するので、ARGBとファン、USBを接続するCPUクーラーなどと組み合わせれば配線をきれいにまとめられるほか、MPG EZ120 ARGBファンならJAF_1ケーブル1本で接続できる。

JAF_2はこのひとつの端子からファン、ARGB、USBを分岐させられる

 ほか、けっこう以前からあるが、組み込み済みI/Oシールド、CMOSクリアボタンやFLASH BIOSボタン、マザーボード上の刻印や色分けも。上位モデル中心に搭載されるPOSTプロセスのどの段階にあるのかを示す「EZ Debug LED」やPOSTコードを表示する「EZ DIGI-DEBUG LED」など、トラブルシューティングに関わる機能もEZ機能にまとめられている。このあたりの機能は、日頃からお世話になっている方も多いだろう。

EZ Debug LEDやEZ DIGI-DEBUG LEDがあればトラブルシューティングの際、どこに原因があるのかの目星がつく

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