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小型衛星用ハイブリッド推進機の長時間燃焼に成功=東北大など

2023年08月30日 18時40分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学発宇宙ベンチャーのエレベーションスペース(ElevationSpace)と東北大学の共同研究チームは、地球周回軌道に投入された後、自力で軌道を離脱し、地球へ帰還できる無人小型人工衛星に搭載するハイブリッドスラスター(推進装置)の長時間燃焼に成功。軌道離脱に必要となる高い推力を実現できることを示した。同社が2025年に打ち上げ予定の無人小型衛星で世界に先駆けた実用化を目指す。

東北大学発宇宙ベンチャーのエレベーションスペース(ElevationSpace)と東北大学の共同研究チームは、地球周回軌道に投入された後、自力で軌道を離脱し、地球へ帰還できる無人小型人工衛星に搭載するハイブリッドスラスター(推進装置)の長時間燃焼に成功。軌道離脱に必要となる高い推力を実現できることを示した。同社が2025年に打ち上げ予定の無人小型衛星で世界に先駆けた実用化を目指す。 ハイブリッドスラスターは、プラスチック等の固体燃料と気体/液体の酸化剤の組み合わせを推進剤とする。毒性の高い物質を利用しないため、取り扱いにかかる危険が少ないうえ、固体燃料のみのスラスタでは実現できない推進制御ができ、蒸発してしまう液体水素などと比べて貯蔵性が高い、といった利点がある。着火システムの研究開発が国内外で活発に実施されているが、小型衛星に搭載できる安全で小型な冗長性を有した着火システムはこれまで開発されていなかったという。 打ち上げ数の急増する小型衛星は、運用期間が短い・衛星自体の設計寿命が短いなどの理由で、スラスタが搭載されていなかったり、姿勢制御や軌道の微修正といった低推進のスラスタしか持たなかったりすることが多い。研究チームが開発しているハイブリッドスラスタは、将来における小型衛星の軌道移動や非デブリ化、長期ミッション実現にも寄与することが期待される。

(中條)

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