PCショップの「ドスパラ」や、ゲーミングPCブランド「GALLERIA」などで知られるサードウェーブが、2024年3月に創業40周年を迎える。
同社は、8月から新年度をスタートしており、事業年度としては、すでに40周年イヤーに突入している。
パソコン黎明期であった1984年3月に設立したサードウェーブの社名は、米社会学者のアルビン・トフラー氏が情報革命の到来を記した1980年の著書「第三の波」の題名をもとにしているという。
創業当初は、日本国内にはない最新技術を搭載したPCパーツを輸入して販売。1992年には、東京・秋葉原にPCショップ「DOS/Vパラダイス」をオープンし、オーダーメイドによるPC組立サービスを開始した。現在では、全国に42店舗の「ドスパラ」を展開しており、日本のPC専門店としては最大規模を誇るという。
また、2003年からは、物流センター内で、PCの製造、出荷を開始。2004年には、ゲーミングPCブランド「GALLERIA」によるPCの販売を開始している。現在、神奈川県綾瀬市の綾瀬本社工場では、月産能力は4万台の規模を誇る。95%のPCをBTOで生産し、2日間での出荷実績は99%という短納期も特徴だ。
昨今ではeスポーツの普及促進にも取り組んでいる。2018年には、eスポーツ施設「LFS(ルフス)池袋 esports Arena」を日本で初めてオープン。「全国高校eスポーツ選手権」の大会企画にも取り組んできた。
一方、2007年にはデジタルクリエイター向けPCブランド「raytrek」を発売し、2015年には、深層学習用ワークステーションの販売も開始している。
サードウェーブの尾崎健介社長は、「この5年ほどは、PCの物販や製造の企業から、総合的なサービスを提供する企業へと変化させてきた。また、コンシューマ向け事業の会社から、法人向け事業の企業に変わることにも力を入れて取り組んできた」と振り返る。
2022年には、法人向けPC事業とSI事業、受託事業を統合。ドスパラの法人向けサービス「ドスパラプラス」の強化に加えて、2023年8月には組織体制を刷新し、製品ブランドの拡張と再構築を行った。
とくに、製品ブランドについては、PCゲーマーをはじめとしたコンシューマ向けハイエンドPCの「GALLERIA」、プロフェッショナルクリエイターやビジネスユーザー向けの「raytrek」、一般ビジネスユーザーやコンシューマユーザー向けの「THIRDWAVE」の3つのブランドに統合。法人向けPCブランドを「raytrek」に集約したのが大きな変化となっている。今後は、それぞれのブランドごとに、ターゲットに特化したメッセージを発信することになるという。
たとえば、GALLERIAでは、ゲーミングPCとして培ってきたこれまでのブランド力を生かしながら、PCでゲームをはじめたいという若年層や高齢層などにも訴求する。今後は、デザインでも差別化を行いながら、来年度以降は、さらに生まれ変わったデスクトップおよびノートPCを投入する考えも示している。
また、法人向けに特化することになったraytrekは、従来は、イラストや動画、音楽などの分野で活用されるPCとして展開してきたが、これらのユーザー層はGALLERIAブランドのPCに移行。raytrekは、ビジネスシーンで活用されるAIやVR、AR、CADの用途に最適化したPCとして企画、開発を進めることになる。
新たな位置づけにおいて、第1弾として投入したのが、2023年10月に発売したraytrek Workstation X4630である。最上位モデルでは、CPUにIntel Xeon Gold 6448Y (32コア)を2個、GPUにはNVIDIA RTX 6000 Ada を2個搭載し、1TBメモリを搭載している。
AI研究者やデータサイエンティスト、建築設計士、プロダクトデザイナー、映像制作クリエイター、ソフトウェア開発者などの高度な要求に応えるハイパフォーマンスマシンと位置づけ、複雑なVR制作やVFX、大規模シミュレーションなどの用途にも最適化したワークステーションとしている。
「新たなraytrekは、ユーザーとともに成長させていきたい」と、サードウェーブの井田晶也副社長は語る。
その一方で、THIRDWAVEブランドのPCでは、初めてPCを購入する学生やビジネスマンなどを対象に展開。モバイルノートPCのラインアップ強化や、使いやすさにこだわったデスクトップPCも用意する。ここでもサードウェーブならではのカスタマイズや、国内生産の強みを生かしていくという。
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