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“新製品よりも「台座」に釘付け”

マニアックすぎる「ホビーショー」解説 君はついてこれるか

2023年10月07日 09時00分更新

文● アカザー 編集●こーのス

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 9月29日~10月1日に東京ビッグサイトで開催された「第61回全日本模型ホビーショー」で発表された最新のホビーアイテムを、ホビーライターでもあるアカザーがマニアックすぎる視点でレポートします! 

タミヤの目玉はステルス機のプラモデル
「1/48 ロッキードマーチンF-35BライトニングII」である

 まずは多くのモデラーがいのいちばんに訪れたであろう、タミヤブースから。紹介する新製品は今回のタミヤブースの目玉商品というか、全日本模型ホビーショーイチの目玉商品といってもいい「1/48 ロッキードマーチンF-35BライトニングII」(B型)プラモデルです。

「1/48 ロッキードマーチンF-35BライトニングII」(B型)
 ●タミヤ
 ●1万780円(税込)
 ●12月発売予定

 昨年の全日本模型ホビーショーでは、空軍仕様のA型こと「1/48 ロッキードマーチンF-35AライトニングII」が発売されたんですが、ちょうどその1年後に、このB型が発表されたというワケです。

こちらは昨年の全日本模型ホビーショーで発表された、「1/48 ロッキードマーチンF-35AライトニングII」。前方からのアングルだとB型と見分けるのが難しい

「B型はA型のバリエーション展開的なやつだから、そんな大げさな発表でもないんじゃね?」「B型は、垂直着陸が出来るA型くらいでしょ」と思ったそこのアナタ! ええ、オレもそう思っていました。タミヤスタッフの解説を聞くまではね!

 まずは見てください、並べられたランナーを。最近の1/48サイズだとこのくらいの枚数は当たり前なんですが、見るべきはそこではなく、ランナーが載っている展示台のバックの「色」。

A型との共通パーツはグレーバックの上に置かれたわずか5枚だけ!

 黒とグレーがあるのがおわかりいただけたでしょうか。「ほとんど黒じゃん」って? そうなんですよ。ほとんど黒なんですよ!! そしてこの黒バックのランナーこそが、新規で金型を起こしたパーツを示してるんです。一般的に、機体のバリエーション変更の新規金型での追加ランナーは、(そこまで大きな変更はないため)多くて3割ほどが相場なんですが、このキットは比率が逆なんです。新規ランナーの割合はなんと7割以上! 

「なんでそんなに新規ランナー多いんですか?」とタミヤのスタッフさんに質問したところ、「外見こそ似てはいますが、実機でも、A型とB型は、ほぼ別物なので。開発前からこうなることは予想してました」との回答が。確かに、エンジンノズルが可変でコックピット後方にリフトファンがあったら、もう別機体ですよね。

 また、タミヤのスタッフさん曰く「B型は(リフトファンなどがあるため)ウエポンベイもA型より小さいので、当然機体のパーツはすべて新規金型です。でも、A型の開発時にだいたいの設計の段取りがわかっていたのでその辺は楽でした」って……。タミヤの開発スタッフ陣、気合い入り過ぎじゃね⁉

こうして内部構造を見るとリフトファンスペースなど、明らかにA型との差異がわかる

■マニアック視点その1
■ステルス機F35の「グレー」はモデラー泣かせなステルス色!?

 そんな気合いの入った解説を聞きながら、ふとブースの端にある、色の違う2機のF-35Bが目に止まりました。不思議に思い「なんであの2機は、左は黒っぽいグレーで、右は白っぽいグレーに塗装されているんですか?」と質問。

 するとスタッフさんはニヤリとした笑みを浮かべながら「実はあの2機は同じ色で塗装しているんですよ。右の機体にだけスポットライトを当てて、左の機体にはライトを当てていないんです」と教えてくれました。
 

塗装には全く同じ色を使用しているとのことだが、明らかに右の機体が白っぽい

「え!(色が全然違うじゃん)」と思わず漏れたオレの心の声に応えるように語るスタッフさん。「ご存じのようにF-35の実機はレーダーステルス機ですが、視覚的にも晴天では”白いグレー”に、曇天では”黒いグレー”に見えるようなステルス的ロービジ塗装がなされているんです。」とのこと。実機と同じように光量で変化するグレーの色味をこの展示で再現したというのですが、ここまで変わるものなのかと、驚きました!

 グレーは戦闘機や戦艦の塗装に使われるように、空や海では迷彩色になりやすい色。特に戦闘機のロービジ塗装などに使用されるグレーは、機体を使用する空域に溶け込むような色を選んでいるんです。それがF-35系ではさらに顕著で、運用時の光量までも意識したグレーが使われている感じなんです。

 その証拠に、航空誌でのF-35の写真を見ると、撮影された時のコンディション(晴れか曇りかなど、光量の違い)によってどれも色が違って見えるんですよ。しかし、それを模型で改めて実感することになるとは……。

 これはモデラーあるあるですが、模型を作れば作るほど目と経験と勘で色を調色し、さらにそこから乾いた時の色までも想定した塗装が出来るようになるんですが、F-35系のグレーはめちゃくちゃ難しくて、その経験や勘が通用しない感じのグレーなんすよ!

 実はオレも先日1/72のF-35Aを塗装したんですが、機体色が思った色にならなくて、再塗装の泣きをみました。その失敗の原因は、朝の明るい時間帯に濃いグレーを塗装し、夜の暗い時間帯に薄いグレーを塗ったから! みなさんがF-35の機体色(濃いグレーと薄いグレー)を塗る際には、同じ時間帯の同じ光量の下で塗装することをオススメします。しかし、ここまで光量で色味が変わるものなのか~!タミヤさ~ん、はやく専用色出してくださいよ~!
 

現在オレが製作中のタミヤ「1/72 ロッキードマーチンF-35AライトニングII」。イイ感じでグレーを調合したはずなのに、夜見たら塗ったグレーの濃度が濃すぎて再塗装に……(室内灯の下なので肉眼よりもめっちゃ黒く見える!?)

F-35系のグレーは鬼門。現在はこの3色を説明書どおりの配合率で混ぜ合わせ、機体色を調合するのが無難かも。調色には目盛りの付いた「タミヤ スペアボトル」が重宝しまっせ~

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