以前、真っ白なタイベック地の腕時計に自分の好きなイラストや文字をカラー油性ペンで描いて自分専用のカスタマイズ腕時計を作る「paper watch」(ペーパーウォッチ)というのがあった。そのような手描きテイストをオクタゴンベゼルのG-SHOCKに施した「MANGA THEMEシリーズ」(以降、マンガG-SHOCK)を衝動買いした。
人気のGA-2100シリーズが手描きマンガ風デザインになった
もちろんこの手の製品には目がない筆者は、予約開始日にヨドバシ.comで予約して発売日の5月17日に手に入れた。筆者が衝動買いしたのはMANGA THEMEシリーズの2色のカラーバリエーションのうち、ブルーのモデル(GA-2100MNG-2AJR)だ。
もちろんパッケージもMANGA THEMEシリーズ用に特別にデザインされた「Cheap but Goodies」なこだわりのアイテムだ。高級腕時計に付きものの腕時計クッションが単にあまったイメージの、長いボール紙をただ丸めただけのモノに反射的にしびれてしまった。
世界的に有名なイラストやアニメのキャラクターを文字板やベルトに採用したアート系の腕時計は、それほど珍しくはない。マンガG-SHOCKは一般的に「マンガ」と呼ばれるジャンルのアバウトなモノに、人が持っている特徴的イメージをベゼルとベルトを含む腕時計全面をキャンバスとして具現化した腕時計だ。
筆者が衝動買いしたブルーのマンガG-SHOCKは、ブルー1色の腕時計型キャンバスにマンガの特徴や細部の描画イメージを黒インク一色で表現した単純なモノだ。あくまで人が手書きで描くマンガ風のイラストなので、細部にはある程度ラフで自然な「いい加減さ」が漂っている。
マンガG-SHOCKのベースモデルには、筆者も既に何個かコレクションしているオクタゴンベゼルの人気シリーズGA-2100が採用されている。腕時計本体の上面や側面、ベルト表面は昨今流行の「だまし絵」風のボールドなラインでラフに縁取りがされているのが特徴だ。
そしてそのベースの上にマンガでよく使われるスクリーントーンをベゼルや文字板、ベルトなどの要所要所に貼りつけたイメージで、腕時計そのものがマンガの1シーンから飛び出してきたような錯覚を覚える製品だ。
もちろんベゼルやベルト、文字板へ貼り付けられたスクリーントーンもいい加減な人が良い具合に適当に均等でなく手を抜いてカットしたイメージだ。完成した腕時計を見るとあたかも人が描いたように線の太さや濃淡、かすれ具合が手抜きのラフ仕様なのだ。黒い時刻マーカーのいい加減な不均等さや塗り方、カスレ感が最高だ。
9時位置の曜日を指し示すレトログラード系の針は、マンガのセリフの吹き出しをイメージしたデザイン。そして3時位置から6時位置に配置されているデジタル表示のカレンダー(月日)や秒表示は、あたり前のように不似合いなぐらいクッキリとしているが、周囲のフレームや機能表記文字の周辺が極めてラフなので雰囲気を崩すことがない。
腕時計の裏ブタには、マンガの効果音をカタカナで大きく刻印し、けっしてマンガG-SHOCKの購入を考えるユーザーの期待を裏切らない遊び心溢れる仕上がりになっている。
予約段階で、筆者は2つあるカラーバリエーションのホワイトとブルーでどちらを選択するか、30分ほど悩んでしまった。ホワイトモデルは全体的にはシックでビューティフルなのだが、長針が濃いイエローの枠取り、短針が黒枠のホワイトで視認性と商品の押し出しで多少不満があった。結果的にベースカラーはブルー、長針の存在感の目立つエイジド感のある赤フレームのモデルを選んだが正解だった。
マンガG-SHOCKを購入して当初唯一気になっていたことは、かなり太めの長短針が部分的に重なった時に時刻によっては短針が長針の太くて長い尻尾に部分的に隠れて、とっさに何時か判断しずらいことだった。しかしこのマンガG-SHOCKではそんなことは二の次だ。一番大事なのは全体として突き進む唯我独尊デザインのパワーなのだ。
公式サイトの製品紹介文にも「製品の特性上、1点1点のパーツ(ベゼル、バンド、文字板、見切り板など)には個体差がございます」と記述されているので本当なのだろう。ひょっとしたら世界に1本だけのマンガG-SHOCKにあたる可能性もあるのだ。
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