戦国LOVE Walker総編集長・玉置泰紀の戦国メタ散歩 第7回

お城ファンの一年の締めくくり「お城EXPO 2023」(パシフィコ横浜ノース)で、最高の戦国メタ散歩をしてきたぞ

文●玉置泰紀(一般社団法人メタ観光推進機構理事)

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 日本最大級のお城の祭典「お城EXPO 2023」が2023年12月16日、17日の2日間、横浜のパシフィコ横浜ノースなどで開催された。「城めぐり観光情報ゾーン」「城下町物販ブース」では、日本各地のお城を有する自治体やお城グッズを販売する企業など、過去最大数の105団体が出展。城めぐり観光情報ゾーンは、お城めぐりに役立つ情報はもちろん、お城周辺の観光情報を発信するブースが並び、大賑わいだった。筆者も、12月25日に発売の「戦国LOVEWalker 2024」でお世話になった数々のお城などの関係者と情報交換し、昨年に続いて、取材をしてきた。

 お城EXPOは、2016年から毎年12月にパシフィコ横浜にて城郭文化の振興と発展やお城好きの方々との交流を目的に開催されている日本最大級のお城の祭典。今年の「お城EXPO 2023」で8回目の開催になる。前回の「お城EXPO 2022」は、前夜祭を含む3日間で約15,000人の来城を記録した。

今回の開催日は2日とも好天に恵まれ、数多くの来城者で会場は溢れた。筆者(写真2枚目)も、「徳川家康兜づくり」コーナーで、段ボール素材での兜づくり体験をするなど、各ブースを訪れた

『信長の野望』シリーズ40周年記念出展など、過去最大数の105団体が出展し、講演、トークショー、スペシャル対談、セミナー、企画展示などで最高に盛り上がった

 今年も国宝五城(姫路城・松本城・彦根城・犬山城・松江城)をはじめ、日本各地のお城が集結し、各ブースでは学芸員による城郭の解説をはじめ、ご当地キャラや武将隊によるおもてなしなどで盛り上がった。さらに、お城EXPO 2023限定の御城印を配布・販売するブースも大人気。城下町物販ブースには、お城や歴史にまつわるグッズや書籍が多数ラインアップされ、お城EXPO公式グッズ売場では、オリジナル御城印や御城印帳などここでしか買えないお城EXPOオリジナルグッズも販売された。

 ここでしか聞けないイベントとしては、数々の大河ドラマで時代考証を担当してきた日本城郭協会理事長の小和田哲男氏をはじめとするお城のスペシャリストたちによる講演や、お城好きとして知られる春風亭昇太氏によるトークショー、コーエーテクモゲームスとのコラボ企画として小和田哲男氏と「信長の野望」シリーズのゼネラルプロデューサーであるシブサワ・コウ氏のスペシャル対談、各地の学芸員による最新のお城情報のセミナーが実施された。

 また、日本城郭文化特別賞受賞記念特別展示では城郭復元イラストの第一人者、香川元太郎氏による「安土城」などのイラスト原画13点と、城郭・古建築模型作家島充氏による城郭模型の製作過程について解説したパネルや4城の城郭模型を展示。さらに、小学生・中学生による力作が揃う「城の自由研究コンテスト優秀作品展」も楽しい。

 イベントステージでは、名古屋おもてなし武将隊、グレート家康公「葵」武将隊、信長公おもてなし武将隊 響縁、熊本城おもてなし武将隊、古戦場おもてなし武将隊 関ケ原組、小倉城武将隊、安芸ひろしま武将隊など、全国各地で活躍する武将隊が殺陣などのパフォーマンスを披露した。ご当地キャラでは、しろまるひめ(姫路市)、ひこにゃん(彦根市)、くまモン(熊本県)、いなッピー(稲沢市)、のぶながくんとよしもとくん(豊明市)、しまばらん(島原守護神)、うーたん(岐阜長良川の鵜飼)、シロモチくん(津市)、ひごまる(熊本市)などがイベントステージまたは城めぐり観光情報ゾーンの各出展ブースに登場し、会場内の移動も盛り上がった。

■会場の風景

【『信長の野望』シリーズ40周年記念出展】

 今年40周年を迎える「信長の野望」シリーズの出展。『信長の野望 出陣』かわら版「名城と武将」や『信長の野望・新生 with パワーアップキット』で再現する「小谷城の戦い」に関するパネルを展示。また、オリジナル甲冑を飾った特別フォトスポットも。また、『信長の野望 覇道』ゲーム画面提示や、『信長の野望 出陣』新規インストール・お城EXPOチェックイン画面提示でのプレゼントや抽選会に参加も出来て、多くのファンでにぎわった。

【岡崎城(愛知のお城観光推進協議会)】

 大河ドラマ「どうする家康」で盛り上がったブース前にはグレート家康公「葵」武将隊から本田忠勝や榊原康政らも駆けつけた。

【備中松山城】

 標高430mの臥牛山頂上付近に建つ現存12天守の一つであり、雲海に浮かぶ山城ともいわれる。近年はお城に住み着いた猫の「さんじゅーろー」が城主に迎えられ人気を博している。

【戦国のメインステージ岐阜】

 岐阜県が誇る、数多くの戦国・武将観光資源を都市圏のファン層など、一般層へ広く発信する「戦国のメインステージ岐阜」のブースには、土岐氏最後の居館であり、齋藤道三によって落城した「大桑城」(岐阜県山県市)と、竹中半兵衛の居城として知られる「菩提山城」(岐阜県不破郡垂井町岩手)の精巧なジオラマが展示された。

大桑城

菩提山城

【苗木城】

 人気の山城、岐阜県中津川市の苗木城のブース。

戦国LOVEWalkerの苗木城の記事

【菩提山城】

 「戦国のメインステージ岐阜」でも紹介された菩提山城のブース。

【関ケ原町】

 岐阜県関ケ原町は勿論、徳川家康の東軍と石田三成らの西軍が激突した場所。

戦国LOVEWalkerの関ケ原の戦いの記事

【日本遺産の城 八王子城・滝山城】

 東京都八王子市。二つの城は、東京都内で初となる日本遺産の認定を受けた「霊気満山 高尾山 ~人々の祈りが紡ぐ桑都物語~」の構成文化財になる。絹産業を基盤として発展し“桑都”と称された八王子は、戦国時代に関東を治めた北条氏・北条氏照が八王子に居城を築いたことから始まり、霊山・高尾山への人々の祈りが、この地に育まれた豊かな文化を未来へと紡いでいく物語。滝山城は、山内上杉氏の重臣で、武蔵国の守護代大石定重、定久が築城し、高月城から移ったといわれている。

【月山富田城(安来市観光協会)】

 月山の一帯にあり、戦国大名尼子氏歴代が本城とし山陰・山陽制覇の拠点とした月山富田城は、その規模と難攻不落の城として戦国時代屈指の要害だった。尼子氏滅亡後、毛利氏、吉川氏の時代には、山陰地方支配において、月山富田城は重要な役割を果たした。月山富田城は標高約190メートルの月山山頂に主郭部を設け、尾根上に大小多数の曲輪を配した複郭式山城を構成している。

【福山城(広島の三名城 郡山城・広島城・福山城)】

 福山城は、新幹線のホームから間近に見える全国的にも珍しい城。徳川家康のいとこである水野勝成が備後10万石の領主として入封、築城。廃藩置県まで藩政の中心だった。天守は、1945年の戦災で焼失したが、1966年の市制施行50周年記念事業で再建された。元々の福山城の天守北側には、防御力を上げるための鉄板が張られていたのだが、2022年8月に築城400年を迎えるにあたり、全国からの寄付により“全国唯一”といわれる鉄板張りなどの福山城天守の外観復元をはじめとした「令和の大普請」が完了した。

実際に天守北側に張られていた鉄板

【姫路城(姫路市・姫路観光コンベンションビューロー)】

 2023年12月11日に、姫路城の世界遺産登録が30周年を迎えた。姫路城は、1993年(平成5年)12月11日に奈良県の「法隆寺地域の仏教建造物」とともに、日本で初めて世界文化遺産に登録された。コロナ禍で入城者は一時、年間40万人を下回るまで落ち込んだが、今年度は11月までの8ヵ月間で約104万人を記録し、4年ぶりに100万人台を回復した。

【戦国IXA】

 本格オンライン戦国シミュレーションカードゲーム『戦国IXA』のブース。ゲームには、戦国三英傑をはじめ、1,200を超える武将が登場する。会場では、『戦国IXA』に登場する「吉乃」「瀬名姫」が、リアル姫としてイベントに出演した。

【企画展示「描かれた城・戦・侍」】

 合戦図や武将を題材とした複数の屏風展示とともに、城〈地域の中の城〉・戦〈描かれた合戦〉・侍〈描かれた武将〉をテーマにこれまでにない視点で解説する。江戸時代後期に描かれた豊臣秀吉の一代記を屏風化した「絵本太閤記屏風」が、初めての一般公開となる。

絵本太閤記屏風。江戸時代後期。個人蔵。寛政9年(1797年)に刊行された豊臣秀吉を主人公にした絵本読本を屏風化。右隻(写真1枚目)は日吉丸誕生から織田信長に仕えるまでが、左隻(写真2枚目)は木下藤吉郎が墨俣一夜城などで活躍する姿が描かれている

実際の絵本太閤記。希望者に現物を見せてくれた

播磨国古城所在図(複製)。播磨国(兵庫県南部)の主要城郭跡と城主の名前、姫路から各城への距離などが記されている

江戸城御天守絵図(複製)。正徳2年(1712年)頃に、新井白石を中心に検討されていた江戸城天守再建に関連して描かれたもの。寛永度江戸城天守を基にしている

■「お城EXPO 2023」概要

開催日時:12月16日・12月17日

開催会場:パシフィコ横浜 ノース・アネックスホール(横浜市西区みなとみらい)

公式サイトhttps://www.shiroexpo.jp/

■戦国LOVEWalker2024

発売日:2023年12月25日

販売価格:1650円

概要:城マニアが選ぶ「最愛の城」を発表! 御城印&城カレンダー付録も! 昨年に続く、戦国のドラマを感じながら旅を楽しめる観光ガイドの第2弾。2024年版は「城」をテーマに、城マニアが選ぶ「最愛の城」を発表! 豪華2大付録は、現存12天守を掲載した別冊付録「2024年城カレンダー」&『信長の野望』シリーズとコラボした特別付録「安土城 御城印」

・巻頭インタビュー シブサワ・コウ 戦国の城を語る

・城をめぐる旅へ 千田嘉博流 こんなに楽しい城歩き

・のべ投票数5695票!城マニアが選んだ!「最愛の城100選」

・大河ドラマ「光る君へ」が誘う平安世界を徹底解説
 見どころ紹介&人物相関図。主演・吉高由里子スペシャルインタビュー。

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