ワコムは4月23日、同社の新製品「Wacom Movink 13」を発表した。Wacom Movinkは、同社の最薄・最軽量となるディスプレータブレットの新ブランドであり、初めて有機ELディスプレーを採用したことが大きな特徴となる。ワコムストアでの直販価格は11万8800円。5月15日に発売予定だ。
厚さは最も厚い部分で6.6mmとなり、重量はわずか420g。同社のエントリー向けモデル「Wacom One 13 touch」より55%軽量化しているという。サイズは13.3型のフルHD解像度となる。
ディスプレーにはSamsung Display製の有機ELパネルを採用しており、色域はDCI-P3カバー率100%、Adobe RGBカバー率95%と豊かな色彩表現が可能だ。また、コントラスト比は100000:1と有機ELならではの非常に高い比率を実現。
正確な色表現が可能な証として、「PANTONE」「PANTONE SkinTone」認証も取得している。また、同社のソフトウェア「Wacom Color Manager」によるキャリブレーションにも対応する。
さらに、通常の液晶パネルでは、どうしても加圧時(指やペンで押し込んだ時)に表示のゆがみが発生していたが、有機ELであれば構造的にそうした現象が起こらず、表示の変化がない。画面にタッチすることが前提のペンタブレットにおいて大きな変化といえるだろう。
一方、有機ELパネルは液晶パネルに比べて、画面の“焼き付き”が発生しやすいとされる。長時間同じ画像などを表示した際に残像が残ってしまうような現象だが、本機ではそうした劣化を緩やかにするため最大輝度を制限する「Display Saving」機能を備えている。
Display Saving機能は標準でONになっている。本機能の設定も含めたOSDメニューは、左右側面のボタンを押すことで表示可能だ。
なお、ペンタブレットにありがちなショートカットキーは一見無いように見えるが、実はベゼル部分がタッチキーになっており、ここにショートカットを割り当てられる。
接続インターフェースはUSB Type-Cのみ。USB Type-Cでの電源供給と映像出力に対応しており、ポートから15W以上の電源供給が可能ならケーブル1本で使用可能だ。それ以下の場合、Wacom One用のACアダプターなど20W以上の電源供給が可能なACアダプターの使用が推奨されているが、付属品にACアダプターはないため別途用意する必要がある。
その他の主なスペックは、以下の通りだ。
Wacom Movink 13の主なスペック | |
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表示サイズ | 13.3型 |
解像度 | 1920×1080ドット |
パネル | 有機EL(OLED) |
表面仕上げ | 非光沢、防指紋 |
リフレッシュレート | 60Hz |
最大表示色 | 10億7374万/1024階調 |
色域 | DCI-P3カバー率100%、Adobe RGBカバー率95% |
筆圧レベル | 8192レベル |
マルチタッチ | 10点マルチタッチ対応 |
インターフェース | USB Type-C×2 |
対応OS | Windows 10以降(64bitのみ、最新のSP適用)、macOS 12以降、Android OS バージョン8.0以降、最新バージョンのChromeOSに対応したデバイス |
付属物 | 替え芯ホルダー付きWacom Pro Pen 3、USB Type-Cケーブル(1m)、クイックスタートガイド、レギュレーションシート、替え芯3本(標準芯1本、フェルト芯2本) |
直販価格 | 11万8800円 |
実際に体験してみた印象としては、とにかく軽く取り回しが良い。片手だけで難なく支えられるので、机に固定せず手持ちでイラスト制作をしたい人などにも適しているだろう。ソファでくつろぎながら使用するといったこともできそうだ。
また、アクセサリー類もより持ち運びに適した形になっており、クリエイターの多様な働き方をサポートする製品となりそうだ。
今回、ワコムによる製品発表会では、デザイナーの有馬トモユキ氏(@tatsdesign)がゲストとして登壇し、トークセッションを行なった。
有馬氏はWacom Movink 13を事前に使用したうえで感じた利点を紹介。例えば他の人との打ち合わせにおいて、その場でデザインのフィードバックをもらいながら修正するといったシチュエーションで、この製品なら手軽に受け渡しができて使いやすいという。
また、有機ELパネルを採用したことで、コントラストがわかりやすくなったことも大きいとのこと。ゲームインターフェースのデザインなどでは、非常に微細なグレーを使い分けることもあり、そうした違いが有機ELなら見分けやすいそうだ。
デザイナーはイラストレーターと異なり、自分の手が邪魔にならないようにマウスなどで作業する人が多いそうだが、ペンタブレットならではの直感的な操作をデザイナーにも一度試してほしい、と有馬氏は語った。