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ベータマックスからPS5まで! ソニー製品栄枯盛衰物語 第39回

24年前に生配信できるノート「VAIO GT」を出したソニーは時代の2周半くらい先を行っていた

2024年09月13日 12時00分更新

文● 君国泰将 編集● ASCII

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 ソニーのWindows PC「VAIOノート」の歴史の中では、誰しもが思い浮かべるノートパソコンとは一線を画すモデルをたくさん発売してきました。今回はその中でも、変態PCとも称賛される、愛すべきモバイルVAIOの2モデルを紹介しましょう。

巨大カメラがついてて配信もできた
20年早かった変態ノート「VAIO GT PCG-GT1」

 VAIOが生まれてから初(?)の変態PCと言える「VAIO GT PCG-GT1」は、2000年に生まれました。小型カメラ「モーション・アイ」を内蔵する横長サイズのモバイルミニノートPCといえば、「PCG-C1シリーズ」が有名ですが、PCG-GT1は、巨大なカメラを備えたキワモノスタイルです。

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「VAIO GT PCG-GT1」

 PCG-C1シリーズのカメラは、ディスプレイの上部のベゼルと一体化して、どちらかというと静止画や動画をメールに添付するといった軽い「モバイルコミュニケーション」に使うもの。

 一方でPCG-GT1は、ビデオカメラのような円柱型の大きなカメラで、光学10倍(デジタル40倍)ズームを備えた68万画素(有効34万画素)CCDカメラでした。本体サイドに備わっていて180度回転し、液晶ディスプレイの回転機構とあわせて、PCスタイルからカメラシューティングスタイルへと使い方によって変形したのです。

 手ブレ防止機能やステレオマイクも搭載していたり、ボディー底面には三脚ネジ穴もあるほどのこだわりっぷり。

 記録できる画像は、最大640×480のJPEG/PNG/BMP形式の静止画、640×480/320×240のMotion JPEG形式の動画、160×112のMPEG1形式の動画など。液晶モニター横にカメラのズームレバーやキャプチャボタン、ジョグダイヤルやバックボタンを備えています。

 そして、その最大の目的が、パーキャスTVというサイトへPCG-GT1のカメラでとらえた映像をリアルタイムにアップロードして配信する「パーソナルキャスティング」です。

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ライブ配信のやり方

 ライブ配信するためには、パーキャスTVでライブ配信する時間をあらかじめ予約する必要があるものの、ライブ配信という言葉をほとんどの人が認識していないこの時代に、世界へ向けて発信できました。

 スペックは、CPUにCrusoe TM5600-600MHz、メモリー128MB、内蔵ストレージは20GB。インターネットを介してリアルタイムに配信できるというコンセプトはすごいのですが、PC性能が厳しかったことに加えて、しかもモバイルして外でインターネットをしようにもPHSカードを利用するのが関の山で、回線スピードが遅すぎて何もかもが追いついていませんでした。

 今になって振り返ると、こんなものが24年前に完成していることが驚きです。

世界最小最軽量のノートPC
「VAIO U PCG-U1」は真のモバイルPCだった

 もうひとつ強烈なインパクトを残したのが、2002年に世界最小最軽量のWindows PCとして登場した「VAIO U PCG-U1」。

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「VAIO U PCG-U1」

 「VAIO 505」や「VAIO C1」といったミニノートPCはあれど、まだまだPDAのような端末と比べると大きく、持ち運びやすいとは言えませんでした。かといって、PDAができることは限られていたので、だったらVAIOノートを小さくしてしまえと開発されたのがこの超コンパクトな「PCG-U1」です。

 見た目はキーボードの上にディスプレイがあるクラムシェル型でありつつも、両手でつかんだまま使える「モバイルグリップ・スタイル」という操作方法を採り入れて、場所を選ばず立ったまま使えるという、まさに真のモバイルPCを具現化しました。

 本体サイズは、約184.5×139×30.6~46.1mmで、重さは820g。スティックタイプのポインティングデバイスは、操作部をキーボード上部の左右に配置。キーボードは7段の配列で、キーピッチは14mm、ストロークは1.5mm。ピチピチにキーが並んでいるので、ノートPCをタイピングするように両手で構えるとさすがに窮屈です。

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 それよりも、本体を握ったまま親指でケータイ電話のように文字入力できるようになっていたり、かつてXperiaにも備わっていた予測変換機能「POBox」で、両手で持ったままでもスムーズに文字入力できることを意識して作られています。

 スペックは、CPUにCrusoe TM5800-867MHz、メモリー128MB、内蔵ストレージは20GB。OSはWindows 98。ディスプレイは6.4型(1024×768ドット)のTFT液晶。820gと聞くと、今どきのレベルだとちっとも軽くないように思えますが、当時としては超ミニマムかつ超軽量だったのです。しかも、立ったままでも使えるなんて最高じゃないか! と世間をざわつかせていました。

 ただ、こういう極端なマシンにはどこか無理があるのもお約束で、お世辞にもバッテリーの持ちはよくなく、だからといって本体と同じくらいの大きさの大容量バッテリーを装着すると本末転倒になるといったお茶目なところもありました。

 けれど、いつの時代も小ささこそ正義。ガジェットマニアたちはこぞって「PCG-U1」を買っていたように思います。

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 「PCG-GT1」も「PCG-U1」もそれまでにあったノートPCはこういうものだという枠をぶち壊して新しいジャンルのノートPCとして登場したのでした。

 VAIOノートの代表格として、VAIOノート505やVAIO C1シリーズが真っ先に思い出されがちですが、こうしたチャレンジングなVAIOたちがたくさん存在した良い時代でした。

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筆者紹介───君国泰将

ソニー(とガンダム)をこよなく愛し、ソニーに生きる男・君国泰将氏

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