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「スマホ直聞き」からのステップアップに期待あり

JBL、Auracast対応の小型スピーカー「GO 4」「CLIP 5」を国内披露

2024年04月04日 20時00分更新

文● ASCII

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 ハーマンインターナショナルは4月4日、“2024 SPRING New Product Launch Event”を開催。JBLブランドのBluetoothスピーカー3製品を中心に新製品を展示した。注目はCESでも展示され、国内での販売開始が待たれる「GO 4」「CLIP 5」。これにすでに発表されている「XTREME 4」を加えた3機種はいずれもBluetoothの「Auracast」に対応。Auracast技術を使って複数のスピーカーから音を出す、マルチスピーカー再生機能が利用できる。価格はオープンプライスで、発売は4月11日を予定。直販価格はGO 4が7700円、CLIP 5が9900円になる見込みだ。

XTREME 4。ストラップでぶら下げられる。

 JBLはこれまでもステレオペアはもちろん、100台以上を再生できるパーティーブーストなどマルチスピーカーの再生に力を入れてきたが、標準化されたAuracastに対応することにより、JBL製品内の対応機種はもちろん、他社の製品も含めたマルチスピーカー再生の実現が期待できる。会場ではスタジオ内のさまざまな場所に置いた12台のスピーカーを一斉に鳴らすデモなども実施された。小型で設置の自由度の高い製品を多数組み合わせることで、これまでとは趣の異なった再生シーンの提案もできそうであり、興味深い機能と言える。

個性的な3種のマルチカラーモデルも用意されている。

部屋のさまざまな場所に置いたスピーカーを一斉に再生できる。

低音を強化、Auracastにもいち早く対応!

 新機種のうち、GO 4は手のひらに収まるコンパクトサイズのBluetoothスピーカー、CLIP 5は本体上部にカラビナを備え、フックなどに簡単にかけられるBluetoothスピーカーとなる。豊富なカラーバリエーションも特徴で、GO 4とCLIP 5はそれぞれ9色から選ぶことができる。JBLブランドとしても、ファンション性の高さをアピールしており、国内最大級のスニーカーアプリ「スニーカーダンク」とコラボした展示などもあった。

 共通する特徴は、すでに述べたAuracastを含む、Bluetoothの新規格“LE Audio”に対応すること。専用アプリ「JBL Portable」に対応し、複数の機種を一元管理できる。また、Auracastの機能を利用することで1台を親機に設定、その親機からブロードキャスト通信をすることで複数機器で同時に音楽を再生できる。EQ調節や設定変更などもこのアプリからできる。

JBL Portableの画面

写真ではタブレットの左にあるスピーカーを親機にして、LE Audioのブロードキャストをしている。

 LE Audio用に開発された低遅延コーデックである「LC3」についても今後対応していく予定だが、現時点ではAuracastやLE Audioを使ってスマホから送られた音声信号をGO 4やCLIP 5で再生することはできない。

歴代の製品。特にCLIPシリーズのカラビナ部分の進化に注目!

初代のCLIP

最新モデルと比べたところ

 音質面では、ユニットやパッシブラジエーターなどの基本構造を改良してコンパクトながら充実した低音再生が可能となった。ユニットサイズは、GO 4の場合ユニットサイズの面積を16%、CLIP 5の場合パッシブラジエーターの面積を10%アップしている。ゆとりのある長時間再生に加えて、プレイタイムブーストとして音圧を制限することで再生時間を延長できる機能も備える。例えば、GO 4は通常で最大7時間の連続再生が可能な機種だが、プレイタイムブーストを併用することでバッテリー寿命が2時間増える。IP67の防水防塵仕様になっているほか、本体の耐久性も高めているという。外観面ではCLIPのカラビナ部が大きくなっており、開口部が23mmと大きくなったという。マルチポイント接続に対応して、2台のスマホからの音を再生可能になった点も見逃せない改良点だ。

GO 4のスケルトンモデル

CLIP 5のスケルトンモデル

 XTREME 4の詳細についてはすでに2月に発表されているが、GO 4やCLIP 5同様、Auracastやマルチポイント接続などに対応するほか、新アルゴリズムの「AI SoundBoost」によって、高音質化を図っている。

さまざまシーンになじむワイヤレススピーカー

アナログ再生も高音質に楽しめる。

最近ではBluetooth接続に対応したCDプレーヤーも登場してきている。

アウトドアシーンにもなじむ。

スマホで直聞きしている人が多いことは悲観すべきではない

 イベントの冒頭でJBLの製品とその狙いについて解説した、濱田直樹プロダクトマーケティングマネージャーは「75年以上にわたって幅広い製品を展開してきたJBLだが、その歴史の中でもこの10年は音楽の聴き方という点で大きな変化があった10年であった」とコメントした。特に、音楽ストリーミングサービスは国内でも2015年以降徐々に浸透してきており、日本レコード協会の調査では2023年の売上は1056億円。音楽ソフトの売上の3割を占めるようになったと説明し、こういった変化の中で実施したJBLの独自調査(15~49歳の男女各200名/合計400名を対象)についても触れた。

 調査によると、音楽ストリーミングサービスを利用していると答えた人の割合は40%。さらにストリーミング音楽を聴いている人に絞り、再生に使っているデバイスを聞いたところ最も多いのはワイヤレスイヤホンで利用率は72%に達した。一方、ポータブルスピーカーで聞く人は17%と低い水準にとどまっているが、これを上回る33%がスマホ内蔵のスピーカーを利用した「直聞き」をしていると回答している。

 市場の推移を見ても、ワイヤレスイヤホンの市場規模はこの5年間で72%拡大した一方で、ポータブルスピーカーの市場規模は2022年までほぼ横ばいで推移してきたのち、2023年に減少傾向を示している。JBLブランドに限って言えば、ワイヤレスイヤホンは「TOUR PRO 2」などが受け昨年比で200%、ポータブルスピーカーも130%の出荷金額と好調だが、スピーカーの利用をどうやって進めていくかは課題のひとつと捉えているようだ。

 濱田氏は「スマホスピーカーの直聞きが33%という現実は悲観的でもあり、勇気づけられる結果でもある」とコメント。これはたとえスマホ内蔵のスピーカーとはいえ、日常生活の中でイヤホンではなく、スピーカーで聞きたいと考えられるシーンがあるからである。具体的にはイヤホンの利用シーンは通勤通学、仕事勉強、一人の食事、音楽を聴く、動画視聴、スマホゲームなど「独りで没入」(集中して音を聞く用途)であるのに対して、リビング、お風呂に入りながら、ホテル、メイクしながら、キャンプ、料理や家事をしながらなど「ゆったり・ながら」の用途ではスピーカーで音を流す需要が高いことが挙げられる。

 こうした潜在層を取り込む「スピーカーデビューに最適な製品」が、GOシリーズやCLIPシリーズである。グローバル市場に置いてJBLは、コロナ以降ポータブルスピーカーの販売台数を伸ばしており、2023年末までに2億台の累計出荷を達成している。このうち、GOとCLIPだけでも8000万台と人気機種になっているそうだ。

 国内においても、水曜日のカンパネラの詩羽を引き続きPR起用するほか、スピーカーにこれまで縁のなかったスマホ直聞き派にも関心を持ってもらうためのキャンペーンも積極的に展開してくという。冒頭で述べたスニーカーとのコラボもその一環だ。GO 4やCLIP 5は、ポータブルスピーカーをいい音で聞いてもらいたいと考えるJBLによって非常に重要な意味を持つ製品と言えそうだ。

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