東京工業大学の研究チームは、低コストで安全な相変化蓄熱材(融点において外部の熱源から熱エネルギーを貯蔵し、凝固点において蓄えた熱を放出する材料)である糖アルコールを利用して、150℃付近用の固体蓄熱材を創出した。
東京工業大学の研究チームは、低コストで安全な相変化蓄熱材(融点において外部の熱源から熱エネルギーを貯蔵し、凝固点において蓄えた熱を放出する材料)である糖アルコールを利用して、150℃付近用の固体蓄熱材を創出した。 低コストで低環境負荷な相変化蓄熱材として、天然由来の炭水化物で糖の一種である糖アルコールが知られている。だが、融点よりも凝固点(=熱を取り出す温度)が50~100℃程度も低く、凝固の発生温度がランダムであるため、熱を取り出せる温度が予測困難という問題(過冷却問題と呼ぶ)があった。 研究チームは今回、糖アルコールの一種「マンニトール」を、軽元素(炭素・水素・窒素・酸素)からなるナノ多孔体の「共有結合性有機骨格」の結晶粉末に含浸することで過冷却問題を解決。併せて、融点で液化して固化後には大きな塊になることで、材料内部から表面への熱伝導距離が増大して熱交換が遅くなるという、多くの相変化蓄熱材に共通する問題も解決できた。 研究論文は英国王立化学会の学術誌、マテリアル・ホライズン(Materials Horizons)に2023年8月14日付けでオンライン掲載された。(中條)