Copilotを使いこなして、成果を得るための支援策も展開
ビジネスアプリの新たな扉を開く ― Dynamics 365、Power Platformに搭載の“Copilot”総まとめ
2024年01月25日 08時00分更新
日本マイクロソフトは、2024年1月23日、同社のビジネスアプリケーションに搭載されたAIエージェント機能「Copilot」の最新情報に関する記者説明会を実施した。
マイクロソフトは、CRMとERPを統合した「Dynamics 365」およびローコードプラットフォームである「Power Platform」を中核としたビジネスアプリケーション製品のすべてに、Copilotの機能を組み込んでいる。この取り組みは、2023年から急速に進められ、既に13万を超える組織が、Dynamics 365とPower PlatformのCopilotを体験しているという。
ビジネスアプリケーションは、これまでも組織や企業の課題解決ために進化を続けてきた。日本マイクロソフトのビジネスアプリケーション事業本部 本部長である野村圭太氏は「メインフレームからPC、クラウド、モバイルへとビジネスアプリケーションは変化してきたが、入力してデータを貯めて、レポートを見るという本質は変わらなかった。生成AIにより、ビジネスアプリケーションがどうあるべきか、本質的に再考されるべき時がきた。その新しい扉を開けるのがCopilotになる」と強調する。
Copilot for Dynamics 365:あらゆる部門のビジネスパーソンを支援するCopilot
説明会ではまず「Copilot for Dynamics 365」について紹介された。
Dynamics 365へのCopilotの搭載は、2023年3月に発表され、順次Dynamics 365の製品群に展開されている。Copilot for Dynamics 365は、ビジネスパーソンのためのAIエージェントであり、自然言語を利用して、アイディアやコンテンツの生成、タスクの実行や自動化、インサイトやレコメンデーションの提供といった支援を受けられる。
Dynamics 365にネイティブに組み込まれているため設定は不要で、Microsoft 365ともシームレスに連携。Dynamics 365のEnterprise版以上で無償で利用できる。
例えば、営業向けの「Dynamics 365 Sales」に搭載されたCopilotは、CRMのデータを踏まえ、Teamsでの商談の要約や顧客へのメール返信文の作成、案件におけるインサイトの提示といった支援を提供する。Dynamics 365で最初に提供されたCopilotで、一部日本語も対応済みだ。
マーケティング向けの「Dynamics 365 Customer Insights」に搭載されたCopilotは、コンテンツアイディアを生成してキャンペーンの展開を支援したり、顧客のターゲットセグメントを作成・推奨してくれたりする。
「Dynamics 365 Customer Service」や「Dynamics 365 Field Service」といったサービス向け製品に搭載されたCopilotは、問い合わせへの回答作成や問い合わせ内容やチャット対応の要約、チャットボットによるセルフサービスなどを提供する。Customer Serviceに関しては、一部日本語対応済であり、10億人以上のエンドユーザーを抱える、Microsoftのカスタマーサポートでも実際に活用されている。
その他にも、サプライチェーン向け(Dynamics 365 Supply Chain Management)やプロジェクト業務向け(Dynamics 365 Project Operations)、財務向け(Dynamics 365 Finance)製品などにもCopilotは搭載され、幅広い部門のビジネスパーソンを生成AIの力で支援する。
Copilot for Sales/Service:Copilot for Microsoft 365に部門に応じた機能を追加
一方で、「Copilot for Microsoft 365」に、営業やサービス向けに特化した機能を追加したのが「Copilot for Sales」と「Copilot for Service」だ。それぞれ、2024年2月1日より一般提供を開始、価格は月額50ドル、Copilot for Microsoft 365を契約済みの場合は月20ドルとなる。
Copilot for Salesは、Dynamics 365 SalesのCopilotにおけるOutlook・TeamsとCRMとの連携がさらに拡張され、WordやPowerPointなどのCopilotにも営業向けの機能が拡張される。例えば、WordにおけるCopilotのコンテンツ作成では、CRMのデータが生成プロンプトに統合され、顧客情報のインサイトが反映されたコンテンツが生成される。
また、Dynamics 365 Salesだけではなく、Salesforce CRMとも接続、内部/外部データ接続としてはDataverse Plugins、Power Connectorsが利用でき、Copilot StudioによるCopilotの拡張・カスタムも可能だ。
Copilot for Serviceは、Dynamics 365 Customer ServiceのCopilotを、Dynamics以外のコンタクトセンターにも届けるというコンセプトで展開される。SalesforceやServiceNow、Zendeskとの連携が用意され、数分の設定でAIアシスタントを導入できる。こちらもCopilot Studioで、ニーズに応じたCopilotの拡張・カスタマイズが可能だ。