西新宿を「みたて」で遊ぶ 第5回

みたて遊びで生まれるファンタジーの世界 ボックリーと新宿中央公園

文●東京工芸大学芸術学部教授 NPO法人クリエイティブスマイル理事長 笠尾敦司

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 こんにちは笠尾です。西新宿の街の中にある、自然や人工物など“いろいろなものを別の何かに見立てて絵にして楽しむ”「みたて遊び」を通じて、創造性のトレーニングなどを行っています。

前回の記事はこちら
親子ワークショップ第2回「みたてモン」をみつけろ!! 切株編

過去の連載記事はこちら
西新宿を「みたて」で遊ぶ

 今日は新宿中央公園の中で一番背の高い木メタセコイアの実が色々な表情の顔に見えるのでボックリーと名付け、そのボックリーの世界を写真でご紹介していきます。

 この小さな木の実をよく見ると、色々な表情がみえてきませんか。

新宿中央公園

 そこで、この子たちにビーズの目を入れてみました。

新宿中央公園

 この子達にさらに手足をつけて彼らが住んでいる新宿中央公園のファンタジーの世界を今日はご覧に入れたいと思っています。

 その前に、告知をさせてください。

 新宿中央公園で定期的に行っている無料のクリエイティブになるための「親子ワークショップ第3回 みたてモンをみつけろ」は9月16日(土)。昼と夕方の2回行いますので、ご都合がつきましたら、ぜひご参加ください。昼の木編はいつも皆さんが見ている昼の顔の木々です。夜の木編は、皆さんお一人ずつに、光が直線的に遠くまで届くように加工した懐中電灯で木々を照らして、影も含めて「みたてモン」楽しんでいただきます。

親子ワークショップ第3回みたてモンをみつけろ! 昼の木編 (無料)
2023年9月16日(土)14時
申し込み:https://tree003.peatix.com

新宿中央公園

親子ワークショップ第4回みたてモンをみつけろ! 夜の木編 (無料)
2023年9月16日(土)18時
申し込み:https://tree004.peatix.com

新宿中央公園

 この日は、お祭りの「子供神輿」の日と重なっており、あまりお子さんが集まらないと思うのです。ですがこのワークショップ、当初は大人の方にまず、みたて遊びの面白さと効果に気付いていただき、それをお子さんに伝授するという形を作りたいと思っておりますので、特に今回は、保育士の方や将来お子さんにクリエイティブな遊びをさせたいと考えている方でしたら、連れて来られるお子さんがいなくても、大人の方一人でのご参加も受け付けたいと思っております。子供達と一緒にみたてで遊ぶ楽しさや自分のアイディアがカードになるワクワク感を感じてください。

 では、本題に戻りまして、

 先程のボックリーですが、彼らに手足をつけてあげたら、「わーい、走れるようになったぞ。ありがとう。僕たち先に公園に戻ってるから遊びに来てね」といって窓から飛び降りてしまったんです。そこで、仕方がないので、靴を履いて彼らを見つけたメタセコイアの木下まで行ってみました。すると、本当に先に来ていました。あんな短い足なのに、すごく走るのが早いようです。もしかしたら飛んできたのかも知れません。

新宿中央公園

 近くには、手足も目もないメタセコイアの木の実が落ちています。この写真だと右下の方に見えています。

 彼らは、公園の中に役割があるらしく、夏は蝉の面倒をみていると言ってました。

 木に開いた穴の中から蝉の羽化を見守ったり(蝉の抜け殻があるの分かりますか)、

新宿中央公園

 力がなくなってきた蝉さんを勇気づけたり、

新宿中央公園

 穴の中から抜け出せなくなった幼虫さんを仲間と一緒に救助に行ったり(根っこの下に見える穴は全て、幼虫が開けた穴です)、

新宿中央公園

 色々と忙しいのだそうです。でも、仕事の後は、かくれんぼをして遊んでいるらしく、今日は私が鬼になって彼らを探すかくれんぼをして遊びました。

 ボックリーどこにいるか分かりますか?

新宿中央公園

 ボックリーはこの木の幹の裂け目にはまっていました。

新宿中央公園

 今度はどこにいるか分かりますか?

新宿中央公園

 右の切り株の穴の中にいました。この切り株は「見立てモンすごろく」ワークショップでデカブーというみたてモンになった豚の鼻の穴です。しかもこの鼻の穴、ブラックホールなんです。ボックリーも命懸けですよ。

新宿中央公園
新宿中央公園

 たまには高いところにも登ります。どこだか分かりますか?

新宿中央公園

 すっかりくつろいでますね。

新宿中央公園

 もうそろそろお別れの時間が来ました。もとのメタセコイア近くの芝生まで戻り、「また遊びにくるね」と言って別れました。

新宿中央公園

 いかがだったでしょうか。自然の中でリアルなものを見て、そこからファンタジーを考えるというのは、創造力を鍛える上で必要な発見力と、発見して得られた情報をまとめる上で必要になる洞察力が養えます。この二つが揃うと、創造力が発動してファンタジーが生まれます。自然の多い公園はとても大切なものなのです。

 YouTube動画では創造力開発のための「絵のフカヨミ手法」についてお話ししていますが、今回作ったYouTube動画では、自然の中のファンタジーをテーマにした片山健さんの学研の絵本「き(木)はなんにもいわないの」について解説しました。こちらも、ファンタジーの本質についてお話しさせていただいておりますので、ぜひご覧ください。
https://youtu.be/ZzU0E8kiFi0

 以上ご紹介した新宿中央公園の「みたてモン」や「ボックリー」の企画はNPO法人クリエイティブスマイルの資金と会員のボランティアによって運営されており、現在、無料でご参加いただけます。また、協力していただける団体様、個人ボランティアの方、寄付等も随時募集しておりますので、下記までご連絡いただけると幸いです。

NPO法人クリエイティブスマイル
https://creativesmile.info/
代表 笠尾敦司
jimukyoku@creativesmile.info

■関連サイト

文/東京工芸大学芸術学学部教授 NPO法人クリエイティブスマイル理事長 笠尾敦司

東京工芸大学芸術学学部教授 NPO法人クリエイティブスマイル理事長 笠尾敦司

東京工芸大学芸術学部教授。東京の西新宿にNPO法人クリエイティブスマイルの事務所を持ち、創造性の根源は自然にあると信じ、絵本と自然に向き合うワークショップの開発と実施を行っている。また、夕日の町西伊豆町の山村大沢里の大自然に魅せられ自分で小屋を立てて2拠点生活をしており、現在はタワマン住まいの子どもたちが多い西新宿で、ほぼ唯一の自然と言える新宿中央公園に大沢里からも自然を持ち込み創造性開発の聖地にすべく画策中。