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新天地でエバンジェリスト、楽しそうでなにより

転職から半年経った亀田さんに聞いたCloudflareのすごいところ

2023年09月13日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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Cloudflareが成長した理由、そしてコンペティターは?

大谷:先ほど話していた圧倒的な低価格とグローバルのシェアなども大きいと思うのですが、なぜここまで成長することができたのでしょうか?

亀田:まず圧倒的に高速です。CDNというネットワーク全体のパフォーマンスも高いですし、ユーザーブラウザが一番手前にあるCloudflareのエッジからダウンロードする時間という意味でも速いです。これは外部の調査で明確に示されています。

あとはエッジコンピューティングも大きいと思います。来年の3月以降、グーグルは検索エンジンのSEOアルゴリズムを変更することを発表しています。

大谷:Google Core Web Vitalですね。

亀田:はい。あれって、技術的に読み解くと、サーバー側でプログラムを実行するサーバーサイドレンダリングが鍵になります。今まではクライアントブラウザで実行していたのですが、勝手に広告を落としてきたり、プログラムを実行するようなサイトありましたが、来年以降はこうしたサイトの順位は下がります。

こうしたサーバーサイドレンダリングを高速化するためには、オリジンのサーバーより、CloudflareのようなCDN事業者のエッジで実行した方がよい。こうした理由からエッジコンピューティングの需要がとても高まっています。フォレスターリサーチなどの調査でも、Cloudflareは一番先頭を走っているプレイヤーです。

大谷:市場の話が出たところで、コンペティターについても教えてください。

亀田:まずセキュリティの話をすると、ZscalerやImpervaなどゼロトラスト系サービスを展開しているところはだいたい競合になります。CDNやWAFも同じで、アカマイやAWSとあたります。

ただ、それぞれのプレイヤーはポイントではとても強いのですが、管理画面からトータルで提供できるベンダーはいないので、総合力まで見てもらえるフェーズになると、競合なしになります。だから、いかに速く、お客さまとの間にその関係まで作れるかが今後の大きなテーマになりますね。

大谷:実際のユーザーニーズはどうなんですか? CDNなんですか、セキュリティなんですか?

亀田:グローバルではCDNの売上が大きく、日本はゼロトラストの方が大きいです。実際、マネタイズという意味ではセキュリティのサービスがメインではあります。ただ、日本全国を回って、エンジニアのニーズを聞いている限りは、CDNやサーバーレスの実行基盤の方がニーズは高いですね。

大谷:具体的なユーザーはどんなところになるんでしょうか?

亀田:いくつかのお客さまのセグメントがあるのですが、ゼロトラストだと事例としてよく話しているのは、クラスメソッドさんですね。

クラスメソッドの一部の従業員はフルリモートでお仕事しています。VPNなしでリモートアクセス環境を構築するのに使ってもらっています。実はCloudflareのゼロトラストは50ユーザーまで無償で利用できるので、われわれが把握していないお客さまも大量にいます。

Cloudflareはパブリッククラウドと競合する存在なのか?

大谷:前回の発表会でもちょっとバズったトピックですが、古巣も含めて、Cloudflareってパブリッククラウドと競合する可能性はあるのでしょうか?

亀田:当面はパブリッククラウドと組み合わせて使うものです。たとえばサーバーレスコンピューター基盤がエッジにあるので、AWSのLambdaとの競合と思われがちですが、基本は組み合わせられます。

技術的に話すと、われわれにはNoSQL DBの「KV」というサービスがあるのですが、世界中にある500箇所以上のデータセンター上で動いています。つまり、データを書き込む対象が500箇所以上あるということなので、結果整合性モデルになります。

一方、ミッションクリティカルなサービス、たとえばECサイトでモノを販売したいといったサービスの場合は、中央に一貫性のあるデータベースがアーキテクチャ的に必要になるので、ここではAmazon Auroraみたいなサービスが向いています。そう言う意味では適材適所でサービスを組み合わせた方がよいというのがお答えになります。

大谷:なるほど。

亀田:組み合わせるメリットのもう1つは、クラウドの通信料金が思いのほか安くならないという点です。特に日本はこの傾向が顕著です。これはクラウドベンダーのせいではなく、日本の電気代、土地代の高さなどに起因するのですが、ここではCloudflareのCDNが役立ちます。コンテンツはキャッシュできますし、前述した通り、下りの通信はわれわれがものすごく安く提供できるからです。

こう見るとお客さまから見ると組み合わせのメリットですが、データベースやCDNを提供しているクラウドベンダーから見ると競合に見えるかもしれません。

大谷:先ほどの「当面」という言い方が気になっているのですが(笑)、長期的にはどうなんでしょうか?

亀田:たとえば、うちの「R2」というオブジェクトストレージは、Amazon S3の完全互換で、AWS CLIも使えるというサービスです。

うちのCEOはパブリッククラウドからうちのサービスへのデータ転送料を「税金」と呼んでいるのですが、これが重すぎて困ると公言しています。お客さまのイノベーションを阻害すると。でも、うちのR2に置いておいてもらえば、AWSへも、Google Cloudへも、どこに持っていくのでもゼロ円です。

こういうバリアを下げるような進化はしますが、別にAmazon S3にとって代わりたいわけではありません。

大谷:ただ、AWSユーザーからすると、(AWSのCDNである)CloudFrontを使うのって、ある意味当たり前じゃないですか? そこをあえてCloudflareを使ってもらう、メリットや営業トークってどんなもんなんですか?

亀田:CDNに限定すると、CloudFrontって、CloudFront Reserved CapacityというAWSにしては珍しいボリュームディスカウントが存在しているので、ある程度は安くなるのですが、これと比較してもCloudflareの場合はものすごく安くなります。安いどころかベストエフォート型であれば、下りはゼロ円です。

AWSの場合、マイクロサービス型なので、AWS WAF、API保護、Guard Duty、Inspector、Detectiveなど数あるサービスを、誰かがきちんと学ばなければいけません。確かに昔は「それはきちんと学ぶべきだ」と主張していたのですが、学びきれないお客さまはけっこう多い。なので面倒な運用は、Cloudflareがまるっと請け負いますというアプローチになります。

セキュリティについては、マイクロサービスアーキテクチャがお客さまに受け入れられているとは考えていません。これは入社から半年経った私の実感です。

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