冬が近付き、次第に寒さが増してきた昨今、注目度が増している製品が電気式のヒーターを内蔵した防寒着。ネット通販を中心に多種多様な製品が販売されているなか、ワークマンが10月に発売した「ウィンドコアヒーターボアフリースベスト」を試してみた。数日間着用した上での評価をお伝えする。
※ 本記事はワークマンからお借りしたサンプル品の試用結果を基に執筆しており、製品版とは一部仕様が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
ワークマン「ウィンドコアヒーターボアフリースベスト」とは
ウィンドコアヒーターボアフリースベストは、表にボアフリース、裏地に滑らかなポリエステル生地を使ったフード付きのベスト。見た目はごく普通のベストだが、内部にヒーターが入っており、スイッチをオンにすると体を直接暖められる。
ヒーターは背中の上部(左右の肩甲骨の間あたり)と下部(腰のあたり)に1つずつ備わっており、弱(約40度±5度/約16時間持続)・中(約45度±5度/約6.5時間持続)・強(約50度±5度/約4.3時間持続)の3段階で温度設定が可能。電源はポケットに入れた専用バッテリーから供給される仕組みだ。
サイズはM/L/LLの3種類を用意。価格はベスト本体が3900円、別売の専用バッテリーが4900円だ。
仕様通りの性能を発揮できるか検証
まずは仕様通りの性能を発揮できるか確認した。テスト方法と環境は以下の通り。テスト中は可能な限り測定誤差を減らすよう努力したが、あくまでも簡易的なテストであり、厳密なテストではない点はご了承頂きたい。
●テスト方法と環境
・テスト方法:非接触型温度計でヒーター付近の温度を計測(30秒から1分間隔で最大5分間)
・テスト場所:屋内
・テスト時の室温:23度
●テスト結果:強と中は設定温度まで暖まる
全体に共通するのは、上部のヒーターと比べ、下部(腰部)のヒーターは温度が低めに出るところだ。太い血管に近い上部ヒーターの温度を高くすることで、体温を効率良く上げる仕組みなのだろうか。
表面温度の数値に関しては、上部ヒーター限定だが、弱・中・強のいずれのモードも仕様通りだった。
弱モード(約40±5度)は実測値35.6度とやや低めの数値が出たものの、仕様にギリギリ収まる範囲。中モード(約45±5度)も実測値44.6度なので問題ない。強モード(約50±5度)に関しては実測値が50度を超え、文句なしの結果となった。なお、安全装置が動作したのか、開始4分後の測定をした直後に中モードへ自動移行している。
ヒーター間の温度差が公式サイトに記載されていない点は気になるが、性能に偽りなしと判断してよさそうだ。
実際の使い心地は?
次は使い心地だ。この項目はあくまで筆者個人の感想で、万人に当てはまるものではない。着心地にこだわりのある方や肌と生地の相性が出やすい方は、可能ならワークマンの店舗で試着してからの購入をお勧めする。
●フード付きなのに軽くて快適だが裏地は好みが分かれる
本製品を手に取って真っ先に感じたのが、バッテリーを除いたベスト本体の軽さだ。この軽さのおかげか、長時間着ても服の重さで肩が疲れるようなこともなく快適に過ごせた。ヒーター機能だけでなく、ベスト単体としてもよくできている製品だ。
裏地は先に触れた通りさらさらとしたポリエステル生地で、肌に触れたときの感触は好みが分かれるところ。筆者は特に違和感なく着用できたが、苦手な方はほかの製品を選択した方がいいだろう。
●寒空の下でもぽかぽかと暖かい
性能テストの結果からもわかるように、ヒーターのおかげで軽装でも寒さをある程度しのげる。実際に気温10度台の夜、薄手の服と本製品を組み合わせて近所へ買い物に出てみたが、ヒーター機能をオンにすれば、寒さをほとんど感じることなく過ごすことができた。外出自体は短時間だったが、帰り道では背中や額が軽く汗ばんだくらいだ。
なお、冬場の屋外で汗をかいたままバッテリー切れを起こすと、汗を吸った下着が外気で冷やされ、あっという間に体温を奪ってしまう。ヒーター機能を使う際は、こまめに温度調整して汗をかきすぎないよう気を付けつつ、速乾性の高い下着と組み合わせるとよいだろう。
腕の部分が剥き出しのため、常に風が吹いているような環境には向かないが、寒さ対策の補助ツールとしては十分な性能と言えそうだ。
●室内着としても優秀
本製品は屋外だけでなく、室内用防寒着としても優秀だ。筆者の仕事部屋は秋から冬にかけてかなり寒くなるのだが、試しに本製品を着たまま仕事をしたところ、エアコンをオフにしたまま通常通り作業を進めることができた。電気代のことを考えると、エアコンを使わずに済むのは非常にありがたい。
当然、食事などで別の部屋へ移動するときも、本製品を着ていれば、いちいち各部屋のエアコンをオン/オフする必要はない。自宅でリモートワークをしている方とは特に相性が良いのではないだろうか。