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シームレスなデータ利活用環境を実現するネットアップの価値

AIインフラの課題はデータの偏在性、サイロ化、そしてセキュリティ

2024年05月30日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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 データの偏在性とサイロ化、そしてセキュリティという課題を解消したAIに最適なデータインフラとはなにか? クラウドとオンプレミスをシームレスに結び、AIの利活用に最適なデータ統合環境を目指すネットアップのAIソリューション製品統括部門においてシニアディレクターを務めるラッセル・フィッシュマン氏に話を聞いた。(インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ 以下、敬称略)

米ネットアップ AIソリューション プロダクトマネジメント シニアディレクター ラッセル・フィッシュマン氏

顧客の課題は「データの遍在性」 ネットアップの解決策は

――フィッシュマンさんの経歴とロールを教えてください。

フィッシュマン:ネットアップに入社して9年になります。英語なまりですが、20年間住んでいるのはニューヨークです。現在は、プロダクトマネジメントのシニアディレクターという役割で、ネットアップのソリューションをカバーしています。その範囲の1つがAIで、この4年間はネットアップのAI分野のプロダクトマネジメントを手がけています。

ネットアップがAI分野を手がけて6年になりますが、すでに成功を収めています。商業環境でのユーザーは500社以上にのぼっており、さまざまな事例をカバーしています。これは市場をよく理解しているから実現できたことです。

――では、AIに対する顧客の課題をどう考えていますか?

フィッシュマン:まずお客さまの課題は、データが至る所にあるという「遍在性」です。オンプレミスの時代から、データはいろいろなところで生成され、いろいろなところで使われてきました。しかし、ユーザーはインフラやストレージを気にしないので、さまざまなところにデータが分散してしまいます。クラウドが台頭したことで、この分散はさらに加速化しています。

AIのデータはただですら複雑であり、ハイパフォーマンスが要求されます。この結果、AI分野にフォーカスしたベンダーが台頭するようになりましたが、特定領域でデータを利活用するので、複雑性はさらに高くなっています。データサイエンティストやデータエンジニアにとって、不必要な複雑性が生じてしまうのです。

バラバラのインフラが構築されてしまうと、当然ながら生産性が低くなってしまいます。AIによる価値を生み出すまで、時間もかかってしまうし、分散することで責任あるAIの実現も難しくなります。

AIに求められるインフラの課題

ただ、こうしたお客さまの課題は、ネットアップにとって挑戦しがいのある課題です。なぜならネットアップはユニークな技術的な特徴を持っているからです。

――どういったソリューションがあるのでしょうか?

フィッシュマン:私たちは市場でかなりユニークなポジションをとっています。AWS、マイクロソフト、グーグルといったハイパースケーラーと緊密に連携しており、OEMのファーストパーティとしてクラウドストレージを展開しています。これにより、マルチハイブリッドクラウド環境をシームレスに実現できます。

先日行なわれたGoogle Cloud NEXTで発表されたのは、NetAppの生成AIツールキットです。お客さまはGoogle Cloudのネットアップのボリュームを介してGoogle Vertex AIで分析することが可能になります。これにより、生成AIの利用のハードルは著しく低くなります。また、新しいサイロを作ることも、新しいベンダーと契約する必要もないし、シンプルで、セキュアです。

――AI領域におけるパートナーシップについて教えてください。

フィッシュマン:AIの市場は非常に分散化されています。商用プロダクト、OSSなどが混在している環境で、具体的な成果を出す必要があります。この6年間、エコシステムの整備を行なってきました。今では単にOSSのツールのみならず、MLOpsの主要なベンダーとも提携しています。

もちろん業界大手との連携も強化しています。NVIDIAのGTC 2024というイベントでは、基調講演でネットアップについて言及されました。NVIDIAは他のストレージベンダーとも連携していますが、基調講演でフォーカスが当てられたのは、われわれが長らく非構造化データを扱ってきたからです。

NVIDIAのイベントではNetAppとの連携がアピールされた

長らくNASの市場でリーダーである私たちは、他のどのベンダーよりも非構造化データのプロフェッショナルです。データを動かさずにRAGのアーキテクチャを取り込むことができます。これがAIの価値をもたらせるのです。

データ統合、パフォーマンス、セキュリティ AI事例の価値

――AI分野でのユースケースを教えていただけますか?

フィッシュマン:前提のお話ですが、これまでのAI市場はお客さまごとにユースケースが違うのが一般的でした。これはAI市場が成熟していなかったという意味でもありますし、イノベーションが急速に進んだということでもあります。でも、今ようやくAIのユースケースは反復性が見え始めています。

――パターン化できるようになってきたわけですね。

フィッシュマン:はい。本当に多くの事例とストーりが存在します。でも、お客さまはAIで差別化を図ろうとしているため、残念ながら名前を出せないことも多いのです。これはご理解ください。

――もちろん、理解します。

フィッシュマン:まずはエンタープライズの典型例では、大手の製薬会社で、AIのトレーニング能力を構築したいというニーズに応えたものです。この会社は、子会社を多く抱えているのですが、本社で持っているデータをうまく活用できないという課題がありました。ベストプラクティスという概念がないまま、多くのユーザーがデータを使っている状態。リソースの利用も非効率でしたし、そもそもGPUは高価でした。

そこで、私たちが行なったのはお客さまのAI Center of Excellenceの構築を支援することでした。さまざまなデータソースからデータの統合を行ない、シームレスなハイブリッドクラウド環境を構築。GPUのリソースをオンプレだけでなく、クラウドでも利用できるようにし、柔軟性を確保できるよう、とにかくシンプルなインフラを構築しました。データサイエンティストも、エンジニアも、仕事がシンプルにできるようになり、創薬のユースケースに耐えうるようなパフォーマンスも実現しました。

――データの統合利用環境を実現したわけですね。

フィッシュマン:パフォーマンスという観点では、北米の自動車会社の話もさせてください。市場のスピードに追いつくよう、完全な自律走行車を作るというプロジェクトで、大量のデータが必要になります。自動車で生成された大量のデータをデータセンターに送り、トレーニングさせた上で、エッジ側で推論を行ないます。大量のデータをプロセッシングするために、クラウドでも、エッジでも、パフォーマンスが必要になります。これらすべてを実現できるのは、ネットアップだけです。

NetApp AIを活用したユーザー事例

私がとても気に入っているのは、ロボティックな義手・義足を作っている企業の事例です。彼らのロボティックアームはクラウドとつながっており、データを送受信しています。こうなるとセキュリティが心配になります。

――ハックされたら、本当にSFのホラー映画になってしまいますね。

フィッシュマン:はい。アームに送られるデータ、アームから送られるデータは、重要な医療情報です。会社にとっても必須のデータなので、産業スパイから防御できなければなりません。ネットアップはこうしたデータもエンドツーエンドで保護できます。

われわれが支援しているテーマパークカンパニー会社は、個人的なエキスペリエンスにフォーカスしています。テーマパークで撮影された写真を元に体験のパーソナライズにしており、写真をTシャツにプリントしたり、来場者にあわせてデジタルサイネージの内容を変えています。来訪者たちのIDや個人情報を使わず、こうしたパーソナライズを、しかもリアルタイムに実現しているのです。

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