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自民党、NTT法廃止に向けた提言を公表 その内容を見る

2023年12月06日 08時30分更新

文● ASCII

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 自民党は5日、政調審議会を開催し、「日本電信電話株式会社等に関する法律の在り方に関するプロジェクトチーム」(座長・甘利明衆院議員 以下、PT)が取りまとめた内容を提言として公表した。NTT法の廃止に向けた動きとして、通信各社の間で意見が飛び交っている状況だが、今回の提言の内容については、すでに自民党のウェブサイト上でPDFとして公表されている。

NTT法

自民党のプロジェクトチームで取りまとめられたNTT法に関する提言が公表された

研究成果の開始義務は異論もないため
次期通常国会でNTT法を改正し、撤廃の方向

 提言は大きく4項目で構成されている。

1. 研究の推進・成果の普及に関する責務
2. 電話の薬務のあまねく提供(ユニバーサルサービス)関する責務
3. NTT法第3条の「責務」(1と2)を果たすための担保措置
4. 公正な競争環境の整備

 まず、1については一般に「研究成果の開示義務」とされるもの。具体的にはNTT法第三条に「電気通信技術に関する研究の推進及びその成果の普及を通じて我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与し、もつて公共の福祉の増進に資するよう努めなければならない」と記されている。

 提言では、NTT法が制定された40年前とは異なり、国際競争が激しくなっており、新規性の高い研究開発事業が国際競争力の源泉となり得る、また経済安全保障上の問題からも、研究成果の公開は経営判断として行なわれるべきと判断。PTでも異論はなかったとして、次期通常国会で撤廃すべきと結論づけている。

アナログ固定電話のユニバーサルサービス責務を撤廃
他の手段も含めて、電気通信事業法の改正で対応

 続いて2番目のユニバーサルサービス。こちらもNTT法第三条に「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与するとともに(中略)公共の福祉の増進に資するよう努めなければならない」と記されており、NTT東西に固定電話のユニバーサルサービス提供責務を課している。

 しかし、メタル回線による固定電話は、ピーク時の1997年の約6300万件から、2023年3月時点では約1500万件にまで減少している。設備の老朽化も含めて、将来にわたっての維持が困難であると見られている。

 一方、2022年に改正された電気通信事業法では、固定ブロードバンドサービスもユニバーサルサービスとして位置づけられており、光ファイバーの整備率は99.72%にまで達したが、過疎地や離島などに整備することが責務として規定されていないことや責任を負う事業者が明確にされていないという課題がある。

 そこで今回の提言では、携帯電話や衛星通信などの無線通信もユニバーサルサービスの手段として含めた上で、サービス提供を可能とするよう電波通信事業法を改正すべきとする。その際は、NTT東西に加え、携帯電話や衛星通信の事業者(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなど)を含めた業界全体でユニバーサルサービスを担うことを明記した上、サービスを提供する事業者が不在の地域は、国が適切な事業者を指定する仕組みを設けるべきとした。これらの電気通信事業法の改正は2025年をめどに実施し、そのうえで前述のアナログ固定電話のユニバーサルサービス提供責務を撤廃すべきとする。

政府による株式保有義務は撤廃 外資規制についてはさらなる議論

 ここまで紹介したNTT法第三条の責務の担保処置として、NTT法第四条第1項では、「政府は、常時、会社の発行済株式の総数の三分の一以上に当たる株式を保有していなければならない。」として、政府による株式保有義務を定めている。

 しかし、NTT法第三条の責務が前述のように撤廃され、新たなユニバーサルサービス責務について電波通信事業法を改正することから、株式保有義務も撤廃すべきとしている。ただし、政策的判断から、政府が株式を売却することなく保有し続けることも考えられるとする。また、外資規制についてはあらためて議論を進めることを求めているほか、外国人役員については規制を撤廃すべきとしている。

NTTが保有する“特別な資産”の在り方は
現状の維持、国有化、資本分離など異なる意見を記載

 4番目は公正な競争環境の整備について。NTT法が廃止されると、NTT東西やドコモとの合併などにより、公正な競争環境が損なわれるのではないかという懸念があることから、法的な担保として、電気通信事業法の改正でで統合の禁止を措置することを検討すべきとしている。

 なお通信各社は、NTTが電電公社から承継した電柱・局舎・管路などを用いて構築した電話設備や光ファイバー設備の提供義務を課すNTT法は、公正競争環境を確保するには不可欠であると主張しているが、PTではこれらの情報通信基盤を「NTT法の下で維持すべき」「NTT法で廃止するのであれば、国有化した上で運営を事業者に委託すべき」「資本分離すべき」「NTT法は廃止すべきだが、インフラ部門だけを切り離すと非効率になるので現状を維持すべき」という4つの意見を記載。今後早急に検討し、結論を出すことを政府に求めるとした。

NTT法

NTT法廃止は国民生活に大きな影響を与えるとして、繰りかえし反論している通信各社

NTTからは議論に協力していく旨のコメントが出された

 なお、NTTではこの提言を受けて、「(前略)NTTとしては、この提言を踏まえ、今後、それらを実現するための法整備等の議論に積極的に協力してまいります。そのうえで、引き続き、国際競争力強化等に努めるとともに、我が国の産業力強化、国民生活の利便性向上等に貢献していく考えです。」と、歓迎する内容のコメントを公表している。

NTT法

NTT側は今回の提言を踏まえて、法整備の議論に積極的に協力する姿勢だ

 

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