大阪大学の研究チームは、半導体量子コンピューターの量子ビット情報を確実に操作する安定量子演算において、通念的な最適化手法を破る高速化法(ショートカット法)を実証した。量子回路内の初期化操作や、読み出し操作など、量子計算に不可欠でありながら非常に遅いとされていた重要な操作に希望を見いだす成果であり、半導体量子コンピューターの実現を後押しすることが期待される。
大阪大学の研究チームは、半導体量子コンピューターの量子ビット情報を確実に操作する安定量子演算において、通念的な最適化手法を破る高速化法(ショートカット法)を実証した。量子回路内の初期化操作や、読み出し操作など、量子計算に不可欠でありながら非常に遅いとされていた重要な操作に希望を見いだす成果であり、半導体量子コンピューターの実現を後押しすることが期待される。 研究チームは今回、変分原理を基にした数学的な最適化手法に加え、物理的なスピン位相操作手法を独自に組み合わせることで、理論的に予測されていたショートカット法を実証。同時に、これまで実現を困難にしてきた原因を明らかにした。 同チームは、電子スピンの操作を安定な軌道に載せたまま高速に操作できる手法を発見し、本来不安定でしかないと思われた量子操作の一部を、安定な基底状態の操作のように、しかも数倍高速に実行することに成功。さらに、物理的主眼を置いた解析により、残った数%の不安定性の原因が特定のデバイス材料によるものであることを解明した。 研究論文は、フィジカルレビュー・レターズ(Physical Review Letters)に、2024年1月12日付けで掲載された。(中條)