PC自作の常識は世間の非常識? 第7回
GeForce RTX 4060のお供にRyzen 5 4500はちょっとね……
約10万円の駿河屋ゲーミングPCは確かに安い、でも+約3万円で組めるPC自作構成のコスパもいいぞい
2023年10月12日 10時00分更新
こんにちは、ジサトライッペイです。唐突ですが、GeForce RTX 4060搭載ビデオカードを採用しながら、10万円切りという価格で業界に激震が走った駿河屋さんのPC「A2-Gamingバトル/RBM013」をご存じでしょうか?
確かにすさまじい価格ですが、ふだんPC自作をしている人の視点で仕様を見てみると、本当に安いかどうかは絶妙なラインです。僕も「案外PC自作でも10万円を切れるんじゃないか?」と思ったので、自分なりの対抗構成を考えてみました。
なお、価格は2023年10月10日時点における、ネットショップの最安級価格を参考にしております。価格は日々更新されるものなので、変わっていてもご了承くださいませ。
同等以上のスペックでなるべく安い構成
CPUとマザーボードはA2-Gamingバトル/RBM013と同じく、Ryzen 5 4500とAMD A520チップセット搭載モデルのコンビに。また、PCケースのフォームファクターもMicro-ATXで、サイズ感が近いものを選択。
メモリーもDDR4-3200の8GBの2枚組、ストレージも500GBクラスのPCIe 4.0に対応するM.2 SSD、電源ユニットの容量(550W)や80 PLUSのグレード(BRONZE)も揃えました。
そして、やはり最大のポイントはビデオカード。GeForce RTX 4060搭載製品は、最安モデルでおなじみのPalit製でも4万2810円と、全体価格の4割以上を占めています。駿河屋さん的にもここはだいぶきついところだったのではないかと、勝手にシンパシーを抱きました。
合計価格は9万4650円になりましたが、正直かなり厳しい戦いでした。ここに組み立て代金はもちろん、送料無料と1年間のセンドバック無償修理保証が付いて9万9800円ってんだから、利益があるのかどうか心配になるほど安いです。つまり、A2-Gamingバトル/RBM013は間違いなく、お得なゲーミングPCと言えましょう。
とはいえ、このスペックはかなり切り詰められております。安いことは間違いないけども、「対性能比」という視点、つまり「コストパフォーマンスが良い」かと言えば、決してそうとは言い切れません。というわけで、9万9800円という予算内でなるべくコスパを意識した構成も考えてみました。
9万9800円以内でコスパを意識した構成
まずは、マザーボードをリアインターフェースにUSB Type-Cポートを搭載するモデルに変更しました。A2-Gamingバトル/RBM013にはUSB Type-Cがないんですよ。これは現代のPCとしてはちょっと物足りないところ。
また、電源ユニットもより容量が大きい650Wモデル(80 PLUSのグレードはBRONZE)にしました。まあ、GeForce RTX 4060の推奨電源ユニット容量は550Wなので、もとのままでもOKだと思います。CPUの消費電力もたいしたことないですしね。
しかし、これだと将来的にCPUやビデオカードを換装強化する時に足りなくなる心配があるので、ある程度余裕のある構成にしたほうがいいでしょう。差額630円で買える保険なら、かけておくほうが無難ですもの。
こんな感じで、PC自作なら同じ価格でもちょっとアップグレードできます。もちろん、当然自分でPCを組み立てなければならないし、万が一動かなかった場合のめんどうさを考えると、いかに駿河屋さんのPCが安いのかっちゅー話でもあります。
でも、CPUのRyzen 5 4500は「Zen 2」という2世代前のアーキテクチャーで6コア/12スレッド。これから長く使うとなると、ややもの足りなさを感じるところ。ということで、最後に性能や拡張性、トレンドを考慮したPC自作レシピも+約3万円で作ってみましたので、ご参考までに。
+約3万円で将来性を考慮した構成
CPUとマザーボードは最新アーキテクチャーを採用したインテルプラットフォームに変更しました。Core i5-13400Fは10コア/16スレッドなので、元のCPUよりもかなりパワフルになります。
ちなみに、ASCII.jpに掲載している各CPUのCINEBENCH R23の結果を見てみると、Ryzen 5 4500がMulti Core/Single Coreテストで約9190pts/1220pts。対して、Core i5-13400Fは約14210pts/1790ptsと、性能は段違いです。もちろん、GeForce RTX 4060のポテンシャルをよりうまく引き出せるので、ゲーミング性能もグッと上がることでしょう。
メモリーは16GBの2枚組、ストレージは1TB SSDにグレードアップしました。いずれも容量は倍になってますが、価格は倍未満で済むので、コスパはだいぶ良くなったはず。これなら写真・動画編集も、ある程度余裕をもって作業できるはず。
以上の通り、+約3万円でイマドキな仕様にできるので、一旦PC自作で検討してみるのもいいかもしれませんね。もちろん、A2-Gamingバトル/RBM013を買って、将来的に自分で換装するって手段もアリだと思います。
この連載の記事
-
第9回
PCパーツ
所有欲を存分に満たしてくれる“わかってる”技ありPCケース3選 -
第8回
PCパーツ
PC自作系編集者として励んできた18年が霧散……インテルPCマイスター上級試験に落ちた話 -
第6回
PCパーツ
PC自作バカの僕がお金もないのに高額なiPhone 15 Pro Maxを選んだ理由 -
第5回
PCパーツ
自作するとBTOパソコンより安く済むって話、ことはそう単純ではないのよ! -
第4回
PCパーツ
あなたはグラフィックボード派? ビデオカード派? PC初心者を惑わすアイツの呼称問題 -
第3回
PCパーツ
子どもの夏休み自由研究でPC自作、予算はいくらが適正か -
第2回
PCパーツ
GPUで朝食一式を作る記事、今はアリ?ナシ? -
第1回
PCパーツ
「自作PC」と「PC自作」、言葉の違いに思うこと - この連載の一覧へ