理化学研究所(理研)の研究チームは、光電場が振動する周期よりも短い時間幅の極超短パルスレーザー光(サブサイクル光)を「光渦」と呼ばれる特殊な光の状態に変換し、その時空間構造を制御することに成功した。
理化学研究所(理研)の研究チームは、光電場が振動する周期よりも短い時間幅の極超短パルスレーザー光(サブサイクル光)を「光渦」と呼ばれる特殊な光の状態に変換し、その時空間構造を制御することに成功した。 光渦は、ビームの進行方向に対して振動の等位相面が渦状に変化するレーザー光のモードである。特殊な形状のレーザー加工、あるいは右回りと左回りを区別する特異な構造を持つ物質の性質の研究などに役立つ。 研究チームは今回、、独自に開発した光学パラメトリック増幅(OPA)システムが出力する通常のレーザー光(ガウシアンモード)のサブサイクル光を、特殊なモード変換器で、光渦の空間モード(ラゲール・ガウシアンモード)に変換。パルス光の時間軸上で定義される位相(CEP)を変化させることによって空間位相が追随して変化する様子を観測し、CEPが空間位相と一定の関係で結び付いていることを証明した。 今回の研究成果は、「渦」の回転方向に対して非対称性を持つ水晶などの物質の超高速運動の回転方向依存性や応答速度を観測、制御する手段を提供するものと期待される。研究論文は、科学雑誌「ライト:サイエンス&アプリケーションズ(Light: Science & Applications)」のオンライン版に2023年11月24日付けで掲載された。(中條)