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グローバルローンチは10月24日予定

Arrow Lakeこと「Core Ultra 200S」予約開始!半分の消費電力で第14世代と同等の性能?

2024年10月11日 00時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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プラットフォームとしての特徴

 プロセスやアーキテクチャーといった技術的側面はさておき、まずはCore Ultra 200Sシリーズの概要をざっくりとまとめると、以下の通りとなる。

①ソケットはLGA1851へ変更
 Core Ultra 200Sシリーズではソケット形状がLGA1700からLGA1851へ変更となるため、第12〜第14世代用のマザーボードとは互換性が消失する。Core Ultra 200Sシリーズを導入するなら新たなマザーボードの導入は不可欠だ。ちなみにCPU基板部分のフットプリントはLGA1700とまったく同じで、裏面ランドの密度が大幅に増している。だが切り欠きの位置がLGA1700と異なるので物理的にLGA1700のソケットに装着することは不可能だ。

Core Ultra 200Sシリーズの実物はまだ入手できていないのでレンダリングイメージでご容赦いただきたい。パッケージ正面から見ると、ヒートスプレッダーの凸部の横幅が狭くなり、“耳”のような部分がより長くなったようだ。LGA1700導入当時から騒がれていた“反り”問題を改善しようとした結果なのかもしれない

LGA1700よりもランド実装密度の増した裏面。切り欠きの位置もLGA1700とは異なる位置に移動しているため、物理的にLGA1700には装着することすらできない。ところどころ粉を吹いたように見える場所があるが、そこにはランドとランドの間に回路パターン(ただしレジスト層の下にある)が設けられているためだ

②チップセットはIntel 800シリーズを採用
 ソケット変更に伴い、チップセットも新たに「Intel 800シリーズ」が導入される。K付きモデルの倍率アンロックに対応するなら、「Z890」チップセット搭載マザーボードを使用することになるだろう。

 Core Ultra 200SシリーズではCPU側にPCI Express Gen 5が20レーン(GPU用に16レーン、M.2用に4レーン)、さらにThunderbolt 4がビルトインされているが、Intel 800シリーズチップセットはこれに追加する形でPCI Express Gen 4が24レーン追加される。

 USBに関しては下図では10ポート分のUSB 10Gbps(USB 3.2 Gen2)があり、さらに設計次第でUSB 20Gbps(所謂Gen2x2)等が実装できる。ただUSBの数に関しては別の資料だとUSB 3.2が最大32となっている資料もあるので、どちらが正しいかは不明である。

 また、CPU側には2ポート分のThunderbolt 4がビルトインされているが、外部のチップを経由することで最大4ポート分のThunderbolt 5にも対応する。

Intel 800シリーズチップセットは24レーンものPCI Express Gen 4をCore Ultra 200Sシリーズにもたらす。また、8ポート分のSATAのほか、図には出ていないがWi-Fi 6EとBluetooth 5.3のコントローラーもビルトインされている

Core Ultra 200SシリーズにはPCI Express Gen 5が合計20レーン(GPU用に16、M.2用に4)のほか、Gen 4を8レーン(M.2スロット2つ分)、さらに2ポート分のThunderbolt 4コントローラーが内蔵されている。チップセット分を合わせるとPCI Express Gen 4は最大28レーン分が利用できる計算だ

Intel 800シリーズチップセット単体だけではThunderbolt 4が2ポート、Wi-Fi 6E&Bluetooth 5.3に1GbEという構成が限界だが、外部コントローラーを併用することでThunderbolt 5やWi-Fi 7といった構成にも対応する。LANが2.5GbEと記述されている理由は不明(PHYを外付けにする場合?)だが、PCI Express経由ならば10GbEも実装可能だ

Z890マザーボードは本稿執筆時には詳細情報を開示していないメーカーが多い。図はGIGABYTE「Z890 AORUS MASTER」。このモデルの場合、LANはMarvell製の10GbEが搭載されている。またThunderbolt 4ではなくUSB 4という記述だ

③メモリーはDDR5-6400が定格最大に。CUDIMMもサポート
 DDR5メモリーは第12世代(Alder Lake-S)より導入されたが、Core Ultra 200SシリーズではDDR5をより高クロック動作で運用することが可能になった。サポートされる定格メモリークロックはDDR5-6400まで引き上げられる。ただインテルによれば、DDR5-8000がスイートスポット(Gear 2動作)だという。

 また、従来のDIMMモジュールに加え、CUDIMM(Clocked Unbuffered DIMM)も利用可能だ。従来のDIMMにクロックドライバー(CKD)を追加することで、より高い信号品質で運用できるというもので、JEDECはDDR5-6400以上のモジュールに関してはCKD追加を提言している。

 CUDIMMは普通のDIMMと同じメモリースロットが使えるため、「CAMM2」メモリーのように専用のマザーボード設計を必要としない(参考記事:https://ascii.jp/elem/000/004/202/4202135/)。CUDIMMでない従来方式のDDR5-8000でも、メモリーやマザーボードの設計品質が十分高ければ運用できるので、CUDIMM対応にそれほど神経を尖らせる必要はないだろう。

Core Ultra 200SシリーズではDDR5-6400までサポート。無論それ以上のOCメモリーも利用可能だ。さらにCUDIMMのサポートも追加されている。また、一般ユーザーにはあまり関係ないがECCもサポートされる

④CPUクーラーはLGA1700と共通
 Core Ultra 200Sシリーズではソケット形状はLGA1851へ変更されたが、ソケットのフットプリント自体は変更されていない。変わったのはCPU裏面に配置されたランドの数と配置であり、CPUソケット周囲の設計はLGA1700と同一なのだ。

 よってCPUクーラーは従来のLGA1700対応のものがそのまま利用できる。筆者もCPUクーラー(主にAIO水冷)を取り扱っている代理店等に尋ねてみたが、現時点ではLGA1700のクーラーをLGA1851へ適用するにあたってのネガティブな情報は出ていない。

 とはいえ、実際に対応しているかどうかはCPUクーラーメーカーの情報をしっかり確認するようにしよう。Core Ultra 200Sシリーズの情報解禁に伴い、CPUクーラーのメーカーも対応情報を解禁すると思われる。

⑤アーキテクチャーはLunar Lakeに近いが、Lunar Lakeと同一ではない
 Core Ultra 200Sシリーズは過去の反省から、前世代よりも電力を食わず、さらに発熱量も抑えつつ同等性能を確保することが設計上のテーマになっている。

 設計のベースになっているのはモバイル用のCore Ultraプロセッサー(シリーズ2)、所謂“Lunar Lake”だが、Lunar Lakeには存在しないPCI Express Gen 5やGPU用のx16レーンといったデスクトップPC、特にエンスージアスト向けの機能追加が施されている。Lunar Lakeで話題になったSMT(Hyper-Threading)の廃止はCore Ultra 200Sシリーズにも継承されており、Core Ultra 200Sシリーズのコア数は物理コア数=論理コア数という非常に分かりやすい構造となっている。

 冒頭でも述べたが、Core Ultra 200Sシリーズのアーキテクチャーに関しては別記事を参照いただきたい。

Core i9-14900KとCore Ultra 7 265Kを比較した時、Core Ultra 7 265Kの消費電力(システム全体)は188W低下、さらにCPU温度は15℃も低下。ただしゲームのパフォーマンスは平均で5%低下したという。あえて性能が上がる設定での比較ではなく、消費電力や温度の低下に注目させるという見せ方をインテルが採用した、という点に注目

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