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いま聴きたいオーディオ! 最新ポータブル&ハイエンド事情を知る 第24回

ヘッドトラッキングもアトモスもいい!!

映画を楽しむのにいい! Sonos初のヘッドホン「Sonos Ace」体験レポ (3/3)

2024年06月03日 22時00分更新

文● ASCII

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映画が楽しい! Sonosらしいシネマ体験

 この記事ではこうした特徴を持つ、Sonos Aceの魅力をできるだけ率直に伝えたいと思う。Sonos ArcとSonos Aceを組み合わせて、映画の音を中心に試聴してみた。

 Sonos AceとSonos Arcの連携に関しては発表時にも記事にしているが、一般的なBluetoothによる接続でテレビにヘッドホンをつなぐのではなく、テレビとHDMIにつながったサウンドバーとヘッドホンを1対1のWi-Fi通信でつなぐ。その結果、テレビにつながった様々な機器の音をヘッドホンで楽しんだり、テレビで再生しているサラウンドオーディオをヘッドホンでも存分に楽しめになるようになるというものだ。

Sonos Arcと組み合わせた

 ここでポイントとなるのは、サウンドバーの高い計算リソースを活用することで、テレビから出力された音声信号を最大7.1.2chにアップミックスしたり、Sonos Aceに適した形でバーチャルサラウンド化して伝送したり、ヘッドトラッキングによってSonos Aceを装着したユーザーがヘッドホンを付けているのを忘れているほど自然に空間を感じたりできるという点である。

 Sonos Aceには、周囲の音を聴く「アウェアモード」があるが、このモードにしてSonos Arcで再生中の音をSonos Aceに切り替えると、一瞬その音がヘッドホンから鳴っているのか、サウンドバーから鳴っているのか分からないほど、自然で驚く。アウェアモードは周囲の音も耳に入る分、姿勢が変わったり、顔の向きが変わっても、テレビのある前方向から音が届くことが変わらないことを実感できる。その意味ではヘッドトラッキングと相性が良いが、慣れてくるとノイズキャンセルモードでも音が自然であることに気付き、ヘッドトラッキングがあることの利点を感じる。

 サウンドバーとヘッドホンの聞こえ方は当然異なるが、同じSonos製品であるためか、近い雰囲気になっており、違和感も少ない。このヘッドトラッキングに関する処理は、Sonos Aceのセンサーから取得した姿勢の情報をSonos Arc側で処理する仕組みになっている。だからこそできる精度と言えるだろう。

 なお、Sonos Aceはドルビーのヘッドトラッキングにも対応しているので、iPadなどで再生中のNetflixの動画でも適用できる。

しっかりとした音質チューニング

 実際の音質だが、セリフなど人の声はかなり細かい子音まで拾い、プロ機器などに多いチューニングに感じる。イメージとしては、ヘッドセットなどで、近めのマイクで声を拾った時のような音の近さ、細かさがある。

 テレビで映画などを観る際は、少し距離が離れる。そのためかたまに音が途切れることもあるが、映画や音楽などを迫力あるサウンドで楽しめる。割合ニュートラルな雰囲気だが、低域はかなりしっかりしていて重量感やビート感がある。

 Sonosアプリを利用することで、空間オーディオのオン/オフに加えて、ヘッドトラッキングのオン/オフの切り替えもできる(当然だが、ヘッドトラッキングのオン/オフができるのは、空間オーディオをオンにした状態でとなる)。当然のように、その差はかなりあるので、店頭デモなどを体験する機会があるのなら、ぜひ実機で確かめてほしい。

アームはハウジング内に収納されていく仕組み、シンプルな見た目もいい

頭上から雨が降り注ぎ、後方まで音がしっかりと回る! 

 サラウンド感に関してだが、Dolby Atmosで制作されたコンテンツではきちんと音が回り込んでくる。自分を中心に前方から背後に回り込み、また前方に戻っていくような音の動きも後方の距離感はやや近めなもののしっかり感じ取れるし、雨が降ったり、ヘリコプターが頭上で旋回しながら移動したりするような表現もしっかりと再現する。低域もかなり濃く、爆発音などの迫力や硬い金属を叩いた重量感(低域の太さと高域の伸びの両方が必要)なども良い。

 音に包み込まれるという感覚ではサウンドバーも優れているが、前方から鳴る関係で音場の広さは示せても、背後に回り込むような音の動きは完全に再現できない。Sonos Arcの場合はワイヤレスでリアスピーカーの追加もできるが、Sonos Aceの場合はリアスピーカーを設置せずに自分を中心としたさまざまな位置から音を感じられるので、より優れたサラウンド感を味わえるという面もある。

 この感覚は、例えばボヘミアンラプソディーの終わり近くのライブシーンなどでも有効。ステージを中心に広がる音だけでなく、自分の背後にいる人々の歓声なども感じられるので、自分もライブ会場にいて、群衆の中でステージを見ているという実感がわく。

 すでに述べたように、Sonos Arcで再生中の音はコンテンツボタンの長押しすることで、Sonos Aceの音に切り替わる。サウンドバーでは音が聞けない深夜や別の家族がいるリビングで映画の世界にひとり没頭したい場合もすぐにSonos Aceに切り替えられる。さらに、上下で音量調節ができるのもなかなか便利だ。

 Sonos Aceを使って、ヘッドホンで映画の音を楽しむという提案はなかなか楽しい。

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