東京大学の研究チームは、量子コンピューターにおける高効率性と高速性を同時に達成できる、誤り耐性のある計算手順の新しい仕組みを提案した。量子コンピューター開発における基盤技術として今後の活用が期待される。
東京大学の研究チームは、量子コンピューターにおける高効率性と高速性を同時に達成できる、誤り耐性のある計算手順の新しい仕組みを提案した。量子コンピューター開発における基盤技術として今後の活用が期待される。 研究チームが今回開発した手法は、複数の量子ビットを守る単純な符号を重ねて、特殊な入れ子構造にして使うというもの。単純な符号を組み合わせる入れ子構造によって、計算速度の低下を抑えると同時に、複数の量子ビットを守る符号を使うことで、量子ビットの数を抑えて効率性も高められる。同チームによると、どんなパターンのエラーが起こっても訂正できる特殊な入れ子構造を見出したことにより、高効率性・高速性の両立が可能になったという。 大規模な量子コンピューターでは、ノイズの影響で量子ビットに生じるエラーを訂正しながら誤り耐性のある計算手順を踏むことが不可欠となる。この手順は一般に複雑で、さらに多数の量子ビットを追加する必要があるため、そうした中で量子ビット数の高効率性と計算速度の高速性を両立させるのは難しい課題となっている。 研究論文は、ネイチャー・フィジークス(Nature Physics)に2024年1月16日付けで掲載された。(中條)