国内最大級のオープンイノベーションプラットフォームを運営するCrewwが、Real Madrid Nextと共に「Real Madrid Next Accelerator for Asia」を実施している。スタートアップの募集はすでに終了しているが、12月にデモデイも予定する、注目のプログラムについてCrewwの伊地知天(いじち・そらと)代表に話を聞いた。
Real Madrid Nextは、今シーズンも欧州CLを制したスペインの名門サッカークラブ「レアル・マドリード」が展開するイノベーション・プロジェクト。スペインの名門サッカークラブが展開するグローバル共創プログラムによって、日本のスポーツ業界がどのように変わるのかに注目が集まっている。
世界最高のサッカークラブによるスタートアップ支援プログラム
Real Madrid Next Accelerator for Asiaは、アジア地域を対象に、革新的な技術やサービスを持つスタートアップを募集し、スポーツ産業の改善と発展を目指すプロジェクトだ。サッカーをはじめとするスポーツの発展と、スタートアップ企業の成長を後押しするのを目的としている。
本プログラムでは、Real Madrid Nextが注力している以下の6つの分野に沿う技術やサービスを持つスタートアップを募集した。
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1.E-Health
アスリートの身体的・精神的能力を向上させ、予防、診断、スポーツの回復に影響を与える技術革新。
2.Performance
データと分析から、アスリートのパフォーマンスを評価する能力を向上させるツールやメソッド。
3.Audiovisual
没入型テクノロジーと新しいマルチメディア・チャンネルで、オーディオビジュアル体験を向上させる革新的なコンテンツ。
4.Fan Engagement
スタジアムの内外を問わず、ファンのオンライン・オフライン体験を革新するロイヤリティー商品とサービスの創造。
5.Cybersecurity&Technology
オンライン・データを保護し、情報の紛失を防ぎ、スタジアムへのアクセスを確保しながらその流れをコントロールする新しいツール。
6.Social
レアル・マドリード財団を通じてレアル・マドリードの社会参加を支援し、協力関係を管理する手段を定め、ソーシャル・ツールの改善や環境の持続可能性の向上に寄与するサービスやメソッド。
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採択されたスタートアップには大きなチャンスが生まれる
Real Madrid Next Accelerator for Asiaを実施するReal Madrid Nextは、レアル・マドリードが自クラブやスタジアム、またファンサービスで活用できるサービスや技術の発掘と開発のために設立したプロジェクトだ。
Crewwの伊地知代表によると、過去にもさまざまなイノベーション・プロジェクトを実施していたが、アジア地域からの応募が少ないのが現状だった。そのため、Crewwと協力し、アジア地域だけを対象にパートナーを探していくプログラムがスタートしたという。
魅力はやはり「Real Madrid Nextと協業できる」という点だろう。世界最高のサッカークラブであるレアル・マドリードとの関係性がつくれるのは、企業としては何物にも代えがたいバリュー。採択された場合は出資が受けられる可能性があるのもポイントだ。「まだこれから」というアーリーステージのスタートアップにとっては非常に魅力的なプログラムだといえる。
また、仮に採択されなかったとしても、応募することで多くの関係者の目に留まるため、そこからビジネスチャンスが生まれる可能性がある。Crewwからも応募企業に対して今後開催されるプログラムの紹介などのフォローが行なわれるため、継続してチャンスが得られる。
伊地知代表は「各分野、まだまだこれからというのが現状。意外な技術やサービスが活躍する可能性がある。世界最高のサッカークラブとのプロジェクトだが、臆することなくいろんな企業に参加してもらいたい」と話す。
また、「今回のプログラムを実施し、日本のスタートアップを支援することで、国内でもいろんな動きが生まれるはず。スポーツ産業の発展につながればうれしい」とのこと。日本のスポーツ界の今後を左右するような、新しい技術やサービスが登場する可能性も大いにあるだろう。
CrewwとReal Madrid Nextとの共同で開催されるReal Madrid Next Accelerator for Asiaは、日本を含むアジア地域のスポーツ産業発展に寄与する一大プロジェクトだ。12月のデモデーではどのような取り組みや成果が発表されるのか注目だ。