明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 宮下芳明研究室は9月2日、「脂質ゼロの油」「脂質・糖類ゼロのクリーム」を生成する研究を発表した。
同研究室はこれまで、複数の味溶液を混合することで、さまざまな味を提示する味覚メディアを開発しており、口臭を伴わないニンニクや、甲殻アレルギーでも食べられるカニクリームコロッケなどの成果がある。今回の研究は、2023年に開発した10の60乗通りの味の組み合わせが出力できる調味装置「TTTV3」を発展させたもので、「食感」も制御することによって、従来では難しかった、油やクリームの表現を可能にしたもの。
脂質ゼロの油「Virtual Oil Generator」は、口に残る食感や粘性、脂質感をイヌリン(水溶性食物繊維)で調整し、滑らかさを低強度寒天で調整することにより、脂質を全く使用せずに油の食感を口内でもたらすという。これにより作った「油」をサラダやパスタ、ささみ肉にかけることで、パサパサ感を軽減し、見た目も光沢感が付与。また、油の摂り過ぎやその健康被害を気にすることなく好きなだけ油を味わえるようになる。
また、「Virtual Cream Generator」ではゲル化や気泡をゼラチンで調整し、粘性をサイリウムで調整することによって、クリームの食感を口内にもたらすことが可能という。特定のメーカーのカスタードクリームに食感や口どけの良さを合わせることができるほか、糖類ではない甘味料を用いることで、脂質も糖類もゼロのカスタードクリームやホイップクリームも作れるとしている。