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理研など、光合成細菌が無機肥料の代替として使えることを確認

2024年06月20日 06時56分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所と京都大学の共同研究チームは、窒素を空気中から固定する光合成細菌のバイオマスが、作物栽培の窒素肥料として利用可能であることを明らかにした。

理化学研究所と京都大学の共同研究チームは、窒素を空気中から固定する光合成細菌のバイオマスが、作物栽培の窒素肥料として利用可能であることを明らかにした。 研究チームは今回、海洋性の非硫黄紅色光合成細菌(Rhodovulum sulfidophilum)は窒素と二酸化炭素の固定が可能であり、これを破砕・乾燥処理したバイオマスは11%(重量比)もの窒素を含有していることに着目。そのバイオマスを肥料として利用し、植物(コマツナ)がバイオマス由来の窒素を直接的に取り込んでいることを確認した。さらに、このバイオマスは無機肥料の4倍に相当する量を施肥しても植物の発芽や生育に悪影響が見られないことを明らかにした。 現在の農業は化学合成された無機肥料に大きく依存しているが、無機肥料の製造と使用は環境へ多大な負荷をかけている。過剰に施肥され余剰となった無機窒素は環境中へと流出し、土壌の有機態炭素を枯渇させたり、一酸化二窒素(N2O)へと変換され、農業分野からの温室効果ガス排出の一因になったりしている。 今回の成果は、既存の窒素肥料に替わる持続可能な窒素肥料の開発に貢献すると期待される。研究論文は、科学雑誌npjサステナブル・アグリカルチャー(npj Sustainable Agriculture)オンライン版に2024年6月7日付けで掲載された

(中條)

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