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KDDI、南極から8K映像リアルタイム伝送に成功。Starlinkを活用

2024年02月26日 17時45分更新

文● ASCII

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 KDDIは2月26日、南極昭和基地とKDDI総合研究所本社の間で、Starlink衛星通信回線を用いた8K映像のリアルタイム伝送の実証実験を2月13日に実施し、成功したことを発表した。

 南極の昭和基地には2004年にインテルサット衛星通信設備が設置され、観測データを常時国内に伝送することによる研究の進展や、隊員の福利厚生の充実化を目的として運用されてきた。当初は1Mbps程度の速度だったが、2022年11月に最大7Mbpsまで増速した。インテルサット衛星通信を利用した映像伝送は2004年から行われていたが、これまでの映像品質はHDTVが上限だった。

 KDDI総合研究所と極地研は、2022年11月11日にインテルサット衛星通信を活用して、南極域としては世界で初めて8K映像のリアルタイム伝送の実証実験を成功させたが、インテルサット衛星通信用アンテナがある昭和基地周辺だけでなく、離れたところに観測に行った際もすぐに連絡が取れる、気象情報がタイムリーに受け取れるなど、隊員の南極地域観測業務の安全とDX化につながる技術進化が期待されていた。

 Starlinkは昭和基地周辺でも高速かつ低遅延なネットワークを利用できる。また、Starlinkのユーザーターミナル(アンテナ)の可搬性を活かすことで、昭和基地およびその周辺だけでなく、より広範囲での作業に活用できるという。南極大陸の自然観測や、昭和基地から離れた場所での観測隊員と国内担当者とのリアルタイムコミュニケーションに基づく作業効率化など、さまざまな利用が期待されている。

 今回の実証実験は、KDDIとKDDI総合研究所、国立極地研究所が共同で実施。昭和基地において「VistaFinder Mx」を搭載した8K動画撮影対応スマホを用いて撮影・圧縮し、衛星通信回線を通じて伝送した。その映像をKDDI総合研究所に設置した受信システムで受信・伸長し、8K映像としてディスプレー表示するとともに、安定した映像品質を維持できることを確認したという。

8K映像伝送システムの構成概念図

 KDDI総合研究所が開発した8K映像のリアルタイム伝送が可能な遠隔作業支援システム VistaFinder Mxは、国際標準の映像符号化方式H.265/HEVCコーデックを搭載し、画質を維持したままデータ量を削減し、衛星通信環境でも安定した高品質な映像伝送を実現する。

 KDDIとKDDI総合研究所は、Starlinkを活用することで、南極大陸における観測隊員の業務環境改善や、極地研による南極域の研究観測業務や通信環境の設営、教育の高度化を支援する。また、スマホを活用した8K映像のリアルタイム伝送システムの有用性検証や課題を抽出・改善し、通信回線の速度にかかわらず世界中どこからでも利用可能とすることで、現場作業のDX化の加速や高度化など、社会インフラの保全ならびに強靭性確保を目指す。

 極地研は、Starlinkによる広帯域低遅延の通信回線を生かし、これまで以上に高度な昭和基地観測への利用を進めると同時に、南北両極での観測のほか全球的な観測に活用し、現地隊員の負担を軽減しながら、国際的な連携観測のほか、宇宙飛翔体観測との連携の可能性を広げていく。

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