美術館と書店。イメージ的に関係が深そうでありながら、それぞれ別のものと一般的には認識されています。共に文化を発信していくという点では大きな共通項があるので、もし美術館と本屋が手を組んだらこれまでになかった新たな知的好奇心の生まれる場となるはずです。
そんな「あったらいいな~」を実現させたのが、三菱一号館美術館(東京・丸の内)が運営する本屋さん「新しい私 書店」です。
http://mimt.jp/book/
いつも丸の内に行っているけど、そんな本屋さん一度も見かけたことない。どこにあるの~? 三菱一号館美術館の中にも見当たらないし…と思われる方も多いかと。
それもそのはず、「新しい私 書店」はWeb上で展開されている、いわば架空の本屋さんなのです。
実店舗をもたないWeb上だけの本屋さんですが、丸の内エリアにあるリアル書店(紀伊國屋書店 大手町ビル店、丸善 丸の内本店)と協力し、常に新鮮な本を紹介し続けています。
現在、三菱一号館美術館自体は、設備入替および建物メンテナンスのため長期休館していますが、「新しい私 書店」は引き続き「開店」しているので、是非一度訪ねてみて下さい。電車に乗らなくても手元でワンクリックするだけでアクセス可能です。
ところで、「新しい私 書店」という店名ちょっと変わっていますよね。「三菱一号館web書店」とはせずに「新しい私 書店」と称しているのはどうしてでしょう。
実はそこがこの架空の本屋さんの核心でもあるのです。
三菱一号館美術館が、掲げるブランドスローガンの「新しい私に出会う、三菱一号館美術館」に沿って付けられた屋号が「新しい私 書店」なのです。
「新しい私 書店」の本棚を覗いてみると、「社会に出る私」「ライバルと私」「犬と家族になる私」「遠くへ行きたい私」等々「○○な私」と題された本がずらりと並んでいます。
こうした「挑戦する私」「新しい私」など普段の生活と密接に絡んだテーマを設け、協力書店が主題に沿った選書を行い、書評を紹介していくサイトが「新しい私 書店」の実態です。
めちゃめちゃ興味湧いてきましたでしょ! お昼休みやちょっとした空き時間、通勤時間にスマホからアクセスして、その時の自分の気分に会った「〇〇な私」の本を読んでみましょう。
読書の秋にまさにうってつけの三菱一号館美術館が運営する架空の本屋さん「新しい私 書店」。一度その存在を知ったらはまること間違いなしです。
その時々の気分や感覚で、本棚の気になるテーマを手にとって、本との出会いを楽しんでください!
三菱一号館美術館も2024年秋の再開を目指しているそうです。長期休館前最後の展覧会を楽しみに待ちながら、「新しい私 書店」で知的好奇心を満たしましょう。
「新しい私 書店」について
「新しい私 書店」は、当館のブランドスローガン「新しい私に出会う、三菱一号館美術館」をコンセプトに、ご近所の丸善 丸の内本店さんと、紀伊國屋書店 大手町ビル店さんにご協力いただき運営しております。
美術にあまり関心のない方々に、美術や美術館に興味をもつきっかけとして、美術・アートとは違った切り口からアプローチする機会の創出を目的としています。
https://mimt.jp/book/
三菱一号館美術館(2024年秋まで建物メンテナンスのため休館中)
19世紀後半から20世紀前半の近代美術を主題とする企画展を年3回開催。赤煉瓦の建物は、三菱が1894年に建設した「三菱一号館」(ジョサイア・コンドル設計)を復元したもの。
https://mimt.jp/
休館中もSNSで情報発信中!
X(旧Twitter):@ichigokan_PR
Instagram:mitsubishi_ichigokan_museum
この連載の記事
- 第38回
地方活性
スタイリッシュで“絵になる”展覧会「コンラン展」で手に入る、おしゃれなグッズの数々に財布の紐がゆるむこと間違いなし! - 第37回
地方活性
コンランのデザインは、なぜ未だ多くのデザイナーに影響を与え続けるのか? その人物像に迫る展覧会 - 第36回
地方活性
三菱一号館美術館のCafé 1894で明治時代のレトロ空間にタイムトリップ! 料理もハイクオリティで再オープンが待ち遠しい! - 第35回
地方活性
東京藝大が誇る才能あふれる若きアーティストたち! レベルの高いアートが無料で楽しめる - 第34回
地方活性
信長、秀吉、家康が愛した幻の茶道具が11月4日まで公開! 担当学芸員の見どころコメントで予習して、静嘉堂@丸の内へ - 第33回
地方活性
1966年開館の歴史あるあの美術館がまもなく休館! 楽しめるのは今年のクリスマスまで! - 第32回
地方活性
ロートレックとは何者か? 三菱一号館美術館・安井学芸員渾身の一冊『ロートレック作品集』 - 第31回
地方活性
フォロンとともに空想旅行へ! 学芸員が語る、想像力による参加型を目指した「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」の魅力 - 第30回
地方活性
希代のマルチアーティストの30年ぶりの大回顧展が東京ステーションギャラリーで開催! 「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」担当者にその魅力を聞いてみた - 第29回
地方活性
毎日アート情報を発信し続けて20年! 丸の内で「青い日記帳」開設20周年記念パーティーを開催