『龍が如く7外伝 名を消した男』と『龍が如く8』は2作で1つという想いで制作
『龍が如く8』開発者インタビュー。意味深カットの由来は? 人気キャラ再登場はどうなる?【TGS2023】
『7』の戦闘システムの完成を目標にした新バトルシステム
――続いて、今回試遊できた範囲のゲームプレイについてもお聞かせいただければと思います。『龍が如く8』では戦闘システムが改修され、行動する前に立ち位置の移動が可能になるなど、前作『7』に比べ遊びやすくなった印象です。
堀井:『7』のバトルシステムに関して言えば、チームで初めて挑戦するRPGタイトルではあったものの、しっかり納得いく面白いものが作れたという手応えはありました。
とは言え最初の挑戦ということもあり、「もうちょっとここは上手くできたよね?」「システム自体にはもっと伸びしろがあるよね?」という意識は全員が持っていたと思います。『7』の戦闘システムを完成形にしたいというのが『8』のゲーム的な目標のひとつで、その中でもっとも意見が出ていたのが移動に関する操作でした。
――『7』では、たとえば攻撃前に周囲のオブジェクトを拾って攻撃に使うことはできましたが、能動的に拾えるわけではなかったですからね。
堀井:本当は看板を拾いたいのだけれども拾えないとか、範囲攻撃をしたいのだけれどもできないとか、運によって発生する要素がかなり大きかったんですよね。
その辺をまず意図的にできるように修正したいということで、移動操作を組み込んだうえで、どのようにRPGのコマンドシステムを成立させるかという課題に真っ先に取り組みました。
――桐生の「絆覚醒」システムもそうですが、アクション要素が強くなって、そこにコマンド操作が乗っかっている、という印象を強く受けました。
横山:開発にはドラゴンエンジン(注:『龍が如く6 命の詩。』製作時に開発されたスタジオ独自のゲームエンジン)を使っていますから、元々そうなんですよね、実は。
ドラゴンエンジン自体も初回に使ったものからバージョンアップをしていますけど、基本的には物理演算が得意なゲームエンジンなんです。だから『7』の時も、ある意味ではアクション部分を一時停止してコマンドを表示する、というようなゲームの作り方をしていました。
コマンド方式のRPGではありますが、アニメーションではなく物理演算で動かしているので、中身はアクションゲームに近い制御をしています。
――つまり、バトルシステムの変更にはそれほど苦労しなかったということでしょうか?
横山:そうですね。「絆覚醒」なども、そこまで大変ではなかったと思います。
堀井:開放すればいいだけですからね。
横山:そういうことを言うと、アクション好きなユーザーの皆さんには「じゃあ全部アクションにしろよ!」って言われてしまうのですが(笑)。
阪本:もちろん、仮にアクションベースで作った場合のことを事前に考えるんです。そうなると、たとえば仲間の操作などをしなければいけなくなって……。一人の強いキャラクターで全部倒していくという風になると、今回の『8』の様なストーリーにはならないんです。
――確かに、仲間との共闘や“絆”と言った側面を押し出せるのは、RPGというジャンルの強みかもしれません。
堀井:今回はずっとアクションゲームでやってきた桐生がパーティーに入るということもあるので、そこで何かしら、ほかのキャラクターよりもアクション性の高い要素を入れたい、というところはありました。
アクション性をしっかり出せるようにしつつ、ベースになったRPG要素とのバランスをすごく考えた結果、今回の形で実装しています。
阪本:RPGをやるとなると、どうしても画面を一時停止してコマンド入力という形に収めようとしてしまう先入観があると思うんですよ。でも、たとえば『7』の時にも、コマンド操作中にキャラクターが勝手に動いたりはしていたんですよね(笑)。ある種、今までの固定概念に縛られないような作法を考えようっていうアプローチはずっとしていたんです。
今回の桐生のアクションに関しても、良いと感じられるものや盛り上がる要素は前例に縛られずに入れていこう、という感じで決めましたね。
――桐生の「絆覚醒」に関しては、実際にプレイしてみると発動自体にも爽快感がありました。コマンドのUIが弾け飛んでスムーズにアクションに移行できる気持ち良さというか。メチャクチャ強いですし……。
横山:まあでも、アレは製品版ではそんなに長くはできないんですけどね。
――そうなんですか? 確かに、覚醒するだけでほとんどの敵を倒せるバランスになっていましたが……。
横山:ゲームの序盤のほうだと、実際はたぶん一人倒せればいい程度の長さしかないと思います。試遊ではちゃんと触ってもらおうと思い、おもてなしモードというか、だいぶ強い設定にしてありますね。
堀井:「絆覚醒」っていうぐらいなので、あのモードの発動に関しては仲間との絆が重要になってきます。ゲーム内にはいくつかの成長要素がありますが、キャラクターレベルとは別に絆を育んでいくことで、だんだんと効果時間などが伸びていくんです。
――なるほど。そのほかにも桐生の専用ジョブ「堂島の龍」は、バトル中に3つのスタイルを任意で変更できるなど、かなり独自の路線を歩んでいる印象があります。ほかのキャラと同様、汎用ジョブへのジョブ変更も可能なのでしょうか?
阪本:なれますよ。トレーラーのジョブ紹介で映っている「侍」になってるのは、よく見ると桐生だったりします。
堀井:バトル中のスタイル変更が可能なのは「堂島の龍」の強みですし、もちろん「堂島の龍」というジョブ自体も強いのですが、回復系の技を持っていなかったりして。
横山:だから、一回ヒーラー系のジョブを経験して育ちきった後に、継承技を覚えて「堂島の龍」に戻ったり、スピードを上げるためにまた別のジョブを踏んでおいたり、そういう育成ができますね。RPGだとよくあるパターンですが。
――ジョブについてもう少し聞かせてください。今回バトルシステムが変わったことで、たとえばジョブによって移動可能な距離が変わる、といったことはあるのでしょうか?
堀井:パワータイプのジョブは移動範囲が狭かったり、ジョブごとに違いますね。それと、移動に関しては、たとえば足立宏一はあまり動けないとか、そもそもキャラクターによってベースになる移動可能距離が違う設定になっています。
キャラクターの育成状況によって距離が広がったりもするので、ジョブごとの差もあわせて、最終的な移動可能距離はかなり複合的な要因で決まっていきます。
阪本:ステータスで言うと、攻撃力などもそうですね。
――ジョブごとの極技は、今回も個性的なものが揃っていますよね。エリック・トミザワの「タクシー送迎の極み」は敵をタクシーに乗せてとんでもない運転をするし、不二宮千歳は敵と社交ダンスをするし……。社交ダンスは演出がけっこう長くて、思わず笑ってしまいました。
阪本:殴るだけの攻撃だとさすがにちょっと物足りなさがあるので(笑)、今回もカッコよかったり笑えたり、ジョブごと、キャラごとにいろいろバリエーションがある技を揃えています。
このあたりは『7』からの路線を継承していますが、そこがオリジナリティーだったりもするので、楽しんでいただければなと。今回はハワイが舞台なので、職業も現地仕様にカスタマイズするようなイメージで決めていきました。
――細かい話ですが、『7』のバトルでは主人公である春日一番のHPがゼロになった時点で敗北になる仕様でした。ダブル主人公である本作では、どうなっているのでしょうか?
横山:その時のリーダーポジションにいるキャラクターが負けるとダメですね。ゲーム序盤では一番と桐生が合流していますけど、この時のリーダーは一番です。
そして、今回は話が進んでいくと、この2人が別のルートに進んでいって編成が分かれたりします。そうなると、一番または桐生のどちらかがHPゼロになった時点で負け、という感じになります。
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