格安データ通信SIMを買って格安に使い倒す! 第251回
ソフトバンクで安く利用可能な折りたたみスマホ「motorola razr 40s」を格安SIMで使ってみる
2024年03月17日 12時00分更新
格安の折りたたみ機が密かなブーム? 販売ランキング上位に入るほどではない“密かな”ブームではあるものの、持っていると周囲から「パカパカしてみたい」と声をかけられ、画面の曲がるところを凝視されるなど、注目度が上がってきているのは間違いない。そこで、その中でも入手しやすいモトローラ「motorola razr 40s」を格安SIMで使ってみた。
ソフトバンクでのプログラムを活用した購入が最も低コストか?
「motorola razr 40」には、「40」の後に何もつかない無印の通常モデルとソフトバンク向けの「40s」がある。スペック自体は同じで、40sにはソフトバンクのアプリがプリインストールされていることと、カラーバリエーションが40sは1色多いという程度だ。
無印は3月現在、家電量販店で9万9800円程度で単体販売されていることが多いほか、発売当初に安値提供していたIIJmioでは通常価格で11万2000円、MNP加入時で9万9800円となっている。これだと今は家電量販店で購入したほうがよさそうだ。
一方のソフトバンク版のrazr 40sは総額9万7200円。この金額ならわざわざソフトバンクで買う必要はないが、1年または2年で返却する「新トクするサポート」を適用すれば毎月の負担はごくわずかな金額で使える。
契約をソフトバンクにすることで普段の料金は高くなるが、もしMNP前がY!mobileの場合は事務手数料が免除に加えて、最初の1年間は料金割引施策が用意されている。たとえば「メリハリ無制限+」は月7245円だが、翌月から月額2838円引きされて月額4587円でデータ無制限が利用可能。家族加入や固定回線セット、PayPayのクレジットカードで料金を支払えばさらに安くなる。そして「新トクするサポート」の終了までソフトバンク回線を維持する義務は必ずしもない。
razr 40sの店頭での価格は店によって異なるが。毎月1円という例もあり、探せば比較的早くオトクな条件が見つかるだろう。そして後述するが、「新トクするサポート」のような実質レンタルのほうがトータルで出費を抑えられる。
実質レンタルは本当にオトクなのか? という問題
価格に敏感な格安SIMユーザーにとって気になるのは、値引き規制のある種の抜け道として登場した、4年の分割払いのうち最初の1年または2年の支払額を極端に安くして、決められたタイミングで返却すれば以後の支払いが免除されるプログラムは本当にオトクかどうかだ。
これについては、razr 40sでは「新トクするサポート」での購入の方がオトクと考えられる。その理由として、Android機を1年ないし2年使った後に中古で売却する際の相場は低く、完済して完全に自分のものとして売却するよりも、分割払いの残債を免除してもらったほうが得になることが多いからだ。実際、razr 40sの2年後の時点での残債は約7万5000円だが、買取店の買取価格はすでに5万円以下になっており、最後まで使うつもりがなければ完済するよりも返却が得となる。
また、razr 40sを長く使うかどうかだが、折りたたみ機の画面の耐久性は未知数なところがある。折りたたみ機のディスプレーはユーザーがフィルムなどを追加で付けることでの画面保護ができない。折りたたんで内側に隠れるとはいえ、長年に渡って画面操作をしているうちに画面に傷が付いてしまう可能性もある。モトローラではすでに「motorola razr 5G」という先輩の折りたたみ機があるので、耐久性に対するノウハウはあるとは思うが、razr 40sの耐久性は正直わからない。
キャリアのプログラムによる返却時の査定だが、一般的な中古買取とは基準が異なり、壊さず大きな傷がない通常利用の範囲なら減額される可能性が低い。また、箱や付属品の有無による減額もない。そして、破損されるなどソフトバンクの査定基準を満たさない場合でも回収時の2万2000円の追加支払いで済むため、好条件とも言える。
不具合時の2万2000円の追加支払いを高いと思うか安いと思うかだが、昨今の修理金額は思ったよりも高く、修理をするよりも2万2000円払って返却してしまったほうが安上がりになる可能性はある。
使っている間は良い状態で返却しなければならないというプレッシャーがあるかもしれないが、これは大事に使おうというモチベーションにもなるので、筆者も含めて人によってはプラスに働く。
実使用の場面では折りたたみ機の習慣を取り戻すのに戸惑いあり
筆者はrazr 40sを発売日の昨年12月8日に購入。この3ヵ月ほどをほぼメインで使ってきた感想をひとことで言うと「便利だが、折りたたみの習慣を取り戻すのに戸惑いあり」となる。
razr 40s自体は最新のSnapdragon 7 Gen1と8GBメモリーのおかげでサクサク動き、パフォーマンス的には問題ない。画面は開けば縦長画面になるため、動画コンテンツも見やすい。曲げれば机においての動画の再生にも便利。持ち運び時にはコンパクトに収まるためポケットに収めやすい。そして、モトローラ機は素のAndroidに近いため、設定や操作にも戸惑いが少ないというメリットもある。
しかし、折りたたみ機ゆえの弊害も使っているうちに目立ってくる。最初に感じたことはデフォルトで電話がかかってきたときに折りたたみを開くこと着信してしまうこと。誰からの電話かを確認しようと開くと、電話に出ていたとなる。実際には設定で変えられるものの、昔は折りたたみケータイとはこういうものだったと思い出した。
そして、折りたたむことで厚みは増える。ポケットによってはコンパクトすぎて取り出しにくいこともある。何度も言うが、折りたたみケータイはこういうものだったのだ。
さらに少し気になる点といえば、非接触充電の場所が下半分側に寄っていて立てて使う充電ホルダーでは充電しにくい。Felicaのリーダーも同様だ。
なかなか昔の感覚を取り戻せないので、開いたまま使う方法も試してみたが、保護のない画面がむき出しになってしまうため常用すべきではないと判断した。背面側に小さいサブディスプレーもあるが、何かボタンを押すか通知がないと点灯しないため、筆者にはあまり役立った感じはない。
ちなみに実質レンタル品ということもあってケースを利用しているが、ケースによっては外れやすいのと、ヒンジの部分はむき出しにならざるを得ない点は注意が必要だ。
結局のところ、折りたたみに慣れるのに時間がかかっていることに尽きる。とはいえ、コンパクトに使えるメリットがデメリットを上回っており、筆者よりも新しいスタイルに慣れやすい人がいれば、razr 40sは安価な折りたたみ機として非常に良い機種になると思われる。

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