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将来のAirPodsへの採用も期待できそうな具体性を持つ、アップルのイヤーピース新特許

2024年03月10日 09時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 アップルは、AirPodsのイヤーピース装着方式に磁石を採用するかもしれない。

 AirPodsのイヤーピースは現在、特殊形状のはめ込み式だが、先月末に公開されたのが番号US 2024/0073576 A1「MAGNETIC EAR TIP ATTACHMENT WITH POLARITY」(極性付きマグネット式イヤーピース・アタッチメント)である。

 この特許のポイントは2つある。まずはイヤーピースを磁石で取り付けられること。アクセサリーを磁石で取り付けるのが好きなアップルらしい。もうひとつはその磁石の極性を使って逆に取り付けられないようにしていることだ。イヤホンの装着ずれ防止のために「安定性アンカー」と呼ばれる強化部分を非対称型に設けている。

アップルのイヤーピース新特許

Fig 3

 添付図(Fig 3)を見ると、特許の概要がわかりやすい。汎用化するために明示していないが、図はAirPodsを示している。この図の352と354が磁石で、SとNの極性が逆になっており、決まった向きだけで取り付けられる。また、取り付け部分には使用者に正しい方向を視覚的に知らせる“視覚インジケータ”(例えば色分けされた面)を設けられるとしている。別の添付図(Fig 4)を見ると、この磁石部分が曲面となっている実施例を見ることができる。一般的に特許はなるべく広い範囲で請求した方が有利であるため、このように複数の実施例を記載してあることは珍しくはない。

アップルのイヤーピース新特許

Fig 4

 このイヤーピースの向きが必要な理由は、柔らかなイヤーピース内に片側のみに耳を固定するための硬い部分を設けるためだ。この部分は「安定性アンカー」と特許内で呼称されていて、イヤーピースの下側にのみ設けられている。

アップルのイヤーピース新特許

Fig 7

 これはFig 7を見るとわかりやすい。イヤホンが耳と接触している点は3点ある。これらは耳にイヤホンを固定する支えとなるが、柔らかい耳が変形した際に回転力(トルク)を生じさせることもある。例えば、使用者の顔の表情が変化したとき、時間の経過、前かがみになるなど姿勢変化などだ。ジョギングをする時にも起こり得る。こうした回転力によってイヤホンが耳から外れる可能性がある。

 そのトルクはFig 7内のイヤホンが耳に触れている部分525などで発生して、555の矢印の向き(反時計回り)に生じる。そこで615の太い線で書かれた部分のイヤーピースの一部の剛性を高め、変形しないようにして力を抑えるわけだ。

アップルのイヤーピース新特許

Fig 8B

 Fig 8Bの815はイヤーピース内の剛性が高い部分を示している。前述のように耳の構造に合わせて非対称性とし、上下逆につけることはできない。イヤーピースの向きが重要だ。815の部分はイヤーピースの傘部分よりも硬い材料(例えばプラスチックまたは比較的高密度のシリコーンやゴム)で作られている。

アップルのイヤーピース新特許

Fig 9

 また、Fig 9の915はイヤーピースの一部の剛性を高めるのではなく、スプリング式の構造をあたえることで同様の効果を得ることを示している。

 もちろん特許を取ったからと言って、確実に製品化されるわけではない。しかし、これはかなり実現性がありそうな特許であると思う。複雑な機構をイヤーピースに付加することで、純正アクセサリーの優位性を高められるとも考えられる。

 ただし、イヤホン本体の変更も必要になるので、次にAirPodsが刷新されるタイミングで用いられる機能になるかもしれない。

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