XM(体験管理)に特化したAIで「ビジネスをもっと人間らしく」
日本市場に1億ドル投資 ― クアルトリクス CEO「体験管理の素地が整った」
2024年07月30日 09時00分更新
クアルトリクス(Qualtrics)は、2024年7月24日、都内で年次イベントの日本版である「クアルトリクスカンファレンス」を開催した。来日した本社CEOであるジグ・セラフィン(Zig Serafin)氏は、日本のユーザー企業、パートナーに対して、「今後5年で日本市場に1億ドルを投資する」と日本市場へのコミットを表明した。
日本市場に5年で1億ドルを投資 ― 「土台は整った」とCEO
クアルトリクスは、体験を管理するXM(eXperience Management)ソリューションにて、顧客と従業員向けの体験管理をクラウドで提供している。
セラフィン氏によると、Fortuneが選ぶもっとも賞賛される企業50社のうち、43社がクアルトリクスを利用。日本のユーザー数も500社を上回り、その中にはLIXIL、ヤマハ発動機、マツダなども含まれる。
LIXILは従業員向けに活用し、「わずか5ヶ月で、従業員エンゲージメントを10%向上させた」という。またBMWグループは、日本にて顧客向けの体験管理として活用、「90%の顧客に対して、3日以内にディーラーがフォローアップできる体制を構築して、顧客ロイヤリティと再購入率を改善させた」という。
クアルトリクスが目下注力するのがAIだ。「Qualtrics AI」として、同社の体験管理のデータをベースに、AIの開発を進めている。
セラフィン氏は、人口減少などの問題から日本では特にAI活用が重要になると予測する。実際、同社が行った年次サーベイでは、日本のCEOの50%がAIを活用していると回答、米国の38%、欧州の28%を上回った。「日本企業は、AIは“仕事を奪う”のではなく“仕事を簡単にする”ということに気がついている。AIを活用することで、競争力を養うこともできる」とセラフィン氏。
一方、日本の課題として、顧客体験で“7.6兆円の機会を失っている”、従業員体験でも“2021年からウェルビーイングが14ポイント下がっている”、といった調査結果も紹介した。
このような状況下の日本市場に対して、「5年間で1億ドルを投じる」とセラフィン氏は約束する。「日本企業が顧客そして従業員の両方により良い体験を提供し、収益性を改善して売り上げを加速させる、これをクアルトリクスは支援する」(セラフィン氏)。
クアルトリクスは2023年、グローバルでAIに5億ドルを投資する計画を明らかにしており、日本市場への1億ドルはこれに追加する形となる。
講演後、セラフィン氏に投資のタイミングについて聞いたところ、「現在クアルトリクスは、日本のほぼ全ての業界でユーザーを抱え、土台が整った状態にある。私が説明した日本市場から感じている兆候は、米国でも少し前に経験していたものであり、投資のタイミングとして良い時期にある」と述べた。
また、グローバル企業の日本展開、あるいは日本企業のグローバル展開などが進んでいることも背景にあるという。「日本市場には大きな需要があり、市場のオペレーションを加速させていく」とコメントした。
1億ドルの具体的な投資内容として、データ機能の追加、AI機能の日本語化、XM専門家の増員などが挙がった。日本法人を率いる熊代悟氏(カントリーマネージャー)は、「製品、特にAIに投資する」と強調する。