効率的にトレーニングするためのテクノロジーが満載
精密技術の進歩とともに、スマートウォッチ市場が活性化し、日常の生活やワークアウトのデータを計測、記録できる製品も増えてきた。しかし、それらと一線を画すのが1982年にトレーニング用心拍計を開発し、同分野のリーディングカンパニーとして約45年の実績のあるポラール(Polar)だ。
正確に計測された心拍からは、いろいろなことが分かる。睡眠時の心拍、安静時の心拍、運動時の心拍、最大心拍などの数値や、運動したあとに心拍が下がる速度から回復力や疲労度なども分かる。これら、心拍計測に長い経験と豊富なノウハウを持つポラールだからこそ、スポーツウォッチもやはり心拍の計測を元に設計されている。
今回は、先ごろ発表されたばかりの最新機種Polar Vantage V3(以降、Vantage V3)の機能を解説しながら、製品の使い勝手を紹介する。
強くなるために必要なのは「データ解析」と「休息」
ご存知のように、ここ7~8年の間に急速にスマートウォッチやスマートバンドなどのウェアラブルデバイスが普及してきている。多くのスマートウォッチに心拍計測機能が付いており、ワークアウトやフィットネス、ヘルスケア機能がうたわれている。
しかしながら、それぞれの出自はさまざま。多くのスマートウォッチに心拍センサーが付いているが、その利用方法はさまざまなのだ。もちろん、心拍センサーは「病気の予防」「健康の維持」といったヘルスケアにも大きく役に立つ。
そんな中、もともと運動用の心拍センサーを出自に持つポラールのスポーツウォッチは、トレーニングにフォーカスしており、計測データの誤差の少なさはもちろん、スマホやパソコンにデータを取り込んでからの活用にも独自のノウハウが光る。
たとえば、日々のトレーニングの負荷をさまざまな方向から分析できる。「どこをどのように走って、どのぐらいの負荷をかけたか?」「その心拍ゾーンでどのぐらい走ったか?」「消費カロリーはどのぐらいか」「燃焼した炭水化物、タンパク質、脂肪はどのぐらいか?」、そのほか距離、速度、高度の変位、ケイデンス、平均パワー(W数)などを見ることができる。
睡眠記録も可能。「どのタイミングでどのぐらいの深さで眠れているか」「睡眠時間の長さはどのぐらいか?」などが記録される。下は筆者の例だが、締切に追われて睡眠時間が短く、取材で早起きだった日は、明らかに回復度が悪くなっていると表示される。対してグッスリ眠った日には「良好」と表示される。お酒を飲んだ日の睡眠の質の低下も明らかで驚いた。睡眠不足で調子が悪いのは当たり前だが、データとして明確に表示されると「寝なければ」と思うし、「何時間寝ればいいのか?」「質をどうやって高めればいいのか?」と考えることができる。
日中の活動量と、睡眠の記録から表示されるのが回復データだ。現代的なトレーニングでは、必要十分な負荷をかけると同時に、回復させることが大切と言われている。十分に回復していない状態で負荷をかけても身体を傷めるだけだ。ポラールのデータ管理サービス「Polar Flow」ではブラウザー版やアプリ版の双方で、今日は休息すべきなのか、どんなトレーニングをするべきなのかを教えてくれる。
また、起立試験、リカバリーPro、脚力回復度テストなど、身体の回復度を計測する仕組みも備えている(詳細は後述)。