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肝がんを発症しやすい脂肪肝患者を見分けるバイオマーカー

2024年06月26日 06時16分更新

文● MIT Technology Review Japan

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大阪大学、佐賀大学、北海道大学などの研究グループは、脂肪肝患者のうち肝がんを発症しやすい患者を見分ける新しいバイオマーカーを発見した。肝臓が硬くなり、肝硬変に至ると高い頻度で肝がんを発症するが、脂肪肝の場合は少し硬い程度の患者の多くが肝がんを発症しており、肝臓の硬さのほかに肝がん発症リスクを見分けるバイオマーカーが求められていた。

大阪大学、佐賀大学、北海道大学などの研究グループは、脂肪肝患者のうち肝がんを発症しやすい患者を見分ける新しいバイオマーカーを発見した。肝臓が硬くなり、肝硬変に至ると高い頻度で肝がんを発症するが、脂肪肝の場合は少し硬い程度の患者の多くが肝がんを発症しており、肝臓の硬さのほかに肝がん発症リスクを見分けるバイオマーカーが求められていた。 研究グループは先行研究から血中GDF15(Growth Differentiation Factor 15)値に注目。大阪大学医学部附属病院など4つの病院を過去に受診し、肝生検を受けた脂肪肝(MASLD:Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease)患者518名の保存血清からGDF15値を測定した。測定結果を、その後の肝がん発生率や非代償性肝疾患イベントによる入院率、死亡率と比較した結果、血中GDF15値は、肝臓の硬さの危険指標(FIB-4 index)とは独立して、肝がん発症のリスク因子であることが分かった。 肝生検で評価した肝臓の硬さに応じて肝がん発症率を検証したところ、肝臓がかなり硬くなっていた患者(F3〜F4)は高い頻度で肝がんを発症していたが、そこまで硬くはなかった患者(F0〜F2)からも肝がんは発生していた。ただ、いずれの場合でもGDF15値が低ければ、5年以内に肝がんを発症していなかった。 肝生検をせずともに肝臓の硬さを評価できる範囲で、FIB-4 indexの値と肝がん発症リスクを検証したところ、低リスク患者では肝がんはほとんど発症せず、非代償性肝疾患イベントによる入院もほとんどなかった。中リスクの患者を見ると、血中GDF15値が高いと、その後の肝がん発症リスク、非代償性肝疾患イベントによる入院率、死亡率ともに高いことが分かった。 研究成果は6月3日、アラメンタリー・ファーマコロジー・アンド・セラビューティクス(Alimentary Pharmacology & Therapeutics)誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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