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~故郷でキッチンカーを開業したい! アラフィフからの新たな挑戦③~

復興マルシェにも出店! 地元食材を使ったキッチンカーでふるさと・能登を応援

文●杉山幸恵

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集客に自身の体力など悩みは尽きないけど、キッチンカーに立つのが楽しい!

 順調そうに見えるキッチンカー営業だが、始めた当初は集客の面で悩みが尽きなかったそう。

 「営業を開始した9月は出店回数もそんなに多くなかったのに、本当に寝る暇がない状態で、毎日寝不足で大変でした。10月からは、出店回数が多ければ普通にそれだけ稼げるかなと安易に考えて営業日を増やしたのですが、現実は厳しく…。新しくスタートさせた知名度もないキッチンカーに、足を止めてくれるお客さんはなかなかいなくて。平日の厳しさとか、土日のイベントの必要性とか、イベントは出れば儲かるってもんじゃないとか、たくさん勉強させていただきました。現実ってきびしー!!まさにこれです(笑)。とにかくお客さんに気付いてもらう事が大切なんだな〜と。でも、たくさん出店したので慣れてきて、客足の多いイベントでもなんとか2人でいい感じで回すことができるようになってきました。また、ほかのキッチンカーの方とたくさん会えるので、いろいろな繋がりが生まれたり、情報交換できたりと、実りの多い10月でした」

 本格的に営業を開始した9月は、出店回数は少ないながら、慣れない準備で毎日寝不足だったというなとみさん。10月に入ると、本業とキッチンカーとやることが山積みなのに、起きていられないほど体力的に限界だったという。

 「帰ってきて夕飯食べてたらいつの間にか気絶するように寝落ちして、気がついたら夜中の2時とか…。そこから慌てて片付けて、仕込みして〜という日々が続き、本当に限界でした。でも、最近は6時間は強制的に寝てます。きっと体の防衛本能が発動しているんだと思います(笑)。キッチンカーを始めたいというきっかけの一つだった『スナックなとみん』ももっとやりたいのですが、なにせ体がもたないというのと、私が本業のイラストの仕事ができない…という現実に直面しまして。これからもっと寒くなるし、もう少し様子を見ながらやろうかと。体壊したら元も子もないし…無理のきかないアラフィフのわがままボディなので(笑)」

「旅するスナックをやりたい」というなとみさんの夢から、昼は息子、夜は母という2部構成で話がスタートした「BBキッチン」。今はまだ、「スナックなとみん」は不定期での営業

 いろいろと一筋縄ではいかない問題を抱えながらも、キッチンカーの営業は「とにかく楽しい」と語るなとみさん。人と接することが、本当に向いているんだなと実感しているという。

 「平日の出店では常連さんや友人が来てくれて、お茶を飲みながらおしゃべりすることも。読者さんから『漫画楽しみにしてます』なんて言われることもあって、『あ、結構楽しみにしてくれているんだな〜』ってすごくうれしいです。休日のイベント出店は忙しくて、あまりお客さんとお話しできないけど、〝外!〟ってだけでワクワクするし、家族連れとか、カップルとか、みんなが楽しそうにガヤガヤしているのを見ているだけで、幸せな気持ちに。『今日ここに出店できてよかったな〜』ってうれし涙が出るほど。ほかのキッチンカーの方とお話しするのもすごく楽しいし、もともと〝人とのおしゃべり〟が大好物なので、ほんとうにやってよかったです。ただ、キッチンカーに立つ回数! 本業はイラストなので、それが侵食されないような回数まで減らしたいな、と思います。息子に頑張ってもらわねば(笑)」

10月からはキッチンカーに能登応援のための募金箱を設置

 キッチンカー開業ともう一つ、なとみさんのライフシフト計画には生まれ育った能登への移住があった。令和6年能登半島地震で倒壊を免れた実家をリフォームし、移り住むというものだったが、こちらはまだ難航しているようだ。

 「リフォームは遅々としながらも進んではいたのですが、トイレの浄化槽が壊れていることが判明。そして、9月末に能登半島を記録的な大雨が襲ったことから…職人さんがその水害対応で忙しくなってしまい…うちの工事がいつになるやらと。まあ、うちは後回しで大丈夫なんですけどね。ただ、そうなると年内での移住は難しく、先が見えない状況です(笑)」

キッチン(写真上がリフォーム前、下が後)や浴室、玄関などはリフォームが完了

 2つ目のライフシフトである能登移住にはもう少し時間がかかりそうだが、キッチンカー営業という夢はかなえたなとみみわさん。最後にこれからなにか新しいことを始めてみたい、ライフシフトをしたいという同年代の女性に向けてメッセージをもらった。

 「私の場合、以前は新しいことをやるって、少しハードルが高いし、ちょっと面倒だし、うまくいくかな〜とか、いろいろと考えて、結局考えすぎて面倒になってやらないというパターンが多くて。でも、50歳が近くなって、大切な人の死に直面したり、自分だけじゃなくて友人が大きな病気をしたり…そういうのが増えてくると、〝人生のカウントダウン〟が聞こえてきたというか。そうしたら悩んでる暇ないかなっていろいろとやり始めたんです。しかも全然大丈夫って思っていたのに、離婚して一人になったら、想像以上に寂しいし(笑)。それでますますなんかやろう!って。小さいことでもいいんですけど、たとえば『今日は朝からスーパー銭湯行って、駅前の居酒屋でビール飲んでこよう』とか、そういうのから始めて、『とにかくやろう!』を続けていくと、少し癖になるというか。『あ、自分、結構いろんなことできるんだな』と思えるようになり、次第に大きなチャレンジもできるようになりました。そして大きなチャレンジをする時は、いつも『うまくいかなかった時、自分はそれを後悔や失敗にしないかどうか』と考えるんです。『あ〜、失敗した。やらなきゃよかった』ではなくて、『勉強になったー。やってよかった』と、いい体験で終わらせられるかどうかが大事。そのうえで覚悟を決められたらやってみる。やってる途中で、『あ、これ違うな〜』って思ったらやめちゃえばいいんです。違うことを続けていくことは時間がもったいないので。とにかく私たちアラフィフ世代はあまり時間がないので(笑)、迷っている暇はないですよね!」

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