ロボティクスビジネスをマッチングする「埼玉ロボネット」の取組
農業用ロボット派遣の「レグミン」とロボット開発支援「アトラックラボ」、「埼玉ロボネット」の魅力を語る
提供: 埼玉県ロボティクスネットワーク事務局
本記事は「埼玉県ロボティクスネットワーク公式サイト」に掲載された記事を再編集したものです。
埼玉県ロボティクスネットワーク(略称「埼玉ロボネット」)は、ロボットに関心のある法人、団体又は個人を対象とした組織です。埼玉ロボネットは、2023年7月25日に活動を開始し、2024年1月12日現在の会員数は721になりました。
今回は、そんな埼玉ロボネットの会員の中から「株式会社レグミン」と「株式会社アトラックラボ」にお邪魔し、その活動内容と埼玉ロボネットへの期待などをお伺いしてきました。
農薬散布ロボットを派遣して
農業の人手不足を解消する「レグミン」
株式会社レグミンは、2018年5月に設立された埼玉県深谷市を拠点とするロボットベンチャーです。レグミンは、農作業ロボットの研究開発およびロボットによる農作業受託サービスを主な事業としています。
レグミンの代表取締役を務める野毛慶弘氏は、もともと農家の出身で、前職は銀行員でした。銀行員時代にお茶農家やみかん農家を支援する仕事を行ったことで、農家の人手不足が深刻であることを知り、それを解消したいと思い、大学で同級生だった成勢卓裕氏と共にレグミンを起業しました。
レグミンの強みは、社内でハードウェアから電気回路、ソフトウェアまですべてを作っていることだという野毛氏。
野毛代表「ロボットを開発していると、いろいろな課題が出てきますが、社内ですぐに改良して、対応できることが強みだと思っています」
レグミンが、最初に開発したロボットが農薬散布用ロボットです。GPSとセンサーを搭載し、誤差1~2cmという高精度な自律走行が可能で、オペレーター1人で操作できることが利点です。農薬散布用ロボットの開発で一番苦労した点は、どのような畑でも確実に動ける足まわりを開発することでした。
野毛代表「最初はタイヤで実験しましたが、ぬかるみでスタックしたり、課題が多く見つかりました。畑で何千回もテストした結果、やはりクローラのほうがいいということになりました」
農薬散布には、トラックに噴霧装置を載せて走り回る方法や乗用管理機を使う方法もありますが、レグミンの農薬散布用ロボットを使うことで、農薬散布にかかるコストや時間、CO2排出量などを大きく削減できます。また、トラックや乗用管理機を使う方法では、作業者が農薬を吸ってしまう恐れもありますが、農薬散布用ロボットならそうした心配もありません。
レグミンでは、自社で開発した農薬散布用ロボットを利用した農薬散布代行サービスを提供しており、すでに複数の農家がその代行サービスを利用しています。農作業のアウトソーシング化ともいえるでしょう。
現時点では、ネギ用とエダマメ用など、作物の種類ごとに畑の畝の間隔や大きさなどが異なりますので、ロボットのサイズなどをカスタマイズして提供していますが、将来的には1台のロボットでさまざまな作物に対応できるようにしたいと考えているそうです。また、レグミンは農薬散布用ロボットだけでなく、種まきや収穫など、他の作業を代行できるロボットの開発にも取り組んでいます。
野毛代表「1台のロボットで、さまざまな農作業が可能なロボットを作ることが目標です。将来的には1人のオペレーターで複数台のロボットの監視・運用ができるようになり、さらにコストを下げることができます」
SAITAMAロボティクスセンター(仮称)での
フィールドテストなどに期待
埼玉ロボネットに入会したメリットは大きいという野毛氏。最後に、埼玉ロボネットに寄せる期待を語ってくれました。
野毛代表「すでに埼玉ロボネット経由で部品加工の会社様をご紹介いただくなど、いろいろなご支援をいただいています。さらに、SAITAMAロボティクスセンター(仮称)ができれば、ロボットの試験などがしやすくなりますので、弊社も期待しています。例えば、実際の農家の農地では難しい、わざと傾斜を作ってテストするといったことができるようになればいいなと思っています」