コンピュータの管理にある「記憶域」では、物理ドライブを「ディスク」と呼び、0から始まるディスク番号を振って管理する。ここでは、パーティションは直接扱わず、ファイルシステムに対応するボリュームを管理している
HDDがなかった時代のMS-DOSの慣習を引きずるWindows
ディスクやドライブといった用語の扱いが少々雑
Windowsでは、「ディスク」や「ドライブ」といった用語の扱いが少々雑である。というのも、HDDが普及する前に作られたMS-DOS時代からの慣習を引きずっているからだ。
話が混乱しないように先に用語を定めておく。ここでは、物理的なHDDやSSDなどを「物理ドライブ」と呼ぶ。この物理ドライブの記憶容量を分割したものが「物理パーティション」である。OSが扱う、記憶媒体の単位を「論理ドライブ」と呼ぶ。
そもそも、ディスクとドライブは別々のもので、両者を合わせることではじめて外部記憶装置として動作する。たとえば、「フロッピーディスクドライブ」(FDD)は、メディアである「フロッピーディスク」を「ドライブ」に装着して利用する。HDDもドライブ装置が高価だったため、ディスク部分を交換して利用することができた時代もあった。
その後、ディスク部分の容量が上がり、ドライブの価格が下がったため、ディスクを交換できない「固定ディスク」(Fixed Disk)が登場し、現在ではこれが一般的である。
「ディスク」と「ドライブ」の本来の意味としては、駆動装置(ドライブ)と記憶媒体(ディスク)である。それが固定ディスクの登場で、「ディスク」と「ドライブ」は不可分の関係になった。
Windowsでは、MS-DOSからの慣習でディスクとドライブをあまり区別していない。フロッピーディスクをドライブに入れた状態では両者を区別して扱う必要がなかったからだ。特に固定ディスクの登場により、区別が曖昧になった。
そしてHDDの容量が増えてくると、これを複数のパーティションに分割するようになった。HDDの容量がMS-DOSの外部記憶装置の制限を超えてしまったため、複数のパーティションに分割しないと、扱うことが困難になったからである(この問題は、のちに解決する)。
しかし、1つのHDDの記憶容量を複数のパーティションに分割して、それぞれにファイルシステムをつくったものには、ドライブ文字を割り当てて扱う必要があった。これまでは、物理的な存在である「ドライブ」と「ディスク」は一体で、まとめて1つとして扱っていたのに、物理的な存在である「ドライブ」に対して、複数のパーティションができてしまい、それぞれに「ドライブ文字」を割り当てる必要が出てきたからだ。
こうしてWindowsのドライブと物理ドライブが異なるものになり、ドライブは物理的な存在であるハードディスク装置自体を指す用語ではなくなってしまう。Windowsでは、ドライブは「論理ドライブ」を意味する。
パーティションに対して、ファイルシステムを適用したものをWindowsではボリュームと呼ぶ。Windows 2000で登場したダイナミックディスクでは、複数のパーティションを使って、1つのボリュームを作成可能にした。このため、ボリュームとパーティションは1対1で対応するものではなくなった。
Windows 8でダイナミックディスクは非推奨になったが、代わりに「記憶域」と呼ばれる機能が導入された。「記憶域プール」に物理ドライブを登録すると、記憶域プール全体を任意のサイズの「記憶域」に分割できる。つまり、「記憶域」は複数の物理ドライブ、パーティションにまたがる可能性がある。記憶域はボリュームとなり、ドライブ文字を割り当ててドライブとして扱うことができる。
ディスク管理の用語をあらためて整理する
表記が混乱していても、Windowsで物理ドライブやパーティション、ドライブ文字の割り当てなどをする「ディスク管理ツール」では、それぞれを明確に区別する必要がある。たとえば、コマンドラインからディスク管理ができる「diskpart.exe」は、物理ドライブを「disk」と呼び、パーティション(Partition)とボリューム(Volume)を管理する。
これに対して、「コンピュータの管理」にある「記憶域」(冒頭画面)では、物理ドライブを「ディスク」と呼び、パーティションは直接扱わず、ディスク上のボリュームを管理する。

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