このページの本文へ

西田宗千佳の「AIトレンドトラッキング」 第6回

課題は日本語を含む他言語対応か

「今動かなければ遅れる」生成AI開発を猛烈に進める、アメリカIT大手の危機感|AIニュースまとめて解説

2023年10月12日 07時00分更新

文● 西田宗千佳 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

グーグル、チャットAI「Bard」画像で質問可能に(9月20日)

 LLMのマルチモーダル利用が拡大しているが、Bardも本格対応を進める。PCでの利用ももちろんだが、スマホからの利用でも価値が高い。

 BingやChatGPTも同じ方向性にあるので、「チャットAIはチャットだけじゃない」のが当たり前になっていく。

YouTube、AIでショート動画の背景が生成できるように(9月22日)

 動画などの素材に生成AIを使う、ということは誰もが考えることだが、YouTubeはエンゲージメント拡大も狙い、その方向を強化する。

 これはある意味、TikTokへの対抗という意味合いが強い。動画を単にアップするのではなく、一手間かけることが視聴量増大につながるわけだが、その作業は簡単であればあるほど良い。というわけで、1つのアプリから簡単に使えるように工夫されている。

 なお、この発表は9月21日にニューヨークで開催されており、マイクロソフトの発表とほぼ同タイミング。筆者はマイクロソフトの方に参加していたので、参加は叶わなかった。

ChatGPTが密かにアップデート。2022年1月までの知識を獲得(9月25日)

 「ChatGPTは2021年9月までの情報しか学習していない」というお決まりのフレーズが、今後は少し変わる。OpenAIが同じ世代のLLMの中でも学習を追加していくという方針が明確になった、という点が大きい。

 だが実のところ、学習内容自体にはそろそろ大きな意味はなくなってきている、と筆者は考えている。

 なぜなら、最新の情報は「プラグイン経由でウェブから取得して返答する」のが基本路線になってきているからだ。

 「新しい情報による学び直し」は、情報そのものではなく、情報を精査する能力を強化していくもの……と考えた方がしっくりくる。

ゲッティイメージズ、商用利用可能な画像AI生成ツールを提供開始(9月26日)

 画像を中心とした生成AIサービスは、いわゆるフォトストックと競合する……と言われてきた。だから、ゲッティイメージズのようなフォトストック事業者が自ら乗り出すことは不思議ではない。

 同じようにAdobeが、Adobe Stocksを活用して「Adobe Firefly」を展開している。だからゲッティイメージズの展開は後追いではあるのだが、フォトストックとしての知名度・利用量ではゲッティイメージズの方が上ではある。なので「大手がついに」という意味では、少々インパクトが大きい。

カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ