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モーダル小嶋の「これを食べたくなったので」 第34回

「松屋で提供される」ことを考慮して開発した意図を、大使はわかっていた:

松屋の「リトアニア風ハンバーグ」、駐日リトアニア大使の感想は「味が濃い」だった それでも認められた理由

2024年10月23日 12時00分更新

文● モーダル小嶋(アスキーグルメ) 編集●ASCII

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松屋のリトアニア風ホワイトソースハンバーグ

「リトアニア風ホワイトソースハンバーグ定食」
松屋
10月22日発売
880円
https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/whatsnew/menu/81294.html

松屋、リトアニアに向かう

リトアニア風ホワイトソースハンバーグ

 松屋は、10月22日から「リトアニア風ホワイトソースハンバーグ」の販売を開始しました。

 リトアニア大使との共同企画開発から生まれたメニュー。ハンバーグに、マッシュルームの香りとベーコンの旨味が詰まった、濃厚でクリーミーなリトアニアオリジナルのホワイトソースをかけた一品。秋の味覚であるきのこをふんだんに使用しています。

 きのこの産地として有名なリトアニアの味わいを日本で楽しめる、ユニークな試みとなっています。

松屋のリトアニア風ホワイトソースハンバーグ

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駐日リトアニア大使は
シュクメルリがうらやましかった

駐日リトアニア大使オーレリウス・ジーカス閣下

駐日リトアニア大使オーレリウス・ジーカス閣下

 リトアニア風ホワイトソースハンバーグが生まれた理由は、なんと、リトアニア側からの売り込みによるものでした。

 駐日リトアニア大使のオーレリウス・ジーカス閣下によると、松屋が発売したジョージア料理をアレンジした「シュクメルリ定食」が人気になっていることを知り、リトアニア料理も紹介してほしい! と熱望。

 さっそくSNS上で連絡したところ、松屋フーズもすぐに反応。連絡を取り合い、松屋フーズ側が公邸に招かれ、そこからリトアニア料理を勉強したそうです。

松屋のリトアニア風ホワイトソースハンバーグ

見た目はいつもの松屋の定食ですね

 意識したのは、公邸での食事会で提供されたという「ミートボールのきのこソース」。そこからの経験で開発したということもあり、松屋側は今回のメニューで“リトアニア大使直伝”をうたっています。

 リトアニアはきのこの名産地のため、マッシュルームをふんだんに使いながら、ベーコンを入れたソースを作り上げたといいます。

松屋のリトアニア風ホワイトソースハンバーグ

リトアニア風、だそうです。日本で暮らす人からすると「そうなのかな、たぶん、そうなんだろう……」という感じではあるかも

 開発担当の方いわく、「リトアニアの方に気に入られるように……という点で苦労した」。リトアニア料理らしい雰囲気を出すために、マッシュルームを使うだけではなく、ソースのベースにフォン・ド・ボーの濃縮したものを入れたり、香辛料にディルを使ったりという工夫がなされています。

松屋のリトアニア風ホワイトソースハンバーグ

煮込みハンバーグのような風情。味はかなり濃い目。

 実際に食べてみましたが、かなり味が濃い。松屋によく行く方ならなじみ深い、おかずとしての味付けになっています。にんにくの香りも立っていますね。

 リトアニアをイメージしてマッシュルームがたくさん入っており、その旨味もありますが、むしろポイントはベーコンだと思います。フォン・ド・ボーのコクとベーコンの塩気で全体をまとめている感じ。白米と合わせるためにしっかり調整されている印象。

松屋のリトアニア風ホワイトソースハンバーグ

きのこの旨味とベーコンの塩気で味を整えている

 ただ、日本で暮らす人からすると「なんだこれは?」となるような驚きはありません。ホワイトソースといえども、クリーミーというよりは、にんにくの香りやきのことベーコンの食感などで、しっかりパンチがある。いかにも松屋らしいハンバーグです。

松屋のリトアニア風ホワイトソースハンバーグ

ハンバーグ自体はいつものものと同じ

本場と比べると味が濃いけれど
それはごはんに合わせるため

 それでは、駐日リトアニア大使の評価はどうでしょうか? 試食にも関わったジーカス閣下いわく、「リトアニアらしい味を期待して食べたところ、“懐かしい”という印象だった」とのことで、リトアニア料理らしさはあるようでした。

 ただ、リトアニアの味わいそのものでもないようで、「正直に言えば、リトアニアと比べると(味が)濃厚なんです」と付け加えていました。

 しかし、それは決してマイナスな発言ではありません。「リトアニアの主食はじゃがいもですが、日本ではごはんに合わせないといけない。味が濃くなったのは松屋フーズさんの工夫だと思う」とジーカス閣下は話していました。

 つまり、本場のリトアニア料理と比べれば味が濃いめに感じるけれども、それは白米と一緒に食べるための工夫である、という点が認められたわけです。ちなみに、ジーカス閣下は月に一度は松屋を訪れ、さまざまなメニューに挑戦しているとか。

 リトアニア料理らしさを残しながら、「松屋で提供される」ことを考慮して開発した意図はわかっているよ……という、駐日大使らしい思慮深さで「お墨付き」を出しているのですね。

松屋のリトアニア風ホワイトソースハンバーグ

ごはんに合うという点ではよくできている

 「この味わいのハンバーグにごはんが合うのかな、と不安だった。でも合わせてみるとおいしいじゃないかと思いました」と、嬉しそうに話していたジーカス閣下。

 日本食とリトアニア料理のコラボレーションということで、リトアニアの人からすればおもしろいと感じるのではないか、日本の人からすればリトアニアという国に親しみを持つきっかけになるのではないか……と期待を寄せていました。

駐日リトアニア大使オーレリウス・ジーカス閣下

奥様と一緒に新メニューをPRしていました

 「テスト販売が成功したということで、全国販売を非常に楽しみにしております」と語っていたジーカス閣下は、発売日の10月22日に松屋六本木4丁目店の“一日店長”に就任。

 そこでは、松屋のシュクメルリ定食をSNSで猛プッシュし続け、Xでも多くのフォロワーを持つティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使も駆けつけてリトアニア風ホワイトソースハンバーグを注文していました。まさしく“松屋外交”というべき現象です。

 

 これからも、松屋から、世界の知られざる料理が広がっていくかもしれません。まずは、駐日リトアニア大使も認めたハンバーグを味わってみてはいかがでしょうか。

※価格は税込表記です。

モーダル小嶋

モーダル小嶋

1986年生まれ。「アスキーグルメ」担当だが、それ以外も担当することがそれなりにある。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。よろしくお願いします。

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