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Adobe ExpressとAcrobatの連携も便利!

「原本の二重送付」や「またスキャン」 一応やってる5つの作業をAcrobatでなくす

2024年08月26日 11時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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 アドビは、2024年8月23日、「第2回 Adobe Acrobatメディアおよびインフルエンサー向け勉強会」が開催された。講師は米アドビ デジタルメディア事業部 DocumentCloud プロダクトマーケティングディレクター 山本晶子氏が務めた。

 今回はAcrobatを使って、繰り返し行なっている作業の労力を低減する、というテーマでいろいろな機能をデモを交えながら紹介してくれた。

オンラインで「第2回 Adobe Acrobatメディアおよびインフルエンサー向け勉強会」が開催された

メールへのファイル添付をなくすAcrobatの共有機能

 まずはビジネスユーザーにとても好評な共有機能を紹介。たとえば、取引先に見積書を送る際、送信相手以外にはあまり見られたくないもの。そんな時、Acrobatの共有機能を使えば、指定したメールアドレスのユーザーだけが見られるようにできる。今期のみの割引金額のような場合は、8月31日までといった期限設定をしたり、センシティブな文書を共有する際も、数日間だけ見られるようにするといった使い方もできる。

 具体的には「共有」メニューからアウトルックやGmailのアイコンを選択すると、ファイルのダウンロードリンクが記載されたメールの作成画面が開く。従来のように、メール作成画面を開いてから、ファイルを添付するという二度手間が不要となった。Microsoft TeamsとAcrobatを連携させれば、PDFへのリンクをチャットなどで手軽に共有できるのが便利だ。

「大きなファイルをメールに添付せず、リンクだけをシェアできます。たとえば、見積書を添付すると、アドビのクラウドストレージにアップロードされます。アクセス権限を付けられるので、より安全に共有することが可能になります。実際にファイルを添付しないので、メールサーバーの負荷も少ないですし、見た目もすっきりして、読みやすいと思います。最近、私がやり取りしている方や社内の人は、あまり添付ファイルを使わなくなっています」(山本氏)

米アドビ デジタルメディア事業部 DocumentCloud プロダクトマーケティングディレクター 山本晶子氏

慣例的に行なっている作業をAcrobatを活用してなくす

 アドビは「5つのSTOP宣言」を出している。「以前からやっているので仕方なく、一応やってる仕事」をAcrobatを活用することでなくそう、というものだ(関連記事:“一応やってる”5つの仕事がデジタル化を阻む アドビがSTOPを提言)。

 その1つ目が原本の二重送付だ。請求書や領収書などをわざわざプリントして、封筒に入れて郵送していると、郵便料金や人件費などの無駄遣いになってしまう。郵送の場合は料金の値上がりも発表されているし、紛失リスクもある。

「情報漏えいで怖いのが、プリントアウトした紙をプリンターに置き忘れたり、どこかにいってしまったりすることです。日本の場合は少ないですが、アメリカの場合は郵便システムがそれほど信頼できるものではないので、重要な書類を紛失しまうことがよくあります。そのようなことを防ぐためにも、アプリからセキュアなリンクで共有することで、これからのフレキシビリティにサポートできると思います」(山本氏)

アドビが提唱している「5つのSTOP宣言」

 2つ目がプリントアウト。アドビの本社では、社内の会議はもちろん、顧客との会議でもプリントアウトした資料を渡すということはほぼないとのこと。PDF資料を共有し、それぞれ自分のデバイスでコメントを付けたりしている。

「特にデジタルネイティブと言われている若い世代の人たちは、「今さら紙とか持ってくるわけ? この会社、ローテクだからあんまり働きたくない」というイメージを持つということが、いろいろな調査で出ています。PDFは書き込みもできますし、安全に共有もできます。また、誰にも改善されたくなければパスワードをかけることもできます。これからはデバイスを介した会議が広まっていくと思います」(山本氏)

 3つ目が「またスキャン」。印刷して捺印して、スキャンするという手間のかかる作業についてだ。たとえば、「経費精算のフォームを送ったので記入して送り返してください」と言われることがある。その際、多くの人がプリントアウトして、手書きで書き込み、スキャナで取り込んで、メールに添付しているそうだ。

「Acrobatには『フォームを準備』という機能があります。Acrobat 6くらいからある機能ですが、書類を認識し、フォームフィールドを付けてくれるのです。たとえば、シンプルなテーブルだけでなく、チェックボックスや計算式、ラジオボタン、ドロップダウンリストなども作れます。私はよくこの機能を使っており、プリントアウトやスキャンをする手間が省けるのでとても楽です」(山本氏)

記入を依頼されたPDFにフォームを入れて直接入力できるようにする

 4つ目が「押印と電子署名の二重手続き」。電子サインと言われると敷居を高く感じるが、実はいろいろな種類がある。Acrobatではセルフサインと呼ばれる認印的な機能、法的効力がある電子サイン(Acrobat Sign)やデジタル署名という3種類が利用できる。

 セルフサインは指定されたフィールドに署名や印影などを乗せるだけの機能。法的拘束力がない代わりに、誰でも手軽に利用できる。この機能は無料のアクロバットリーダーでも使えるようになっている。経費精算や同意書などに活用できる。

 電子サイン「Acrobat Sign」は法的拘束力があるサインとなる。電子サインにおいて、何らかの合意や誰がいつ送り、受け取ったのか、誰がサインをしたのかという記録があれば、法的拘束力があるという。Acrobat Signに関しては、メールでのやり取りを合意または記録の受理として使用している。アドビ社内ではすでに電子署名は使っておらず、すべて「Acrobat Sign」を利用しているという。

「デジタル署名は何十年も前から存在していますが、いわゆるデジタル証明書を毎年購入して更新しながら社員に渡す必要があります。法的拘束力はとても高いのですが、すべてのサインにデジタル署名が必要かというとそうではありません。ほとんどの日常的なビジネスのやり取りは電子サインで済みます。たとえば、ヨーロッパやアメリカで車や家を買う時には、デジタル署名が必要だということもあります」(山本氏)

ビジネスのほとんどの電子サインは「Acrobat Sign」で事足りるという

 STOPしたい仕事5つ目は、「メール添付ファイルのパスワード後送」だ。これも冒頭で紹介したリンク共有を使うことで解決する。メールアドレスで招待し、本人しかアクセスできないのでパスワードの共有が不要になるのだ。

誰でも簡単に文書をデザインできるAdobe Express

 最後に、Adobe ExpressとAcrobatを連携させるデモが行なわれた。Adobe Expressはウェブ上で利用できるメディア作成サービスだ。機能は制限されるものの無料で利用できる。また、個人向けAdobe Acrobat ProまたはAdobe Acrobat Standardサブスクリプションを購入しているユーザーは、2025年1月20日までExpressサブスクリプションを無料で利用できる。

「Adobe Expressは誰でも簡単にデザインができるツールです。ちょっとしたパンフレットを作ったり、画像の背景を消すといった時に、みなさん外注していたのですが、経費の節約やスピードツーマーケットも重要です。とにかく早く簡単に誰でも使えるツールが必要というお客様の声を元に作られたツールです」(山本氏)

 Word文書から作成されたPDFをAdobe Expressに読み込むと、文字の配置パターンを変更したり、画像の色を調整したりできる。そこまで機能が豊富ではないが、その分クリエイティブのプロでない人も手軽に利用できるのが特徴だ。

PDFをAdobe Expressに読み込んでデザインをやり直すデモが行われた

「将来的にはAdobe ExpressとAcrobatのプロダクト2つを融合させて、シームレスに作業できるようにしたり、(アドビの画像生成AI)Adobe Fireflyとくっつけたりする予定があります。Adobe Expressは本当に簡単に使えるので、ぜひ皆さんもAcrobatと一緒に使ってみてください」と山本氏は語った。

 何となく続けている仕事でAcrobatを活用すると、大きな業務改善を実現できる可能性がある。皆さんの会社でも「5つのSTOP宣言」を自分事ととらえ、業務の見直しをしてみてはいかがだろうか。また、Adobe ExpressとAcrobatの連携は面白いし便利。ぜひ使ってみてほしい。

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