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印南敦史の「ベストセラーを読む」 第17回

『世界と比べてわかる 日本の貧困のリアル』(石井光太 著、PHP文庫)を読む

貧しい子どもに劣等感を植えつける、日本の“教育格差”問題

2023年12月21日 07時00分更新

文● 印南敦史 編集●ASCII

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 日本が先進国のなかでワースト4位の貧困国であるという報道を目にしたことがある方は、決して少なくないだろう。とはいえ日々の生活を通じ、貧困を実感する機会があまりないのも事実。だから開発途上国の貧困と日本の貧困にはどのような差があり、いかなる問題を生んでいるのかはわかりにくくて当然だ。

 そもそも同じ貧困とはいっても概念が異なるわけで、『世界と比べてわかる 日本の貧困のリアル』(石井光太 著、PHP文庫)の著者もそこに着目している。

たとえば、日本の公立の小学校には富裕層から貧困層まで様々な階層の子供が通っているが、途上国の小学校には富裕層なら富裕層、貧困層なら貧困層しかいない。あるいは、日本のホームレスは高齢の単身者ばかりだが、途上国の路上生活社のほとんどが家族連れだ。こうした違いが生まれるのは、日本と途上国とで貧困の形態が別物だからだ。(「はじめに」より)

 したがって、日本の貧困がどういったものなのかを知るためには、まず途上国の貧困となにが違うのかを認識しなければならないと著者は主張するのだ。日本の貧困には日本特有の現象があるので、それを浮き彫りにしてこそ日本が抱える状況や社会問題を理解することになるのだと。

 そこで本書は、「住居」「路上生活」「教育」「労働」「結婚」「犯罪」「食事」「病と死」という項目に分け、途上国と日本におけるそれぞれの現状を比較しているのである。ここではそのなかから、上述した「教育」の部分に焦点を当ててみることにしよう。

Image from Amazon.co.jp
世界と比べてわかる 日本の貧困のリアル (PHP文庫)

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