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東北大、針なし注射の新技術を開発  注入量倍増と小型化を実現

2024年05月31日 09時54分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学の研究チームは、針を使わない注射の薬剤注入量を倍増させ、機器の小型化を実現する技術を開発した。この技術は、微小な電流を流して薬やワクチンを浸透させる「イオンフォトレーシス」の一種である。

東北大学の研究チームは、針を使わない注射の薬剤注入量を倍増させ、機器の小型化を実現する技術を開発した。この技術は、微小な電流を流して薬やワクチンを浸透させる「イオンフォトレーシス」の一種である。 従来のイオンフォトレーシスでは、薬液は陽極側から注入され、陰極側では体液が吸い出されるため、装置の小型化には限界があった。研究チームは、この問題を解決するために、新たな多孔性マイクロニードルを開発した。細孔の内壁に負電荷を帯びたPAMPS(ポリ-2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)を析出させたマイクロニードルと、正電荷を帯びたPAPTAC(ポリ-(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム)を析出させたマイクロニードルの2種類を用いた。この2種類のマイクロニードルをそれぞれ陽極と陰極に搭載することで、両極から薬液を注入できる小型の注射器を作成した。 ブタ皮膚切片にデキストランやローダミンを注入した実験の結果、分子のサイズや電荷に関係なく、両極から安定して薬液を注入できることが確認された。また、この注射器を使ってマウスにワクチンを投与した結果、抗体産生が倍増することが明らかになった。 研究成果は5月21日、アドバンスト・ヘルスケア・マテリアルズ(Advanced Healthcare Materials)誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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