グーグルは11月13日(現地時間)、同社が提供する生成AI「Bard AI」のユーザーや、中小企業の保護を目的として、2つの詐欺行為に対する法的措置を講じると発表した。
1. Bard AIをかたってマルウェアを拡散する行為に対して
1つ目はBard AIをかたる詐欺広告に対して。
Bard AIはブラウザーなどから無料かつインストール不要で使えるサービスだが、こうしたことを知らないユーザーを狙い、同AIを「ダウンロード」するよう促し、実際にはマルウェアをダウンロードさせるという詐欺広告が掲載されていた。詐欺広告はユーザーのSNSアカウント乗っ取りを目的としたもので、グーグルは4月以降、このような詐欺広告約300件に対し削除を申請したという。
また、同社は詐欺師が利用するドメインの設定を阻止し、米国のドメイン登録機関において各ドメインを無効化する法的命令を求めている。
2. デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の悪用に対して
2つ目はデジタルミレニアム著作権法(DMCA)を悪用した虚偽申請に対して。
DMCAは、米国で2000年に施行された著作権保護に関する法律。同法ではネット上で著作権侵害行為が発生した場合、被害者(権利者)の申請に基づき、プロバイダーやホスティングサービスなどの中間事業者は速やかに当該コンテンツを削除または非公開化(テイクダウン)することが求められる。
テイクダウンは著作権侵害行為を素早く排除するための仕組みだが、虚偽の申請で著作権侵害に当たらないコンテンツをテイクダウンに追い込み、クリエイターや企業の活動を妨害するようなケースも存在する。グーグルが発表した2つ目の法的措置は、こうした虚偽申請に対するものだ。
訴訟対象とされたのは、数十のGoogleアカウントを使い、競合他社に対して数千件に及ぶ虚偽の著作権侵害申請をしたケース。一連の虚偽申請により、10万以上の企業のウェブサイトが削除され、金銭的な損失は数百万ドル(約数億円)、労働時間面の損失は数千時間におよんでいるという。
2つの法的措置はいずれも、問題行為の阻止または抑止を狙ったもの。本件についてグーグルは「消費者と中小企業を保護し、新興イノベーション分野で必要な判例を確立するための当社の継続的な法的戦略の一環です」と述べている。