国立がん研究センター、がん研究会、東海大学、金沢大学、琉球大学、東北大学の研究グループは、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)によるがん細胞の増殖促進の新たなメカニズムを発見した。これまでhTERTはテロメアを伸長して、細胞の分裂回数の限界を延長すると考えられてきたが、細胞のがん化を促進する機能が別に備わっていることが分かった。
国立がん研究センター、がん研究会、東海大学、金沢大学、琉球大学、東北大学の研究グループは、ロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)によるがん細胞の増殖促進の新たなメカニズムを発見した。これまでhTERTはテロメアを伸長して、細胞の分裂回数の限界を延長すると考えられてきたが、細胞のがん化を促進する機能が別に備わっていることが分かった。 研究チームは、hTERTがRNAを合成する能力が、細胞ががん化する過程で重要な役割を果たしていることを突き止めた。特に、hTERTが生成するRNAが、がん細胞の増殖に必要であることをマウスモデルを用いて実証した。さらに、hTERTがR-loopと呼ばれる異常なゲノム構造に結合していることも発見され、この結合ががん細胞の細胞死を回避し、細胞が増殖するために役立っていることが明らかにされた。 発見は、がん治療においてhTERTをターゲットとする新たな治療戦略の開発につながる可能性があり、がん治療の新しい道を開くことが期待される。研究成果は5月28日、ネイチャー・セル・バイオロジー(Nature Cell Biology)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
※6月5日10時20分更新:本文に一部誤字がありました。掲載中の記事は修正済みです。