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宇宙生命探査の鍵となる「太陽系外の金星」を40光年の距離に発見

2024年05月28日 06時57分更新

文● MIT Technology Review Japan

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自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター、東京大学、国立天文台、東京工業大学の研究者を中心とする国際研究チームは、地球から40光年の距離に地球サイズの系外惑星「グリーゼ(Gliese)12 b」を発見した。この惑星は、過去に発見された系外惑星と比べて、「金星のような惑星の大気の特徴を調べるのに最も適した惑星」であり、同惑星の大気を詳細に調査することで、惑星が生命を育む環境をもつための条件についての理解が進むと期待されるという。

自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター、東京大学、国立天文台、東京工業大学の研究者を中心とする国際研究チームは、地球から40光年の距離に地球サイズの系外惑星「グリーゼ(Gliese)12 b」を発見した。この惑星は、過去に発見された系外惑星と比べて、「金星のような惑星の大気の特徴を調べるのに最も適した惑星」であり、同惑星の大気を詳細に調査することで、惑星が生命を育む環境をもつための条件についての理解が進むと期待されるという。 今回発見された惑星の主星「グリーゼ 12」は、太陽の約4分の1の大きさのM型星である。2023年に米国宇宙局(NAS)の宇宙望遠鏡「テス(TESS)」によって、地球サイズの惑星候補が発見された。研究チームは、多色撮像カメラ「マスカット(MuSCAT)」などを用いた地上観測で同惑星候補の追観測を実施し、惑星の存在を確認。さらに、TESSやすばる望遠鏡の赤外線分光器「IRD(InfraRed Doppler)」による観測データから、公転周期が12.8日、半径が地球の約0.96倍、質量の上限値が地球の3.9倍であることを明らかにした。 グリーゼ 12 bは、地球・太陽間の距離の0.07倍と主星のごく近くを公転しているが、主星の温度が低いことから、主星から受ける日射量は地球の日射量の約1.6倍で、金星と同程度に留まっている。研究チームは、「今後のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による詳細観測や、将来の30メートル級地上望遠鏡によるトランジット分光観測や直接観測によって、この惑星がどのような大気を持つのか、水蒸気、酸素、二酸化炭素などの生命に関連のある成分が存在するのか、明らかになる」としている。 研究論文は、アストロフィジカルジャーナルレターズ(Astrophysical Journal Letters)に掲載された

(中條)

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