東京大学とマックス・プランク生物サイバネティクス研究所の研究グループは、マウスがネオンカラー錯視を見ていることを初めて実証した。オンカラー錯視とは、実際には存在しない色や光が見えるという現象で、今回の研究でマウスが人間と同様に錯視を経験することが示された。
東京大学とマックス・プランク生物サイバネティクス研究所の研究グループは、マウスがネオンカラー錯視を見ていることを初めて実証した。オンカラー錯視とは、実際には存在しない色や光が見えるという現象で、今回の研究でマウスが人間と同様に錯視を経験することが示された。 研究グループはまず、ネオンカラー錯視によって生じる見かけ上の明るさの変化に、マウスの瞳孔が反応することを確認した。これは、ヒトと同様にマウスが錯視を見ている可能性を示しているという。また、オプトジェネティクスと脳の侵襲計測を組み合わせて、錯視がどのように脳によって処理されるかを調べた。その結果、特に、第一次視覚野のニューロンが高次視覚野の活動によってどのように影響を受けるかを明らかにし、錯視に対する高次視覚野の重要な役割を確認した。 この発見は、視覚情報の処理における高次の神経活動がどのように錯視を引き起こすかを理解する上で新たな洞察を提供し、視覚錯視の研究だけでなく、視覚に基づく神経障害の治療法開発にも寄与する可能性がある 研究成果は4月23日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)にオンライン掲載された。(笹田)